ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもへの接し方とは?9つのポイントを解説ーーマンガで学ぶASD(自閉スペクトラム症)【専門家監修】
ライター:マンガで分かる発達障害のキホン
マンガで学ぶASD(自閉スペクトラム症)。強いこだわりや特性などを持つASD(自閉スペクトラム症)のある子どもにはどのように接すればいいのかを解説します。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもへの接し方のポイントは?
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもに接するときは、「短く具体的な言葉を使う」「視覚的手段を活用する」など9つのポイントを押さえること、また困ったとき、できないことがあるときに自分でヘルプを出し、周囲に助けを求められるような力を育むことが大切です。
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもと接するときの9つのポイントを解説
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもとは、どのように接するといいのでしょうか。強いこだわりやコミュニケーションが苦手など、特性によるさまざまな困りごとも接し方で大きく変わります。ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもに接するときには、以下の9つのポイントに気をつけましょう。
1.言葉は短く具体的に伝える
長く説明されたり一度にたくさん指示されたりするとASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは混乱してしまうことがあります。「おやつよ。座って食べてね」のように一文にいくつもの指示があると分からないこともあります。まず「座ってね」と一つ伝え、できてから「おやつを食べてね」と次の行動を伝えましょう。「うろうろしないで椅子に座って食べてね」というような言い方だと、言葉の中に『おやつを食べる』という目的が抜け落ちていたり、『うろうろ』という「座る」以外の余計な言葉が入っていることにより分かりづらくなってしまいます。指示は短く簡潔に、理解しやすい言葉で伝えましょう。
2.視覚的な手段を使って説明する
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは、耳で伝えられる情報は理解することが苦手な場合が多く、絵や写真といった視覚的な情報は理解しやすい場合が多いようです。これからする予定について、知らせるときに短く分かりやすい言葉と同時に絵や写真を提示することで、コミュニケーションが苦手なASD(自閉スペクトラム症)の子どもにとって理解しやすい環境になり、何をして欲しいのか明確に分かるようになります。予定や約束ごとなども、絵にして知らせると、理解しやすく安心できます。
3.のぞましい行動をほめる
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは相手の言葉の意図をくみ取ることが難しい場合があります。そのため「してはダメ」なことを注意するよりも、「してほしい」ことをしたときにストレートな表現でほめるほうが効果的です。うまくいったことや頑張ったことがあれば、どんな小さなことでも思い切りほめます。同じことでも何度もほめることで「よい行動」が印象づけられ、具体的に分かります。
4.叱るだけでなく、して欲しいことを具体的に伝える
接するときに気をつけたいのが、何かを説明するときに怒らないということです。保護者や支援者が感情的になると、伝えたい意図が伝わらなくなってしまいます。何かを伝えたいときは、『〇〇しない』という禁止だけでなく、どうして欲しいのかを具体的に短い言葉で簡潔に伝えることを心がけてください。否定的な言葉ではなく、「○○してほしい」「○○しましょう」と言い換えるようにしましょう。
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは接し方を工夫すると、パニックを起こすことも少なくなり、本人も家族も生活を共にするのがとても楽になります。生活のパターンを掴むまでは時間がかかりますし、大変なこともいろいろあると思いますが、少しずつ問題は解決していきます。あきらめずに医師に相談しアドバイスをもらいながら対処していきましょう。
5.スケジュールが変わるときは事前に説明する
ASD(自閉スペクトラム症)の特性として、突然の変化が苦手ということがあります。いつもと違うことやスケジュールの変更はASD(自閉スペクトラム症)のある子どもにとってとても不安なことです。変更を伝えるときには、事前に絵に書いて見せるなどして説明しましょう。本人が理解でき、見通しが持てることでパニックを緩和したり減らすことができます。
6.指示のタイミングを考える
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもが何か行動を始めたときに、その行動を途中でやめるように指示すると、パニックになってしまうことがあります。パニックになると落ち着くまでに時間がかかりますので、本人も周りの大人も体力を消耗してしまいます。次の行動にスムーズに移れるためには、指示のタイミングとして行動を始める前が重要です。子どもが好きな活動に取り掛かる前に、終わる時間をタイマーで示したり、終わったあとの次の行動をあらかじめ写真カードなどで知らせておくなどの工夫が考えられます。活動をする前の指示がうまくいかなかった場合には、子どもの様子を見て一通り区切りが良いところを見て指示するようにしましょう。活動をうまく切り替えることができた場合には、ほめることが大切です。
7.感覚過敏に配慮する
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは感覚過敏がある場合も多いです。特定の音や、活動、場所を嫌がったりすることもあると思います。これは単純な好き嫌いやわがままではないことがあります。感覚過敏が背景にある場合は叱ったり無理強いしても解決しません。音に敏感な場合はイヤーマフなどを使用するなど、まずは環境調整から考えていきましょう。成長するにしたがって、場面に応じてコントロールできたり 理由が分かることで、我慢できることも広がってくることも多いです。
8.興味・関心のあることで不安を解消し、得意なことを増やす
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは、何もすることがないと時間を持て余して不安定になる傾向があります。病院の待合室や電車の中などで手持無沙汰を解消できるよう、絵の描けるホワイトボードやパズルなど、好きな遊びを準備しておくと落ち着いて過ごせるかもしれません。本人に合った習いごとに取り組むなど、余暇の過ごし方を教えることも重要です。興味・関心のあるものを増やしていくことで、本人の得意なことも増やすことができます。
9.困ったことがあれば子ども自身がヘルプ要請を出せるようにする
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは自分ではうまくできず、困る場面があります。しかしコミュニケーションをとるのが苦手なことも多くあります。そこで、困ったことや、できないことがあったときに、自分でサインを出して助けを求められるようにすることがとても大切です。
そもそもASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは自分が「困っている状況」だということを本人が理解できず、パニックになったり固まってしまう場合もあります。まずは子どもに「イライラする」「どうしたらいいのか分からない」「涙が出る」など、自分の感覚や感情がどんなときに「困っている状況」なのかを教えます。そして困った状況になったら誰に助けを求めればいいかを教えます。「どうしたらいいのですか?」「分からないので教えてください」など、なんと言うかもできるだけ具体的に説明するとよいでしょう。
1.言葉は短く具体的に伝える
長く説明されたり一度にたくさん指示されたりするとASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは混乱してしまうことがあります。「おやつよ。座って食べてね」のように一文にいくつもの指示があると分からないこともあります。まず「座ってね」と一つ伝え、できてから「おやつを食べてね」と次の行動を伝えましょう。「うろうろしないで椅子に座って食べてね」というような言い方だと、言葉の中に『おやつを食べる』という目的が抜け落ちていたり、『うろうろ』という「座る」以外の余計な言葉が入っていることにより分かりづらくなってしまいます。指示は短く簡潔に、理解しやすい言葉で伝えましょう。
2.視覚的な手段を使って説明する
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは、耳で伝えられる情報は理解することが苦手な場合が多く、絵や写真といった視覚的な情報は理解しやすい場合が多いようです。これからする予定について、知らせるときに短く分かりやすい言葉と同時に絵や写真を提示することで、コミュニケーションが苦手なASD(自閉スペクトラム症)の子どもにとって理解しやすい環境になり、何をして欲しいのか明確に分かるようになります。予定や約束ごとなども、絵にして知らせると、理解しやすく安心できます。
3.のぞましい行動をほめる
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは相手の言葉の意図をくみ取ることが難しい場合があります。そのため「してはダメ」なことを注意するよりも、「してほしい」ことをしたときにストレートな表現でほめるほうが効果的です。うまくいったことや頑張ったことがあれば、どんな小さなことでも思い切りほめます。同じことでも何度もほめることで「よい行動」が印象づけられ、具体的に分かります。
4.叱るだけでなく、して欲しいことを具体的に伝える
接するときに気をつけたいのが、何かを説明するときに怒らないということです。保護者や支援者が感情的になると、伝えたい意図が伝わらなくなってしまいます。何かを伝えたいときは、『〇〇しない』という禁止だけでなく、どうして欲しいのかを具体的に短い言葉で簡潔に伝えることを心がけてください。否定的な言葉ではなく、「○○してほしい」「○○しましょう」と言い換えるようにしましょう。
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは接し方を工夫すると、パニックを起こすことも少なくなり、本人も家族も生活を共にするのがとても楽になります。生活のパターンを掴むまでは時間がかかりますし、大変なこともいろいろあると思いますが、少しずつ問題は解決していきます。あきらめずに医師に相談しアドバイスをもらいながら対処していきましょう。
5.スケジュールが変わるときは事前に説明する
ASD(自閉スペクトラム症)の特性として、突然の変化が苦手ということがあります。いつもと違うことやスケジュールの変更はASD(自閉スペクトラム症)のある子どもにとってとても不安なことです。変更を伝えるときには、事前に絵に書いて見せるなどして説明しましょう。本人が理解でき、見通しが持てることでパニックを緩和したり減らすことができます。
6.指示のタイミングを考える
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもが何か行動を始めたときに、その行動を途中でやめるように指示すると、パニックになってしまうことがあります。パニックになると落ち着くまでに時間がかかりますので、本人も周りの大人も体力を消耗してしまいます。次の行動にスムーズに移れるためには、指示のタイミングとして行動を始める前が重要です。子どもが好きな活動に取り掛かる前に、終わる時間をタイマーで示したり、終わったあとの次の行動をあらかじめ写真カードなどで知らせておくなどの工夫が考えられます。活動をする前の指示がうまくいかなかった場合には、子どもの様子を見て一通り区切りが良いところを見て指示するようにしましょう。活動をうまく切り替えることができた場合には、ほめることが大切です。
7.感覚過敏に配慮する
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは感覚過敏がある場合も多いです。特定の音や、活動、場所を嫌がったりすることもあると思います。これは単純な好き嫌いやわがままではないことがあります。感覚過敏が背景にある場合は叱ったり無理強いしても解決しません。音に敏感な場合はイヤーマフなどを使用するなど、まずは環境調整から考えていきましょう。成長するにしたがって、場面に応じてコントロールできたり 理由が分かることで、我慢できることも広がってくることも多いです。
8.興味・関心のあることで不安を解消し、得意なことを増やす
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは、何もすることがないと時間を持て余して不安定になる傾向があります。病院の待合室や電車の中などで手持無沙汰を解消できるよう、絵の描けるホワイトボードやパズルなど、好きな遊びを準備しておくと落ち着いて過ごせるかもしれません。本人に合った習いごとに取り組むなど、余暇の過ごし方を教えることも重要です。興味・関心のあるものを増やしていくことで、本人の得意なことも増やすことができます。
9.困ったことがあれば子ども自身がヘルプ要請を出せるようにする
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは自分ではうまくできず、困る場面があります。しかしコミュニケーションをとるのが苦手なことも多くあります。そこで、困ったことや、できないことがあったときに、自分でサインを出して助けを求められるようにすることがとても大切です。
そもそもASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは自分が「困っている状況」だということを本人が理解できず、パニックになったり固まってしまう場合もあります。まずは子どもに「イライラする」「どうしたらいいのか分からない」「涙が出る」など、自分の感覚や感情がどんなときに「困っている状況」なのかを教えます。そして困った状況になったら誰に助けを求めればいいかを教えます。「どうしたらいいのですか?」「分からないので教えてください」など、なんと言うかもできるだけ具体的に説明するとよいでしょう。
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