なかなか見分けにくいわがままとこだわりですが、だんだんと、こだわりが通らなかったときとわがままが受け入れられなかったときの泣き方が違うことに気がつくようになりました。こだわりが通らないときの泣き方は激しく、物を壊したり自傷したり破壊力がありました。わがままのときは怒って泣くという感じでしょうか。

私も自閉スペクトラム症児の親として子育て経験を積み、見分ける直感のようなものを次第に身につけていったのだと思います。

とはいえ、わがままであっても、こだわりであっても、それに対して親の意向ばかりを押しつけては、お互いストレスがたまるばかりでしょう。

わがままには、子ども側の気持ちになって考える。

こだわりも「これは自閉スペクトラム症の特性なのだから定型発達の自分（親）のやり方をごり押ししてはならない。パニックにならない方法を考えよう」とするとうまくいくかもしれませんね。

執筆／立石美津子

（監修・鈴木先生より）
自閉スペクトラム症があるお子さんの場合、「そろそろ帰るよ」という抽象的な表現では分からないかもしれません。「泥団子を２個作ったら帰ろうね」と具体的にそして優しく事前に提示してあげることが大切です。あらかじめインフォームドしておくというペアトレの手法の一つです。一方、気候に合わせた洋服を着せるには、デジタル温度計を近くに置いて、着る洋服も気温別にしてタンスやクローゼットに用意しておくのも一つの手です。20℃～25℃用、26℃～30℃用などとタンスの引き出しに書いて視覚に訴えるやり方もいいかもしれません。
自閉スペクトラム症のこだわりには「こだわり保存の法則」があり、一つのこだわりが減るとほかのこだわりがでてくることが多いようです。他人に迷惑のかからないこだわりは少し待ってあげましょう。
このようなこだわりについては、投薬（SSRIなど）することで軽減し、生活の質を上げていくこともできます。