記憶力抜群のASD息子、なぜかテスト結果は散々!不器用なのに「枠にきっちり書きたい」特性を踏まえた受験大作戦

ライター:寺島ヒロ
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ASDのあるうちの息子タケルは、小さいころから物覚えが良い子でした。幼稚園ではハカセと呼ばれ、小学4年生ごろには漢字も大人並みに読み書きできていました。しかし、テストの点数はどうにも振るわないのです。一体どうして…?

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

子どものころからずば抜けた記憶力をみせていた

わが家の長男タケル(ASD・22歳)は、子どものころから物覚えが良く、一度聞いたことは忘れません。平仮名はもちろん、一般的に使われる漢字も、4歳になったころには完璧に読めるようになってしまい、大人たちを驚かせました。

小学校でも、授業で聞いたことはほとんど丸覚えしており、しばしばほかの子に先生のように教えるほど。先生方も「タケルくんは本当に頭が良いね」と、ほめて(おだてて?)くれていました。

さぞかしテストもできるだろう…と思いきや

小学校の6年生になり、タケルは中高一貫校を受験することになりました。学校ではお勉強のできる子のタケル。受験用勉強は学校の勉強とは違うとはいいますが、タケルなら結構良い線いくんじゃないか?そう思いつつ、12月に初めて有名予備校の模試を受けました。
 
…ですが!
 
結果は惨憺たるものだったのです…。
テストの点数が振るわず落ち込む息子の様子
Upload By 寺島ヒロ
どの科目もまんべんなく点数が低く、特に後半の文章題になると全部の科目で落としていました。やはり受験向けの勉強をしてないと難しいというのは本当なんだ…。
 
と思いつつ、タケルを見ると…
 
あれ?なんだか納得いかない顔…?
問題の答えはわかっていたと訴えるタケル
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なんと、タケルは「問題は難しくなかった。答えは読んだところは全部わかってた。」と、言うのです。
 
ん??「読んだところ」とは?
 
「問題数が多すぎて、全部読む前に終わっちゃったんだよ!答えも文字が多くて、枠の中にきっちり書ききれなくて、何度も書き直したの!」
 
「タケル不器用なんだよ…。」

悔しさを滲ませながら、タケルはそう言いました。

実は隠れLDだった?タケルの言い分

詳しく聞いていくと、タケルは漫画のセリフのような数行の文字なら問題ないが、小説のような長い文章になると、今読んでいたところがしばしばわからなくなったり、ほかの行に視線が飛んでしまうことがあるのだそう。
 
しばらく読んで「ん?意味が通らないな?」と思うと読み直すので、普段はあまり問題にならないのですが、入試問題など時間内に読んで、答えを書かないといけないようなものだと時間が足りなくなります。
また、タケルには文字を書く欄にぎっちり余白なく文字を書きたいというこだわりがあり、うまく収まらないと何度も書き直したくなり、時間が足りなくなるのだそう。

そういえば、タケルのノートは余白がなく、びっしりと文字で埋まってます。あれはそういうこだわりだったのか…!
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