着替え、パニック、切り替え下手――自閉症息子のわがままやこだわり、それって子どものせい?私がみつけた対応策とは

ライター:立石美津子

気温に合わせて準備した服を子どもが着てくれない。公園に遊びに来ていたけれど、16時を回り「買い物して夕飯作らなきゃ」と思って「そろそろ帰るよ」と言うと「嫌だ!まだ遊んでる!」と頑として砂場から動かない。こんなとき、どんなふうに声をかけたらうまくいくのでしょう。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

わが子がわがままを言うとき――どんな対応をしている?子どもにはどう映ってる?

気候に合わせた洋服を着てくれない

親は気温や湿度を見て適切な服を選ぶことができますが、子どもはそうではありません。
自分のお気に入りの服を着たいのです。ですから、親が選んだ服を押しつけられるのは子どもからしてみると「ママはわがまますぎる!」と映っているかもしれません。

公園遊びからの切り替えができない

公園からなかなか帰ろうとしない子ども
Ⓒあべゆみこ
Upload By 立石美津子
公園からなかなか帰ろうとしないわが子。付き添っている親としては、

・スーパーに行って夕飯の食材を買いたい。
・早く帰宅して、家事をしたい。
・時刻がずれ込むと、夕飯→風呂→寝かしつけ、すべてが押せ押せになる。
といった理由があり、そろそろ公園から帰らなければと考えます。
ですが、子どもにとっては、今やっている遊びが佳境に入っているところなのかもしれません。

・砂場の山をもっと高く盛りたい。
・滑り台も滑りたい。
・遊んでいる友達もいるのに、なぜ、自分だけ帰らなくてはならないんだ。

それなのに追い打ちをけるように、こんな言葉をかけてしまうこともあるのではないでしょうか。
ママ「もう帰るよ」
子ども「嫌だ~もっと遊びたい!」
ママ「じゃあ勝手にしなさい、ママは先に帰るよ!バイバイ」

大抵の子どもは「置いて行かれたら大変だ」と親の指示に渋々従うでしょう。

けれども、もし仮に、子どもが「ラッキー!じゃあ勝手に遊んでいていいんだ、ママ、バイバイ!」と字面通り受け取り、嬉しそうに遊び続けたら…?

親は最初に自分が放った言葉を実行して「子どもを置き去りにして先に帰る」ことは、きっとしないでしょう。そうすると、この時点で親の行為は、指示したことと矛盾しているダブルバインド状態になってしまいます。

対応策は「自分で決める」がポイント

一方的に命令されるのは嫌なもの、親から言われるのも同様です。そんなときは選択肢を与えてみるといいと思います。

「あと50数える間、遊ぶ?100数える間、遊ぶ?」
「滑り台3回滑ったら帰る?2回滑ったら帰る?」

服も選んでも問題ないものを何着か用意し、子どもに選ばせてみましょう。

子どもにとっては一方的の押しつけられたものではなく、「自分で決めた」ことなので従う可能性が高くなるはずです。

親にとっては「わがままを言う子ども」かもしれませんが、子どもにとっては“わがままを言う親”に映っているかもしれません。だから、お互いの都合をぶつけ合うのではなく、子どもの立場に立って、納得のいく対応を心がけるのが良いと思います。

自閉スペクトラム症の息子のこだわりと対応策

自閉スペクトラム症がある息子にはさまざまなこだわりがありました。

・特定の会社のタクシーにしか乗らない

・NHKの19時のニュースのアナウンサーの「こんばんは、NHKニュースです」と言ったと同時に、夕食の一口目を口にいれないとダメ

・バスでは誰よりも早く降車ボタンを押したい。ほかのお客に先を越されるとパニック

・井の頭線3000系各駅停車しか乗れない
井の頭線
Upload By 立石美津子
これってあまり定型発達の人には起こらないことなので、わがままではなくこだわりだと私は判断していました。

パズルにもこだわり

地図パズル
Upload By 立石美津子
幼少期、ある教材の世界地図パズルがお気に入りでした。本人の頭のなかでは、たとえば100ピースあったら、1番から100番まではめていく順番がキッチリカッキリと決まっているようでした。
パズルをする息子
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ですから、途中のものが見当たらないと次に進めず、いちいちパニックを起こしました。

あるとき、“南アフリカ共和国”の1ピースがなくなりました。案の定、パズルをひっくり返して暴れました。パズルの一片がなくなっただけなのに、自傷し手がつけられない状態になりました。

「一つないくらいでワーワー言うんじゃないの!それを飛ばして次に進めばいいじゃない!」と叱りたくなりましたが、そこはグッとこらえて「これは、こだわりなのだ」と自分に言い聞かせました。

パズルのピースはバラ売りしていません。しかたがないので、新しいパズルを買うときは、全く同じものを3セット買い置きしていました。こうしておくことで予備があるので、仮に1ピースなくしたとしても、あと2ピース同じものがあるので安心でした。

お金は3倍かかりますが「これで息子と私のストレスが減るんだったら、そのほうがましだ」と考えていました。
次ページ「わがままであっても、こだわりであっても」


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