二次障害で脱毛症?それとも虐待!?突然前髪が消えたASD長男に、周囲の大人たちは…

ライター:taeko

わが家の長男ミミは、ASDの特性があります。そんなミミの前髪が、ある日突然なくなってしまったんです。担任の先生も「自分で毛を抜いたのではないか?」と心配した、「消えた前髪」の理由とは?

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

ある日突然、ASDのある長男・ミミの前髪がなくなって…

ASDの特性がある、わが家の長男ミミ。3年生になって、クラスも変わり2か月が経ったころ、担任の先生との初めての面談がありました。時間は15分間と限られていたので、焦らないように聞きたいことをあらかじめ紙に書いておくことに。

・普段のクラスでの様子はどうか?
・誰と遊んでいることが多いか?
・先生から見て心配なことはないか?

などを聞いていきます。実際の面談も、途中まではスムーズに進んでいったのですが…。
ASDのある息子が3年生になって、クラスも変わり2か月が経ったころ、担任の先生との初めての面談がありました。
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「ミミのことで、最近何か気になることはありませんか?」

その質問をしたときに、先生がふと思い出したように言いました。
気になること…そうだミミくんの前髪、なくなりましたよね?

前髪といえば、それは昨日の朝の出来事でした。
自宅の庭から部屋に戻ってきたミミが、ニコニコしながら「見て!」と不自然なほど短くなった前髪をアピールしてきたんです。
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自宅の庭から部屋に戻ってきたミミが、ニコニコしながら「見て!」と前髪をアピールしてきたんです。

よく見てみると、前髪がざっくりと不自然になくなっていてびっくり!

「ミミ、その前髪どうしたの?」
「ハサミで切った!女の子がやってるでしょ?」

と、笑いながら教えてくれるミミ。女の子が前髪を結んでおでこが出ている感じにしたかったみたいなのは分かったけど…。もしかしたら、学校で笑いを取ろうとしたのかな?

私が「学校で笑われるかもしれないよ?」と言っても、ニコニコ・ヘラヘラしていてうれしそうなミミ。それでも、親バカな私は「ちょっと不自然な前髪だけど、ミミはかわいいから変に見えないよ」と伝えました。

これって抜毛症?虐待!?と思われてしまう?

そんな風に、あまり心に留めることもなかったのですが、ただ見方を変えると話は変わってくるようで。先生と、そしてパパの視点から見ると、同じ出来事でもちょっと心配になってしまったそうなんです。
先生と、そしてパパの視点から見ると、同じ出来事でもちょっと心配になってしまったそうなんです。
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まず先生は、「自分で髪を抜いたのかな?」と気にかけてくれていた様子でした。

それを聞いて私はハッとしたんです。ASDのあるミミは周りから理解されず、ストレスで自分の毛を抜いたり、自傷行為が出始める年ごろなのかもしれない…と少し不安な気持ちになりました。「抜毛症」についてネットで見たことがあったからです。

そしてパパ。帰宅後に面談での話を共有すると、「虐待と思われてしまわないかな」と思ったそう。
「虐待!?」そのことについてまったく思い浮かばなかった私は驚きました。

発達障害の特性で周りに理解されず、怒られることが多くて二次障害として抜毛症が出る場合」を考えた私。
親などからの虐待によるストレスで抜毛症になる場合」を考えたパパ。

なるほど、想像していませんでしたが、確かに人によって見え方が異なるようです。
発達障害、虐待、脱毛症。想像していませんでしたが、確かに人によって見え方が異なるようです。
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もちろん私は虐待をしていないけど、子どもの変化に対する周りの受け取り方一つで、心配させてしまうことがあると気付きました。自分が見えている子どもの姿だけが全てだとは限らない、だからこそ先生やパパとの会話を通して、複数の視点を持って成長に寄り添っていきたいなと感じたんです。

そんなことを考えていた、面談のあった日の夜。
お風呂場でミミと2人になった私は、その不自然に切られた短い前髪に似合うように、ちょっとだけ髪の毛を整えました。髪が短くなったミミもやっぱり、かわいかったです。
髪が短くなったミミもやっぱり、かわいかったです。
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執筆/taeko
(監修:初川先生より)
「自ら髪を切る」を一種の自傷行為としてするお子さんもいます。抜毛であれ、自分で髪を切ることであれ、お子さんが何らかのSOSサインとして出していることがあり、気に掛けるべきポイント(それをきっかけに子どもとそうしたことを話題にして話をすべき機会)なので、それにご両親や先生がすぐ気づいていたのはよかったと思います。

ただ、今回のミミくんはどうやらそういう文脈で切ったのではなく、女の子の前髪(ポンパドール)をまねたようですね。こうした機会に、いろいろなことを教えてあげるのもいいかなと思いました。女の子の前髪は短く切っているのではなくて、折りたたんでいること(結ぶ、ピンで留めるならすぐに元に戻るけれど、切ってしまうとしばらく元には戻らないこと)。自分で髪を切るのは危ないから、お母さんやお父さんにまずは相談すること。自分で(自発的に)髪を切ると、「何か嫌なことがあったのかな?」など心配するということ。

かわいいと思ったからやった、注目を集めたかったなど、ミミくんなりの思いはあると思いますが、周りがそうではない受け取り方をするということもあると伝えておくと良いと思います。taekoさんが今回前髪の件でパパ、先生の意見を聞いて視野が広がったように、対話によって視野が広がるということを、ぜひミミくんにも折々に感じてもらえたらと思います。
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