脱走、他害、偏食…自閉症息子は幼稚園でトラブル続き。すがる思いで「ペアトレ」を受けたけれど…母が感じた孤独の正体
ライター:カタバミ
何とか幼稚園に入れたまちゃでしたが、入園直後から次々に問題が勃発。ヘトヘトになった私はペアトレをすすめられました。普段は子どもが療育でトレーニングを受けていますが、保護者が受けるトレーニングがペアトレなようです。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
家では温厚なのに幼稚園では問題だらけ。相変わらずしゃべることはできないし理解力も少ない。もうどうして良いか分からない
中度知的障害を伴う自閉スペクトラム症のある息子のまちゃ。何とか年少から2歳上の長女も通う幼稚園に入れたまちゃでしたが、入園直後の4月から、園長先生と担任の先生による個人面談の場を特別に設けられてしまいました。
先生のお話によるとまちゃは、ずっと教室に居られず園庭に出ると戻ってこない。先生の話を聞けないし理解していないし、発語もない。周りのお友達を見て同じように行動できない。給食は大好きなカレー以外はほとんど食べないと言います。
半年前に同じ幼稚園のプレ幼稚園にも通っていましたが、そのころは落ち着いて座って絵本も聞いていて、そこまでひどくはなかったので私は驚きました。そして、年少の夏休み明けには他害も始まり、お友達をかんでしまいました。
毎月発達センターでは小児科医、臨床心理士、言語聴覚士に診てもらっていましたが、すぐに改善するような提案は出てきません。そんなとき、毎週通っていた児童発達支援事業所の指導員さんから「ペアトレ※を受けてみませんか?」と声をかけていただきました。
※ペアトレ…ペアレントトレーニングの略称。保護者の方々が子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援する保護者向けのプログラム
先生のお話によるとまちゃは、ずっと教室に居られず園庭に出ると戻ってこない。先生の話を聞けないし理解していないし、発語もない。周りのお友達を見て同じように行動できない。給食は大好きなカレー以外はほとんど食べないと言います。
半年前に同じ幼稚園のプレ幼稚園にも通っていましたが、そのころは落ち着いて座って絵本も聞いていて、そこまでひどくはなかったので私は驚きました。そして、年少の夏休み明けには他害も始まり、お友達をかんでしまいました。
毎月発達センターでは小児科医、臨床心理士、言語聴覚士に診てもらっていましたが、すぐに改善するような提案は出てきません。そんなとき、毎週通っていた児童発達支援事業所の指導員さんから「ペアトレ※を受けてみませんか?」と声をかけていただきました。
※ペアトレ…ペアレントトレーニングの略称。保護者の方々が子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援する保護者向けのプログラム
ペアトレ開始。いろいろな障害がある子どもを育てる親御さんと、同じ空間で一緒に学ぶ
声をかけていただいたペアトレは隔週、同じ曜日の同じ時間帯に1時間半、全部で6回行われる講座でした。
まちゃを幼稚園に預けて行きました。約10人の方々にプリントをファイルしたものが配布され「また会えたね」「お久しぶり」と挨拶している方もいました。だいたい年に1回行われていると聞きました。
1回目は「ほめ上手になろう」というテーマで用意されたプリントに従って記入して、まちゃと自分のことをみなさんの前で紹介しつつ、わが子をほめるメリットについて知る、ほめるポイントを見つけることなどを講師に質問されたり、プリントに記入したりして勉強して時間が過ぎて行きました。私も普段のまちゃとの関わりを思い出して頑張りましたが、講師の助けもあり、ときには笑いも起きて和やかに時間は過ぎて行きました。
何よりも私は子どもと離れて外出をして、障害のある子どもを育てる親御さんと集まり、一緒に過ごしている時間がとても貴重なものに感じました。目の前に座った方の発表を聞き、困りごとがまちゃと似ていると感じて孤独感も薄まりました。
まちゃを幼稚園に預けて行きました。約10人の方々にプリントをファイルしたものが配布され「また会えたね」「お久しぶり」と挨拶している方もいました。だいたい年に1回行われていると聞きました。
1回目は「ほめ上手になろう」というテーマで用意されたプリントに従って記入して、まちゃと自分のことをみなさんの前で紹介しつつ、わが子をほめるメリットについて知る、ほめるポイントを見つけることなどを講師に質問されたり、プリントに記入したりして勉強して時間が過ぎて行きました。私も普段のまちゃとの関わりを思い出して頑張りましたが、講師の助けもあり、ときには笑いも起きて和やかに時間は過ぎて行きました。
何よりも私は子どもと離れて外出をして、障害のある子どもを育てる親御さんと集まり、一緒に過ごしている時間がとても貴重なものに感じました。目の前に座った方の発表を聞き、困りごとがまちゃと似ていると感じて孤独感も薄まりました。
「あれ?これってもう…」段々まちゃに合わない内容が増えてくる(参加者の多数決?)
確か4回目の「伝え上手になろう」というテーマのときでした。
まちゃは周りから言われることは1〜2語くらいまでしか分かりません。周りの方が自分の子どもへの声かけの仕方を考えてどんどん発表していく中で、(これは言葉の理解がまちゃよりずっとできる子ども向けの内容だな…)と感じ、たまにお手伝いをサボる、2歳上のまちゃの姉(長女)を想定して考えることにしました。
でも目の前の、まちゃと少し似た症状のある子どもの親御さんはいつまでも声かけが発表できず、「うーん…」と気の毒に感じるほど悩んでおられました。
今ならこの方が正解で、私もその方と同様にまちゃに伝わる声かけやそのほかの方法を考えた方が良かったのではないかと思いますし、今も手元に残るそのときに貰ったファイルを読むと、知的障害が重くてももっと考えようのある講座だったのではないかと思います。でも、そのときに私は、ほかの大勢の方が発表している内容に孤独感を覚え、適当にお茶を濁してしまいました。
家では困ったことにならないようにまちゃの行動に先回りして解決していましたし、私の前でまちゃは比較的温厚で困っていることは少なく、問題は幼稚園などの家族以外の集団にいるときに多く起きていたので、まあ良いかなと思ってしまっていたのもあると思います。
まちゃは周りから言われることは1〜2語くらいまでしか分かりません。周りの方が自分の子どもへの声かけの仕方を考えてどんどん発表していく中で、(これは言葉の理解がまちゃよりずっとできる子ども向けの内容だな…)と感じ、たまにお手伝いをサボる、2歳上のまちゃの姉(長女)を想定して考えることにしました。
でも目の前の、まちゃと少し似た症状のある子どもの親御さんはいつまでも声かけが発表できず、「うーん…」と気の毒に感じるほど悩んでおられました。
今ならこの方が正解で、私もその方と同様にまちゃに伝わる声かけやそのほかの方法を考えた方が良かったのではないかと思いますし、今も手元に残るそのときに貰ったファイルを読むと、知的障害が重くてももっと考えようのある講座だったのではないかと思います。でも、そのときに私は、ほかの大勢の方が発表している内容に孤独感を覚え、適当にお茶を濁してしまいました。
家では困ったことにならないようにまちゃの行動に先回りして解決していましたし、私の前でまちゃは比較的温厚で困っていることは少なく、問題は幼稚園などの家族以外の集団にいるときに多く起きていたので、まあ良いかなと思ってしまっていたのもあると思います。