発語ゼロ、身辺自立も課題な息子の就園先問題。幼稚園、保育園、公立と私立…園によって必要な発達のハードルも違うようで!?

ライター:べっこうあめアマミ
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10月、11月は、多くの幼稚園や保育園で入園手続きが始まる時期です。
発達に何かしらの課題がある子どもを育てていると、幼児期に「就園先をどうするか」という問題に直面する方が多いのではないでしょうか?
私の息子には、知的障害を伴う自閉スペクトラム症があります。
息子の場合も、就園については非常に悩まされました。
さまざまな就園先を検討した当時を振り返りながら、それぞれの違いについて感じたことを、お伝えさせていただきます。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

どんな選択肢がある?幼児期の子どもの通園先 

私立幼稚園、公立幼稚園、保育園、発達がゆっくりな子どもの就園先はどうする?
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私の息子は、幼稚園の入園を考える歳になっても発語が一つもなく、身辺の自立もまだまだできていない状態でした。息子は2歳から療育に通っていましたが、このまま就学まで療育だけ、というのも不安があり、幼稚園探しをすることにしました。

当時、まだ息子には障害の診断も出ていなかったので、私には、就学後を見据えて息子に集団に慣れてもらいたいという思いがありました。療育には通い続けたいと思いましたが、そのころわが家が住んでいた地域では未就学児の療育である児童発達支援はいっぱいで、平日週5日通える保証はありませんでした。

現実的に考えると、療育と幼稚園に並行して通うのが、最も理想的だと考えました。しかし、動き出してみて分かったのは、発達に課題がある子どもをとりまく、厳しい就園事情でした。

そのとき、私立幼稚園、公立幼稚園、保育園の3つを比較検討して思ったことを、障害児の親の私目線でまとめてみたいと思います。

※療育や幼稚園・保育園の状況はお住まいの地域によって異なります。このコラムでは、わが家が経験したことをもとに書いています。お住まいの地域の入園基準や園の保育内容、障害がある子どもの受け入れ状況などは、自治体の窓口にお問い合わせください。

通園バスや給食、延長保育と親には助かるサービスも!でも発達ゆっくりさんには厳しいことも…私立幼稚園ってどう?

問い合わせた私立幼稚園では受け入れにシビアな園が多く、当時、発達に遅れがあり発語もなかった息子の入園を「うちでは難しいです」と断られることも多かった。
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まずは私立幼稚園。
私が住んでいた地域では私立幼稚園が最も多かった(※1)ため、息子の就園先として最初に思い浮かびました。自宅から通える範囲の幼稚園を調べたところ、その年に4歳になる学年、年少さんから3年間通えるという園が多かったです(2年保育や4年保育の園もあります)。

私立幼稚園のありがたいところは、送迎バスや給食、保育時間のあとのクラブ活動のような活動、延長保育など、充実したサービスで親の負担が少なくなりやすいことかと思います(園によります)。しかし、どんな子どもを受け入れているかは園の方針に左右されるため、息子のように発達に課題があると、入園に難色を示されることが多くありました。

私立幼稚園の場合、手厚い配慮が必要な子どもに対して加配の先生をつけることが予算上難しく、園側としても、安全に預かる自信を持てないことが多かったのかもしれません。私が入園を検討した私立幼稚園については、受け入れにシビアな印象を受けました。

とはいえ、中にはどんな子どもも快く受け入れてくれる園もあるでしょうし、加配の先生をつけてくれる場合もあると思います。
※1 令和4年度学校基本調査(速報値)によると、令和4年5月1日現在、全国の幼稚園数は、公立2,920、私立6,152です。また、幼保連携型子ども園の普及も進んでおり、全国の幼保連携型子ども園は、公立913、私立5,742です。
文部科学省令和4年度学校基本調査(速報値)
https://www.mext.go.jp/content/20220824-mxt_chousa01-000024177_001.pdf

公的な施設なので加配をつけてもらいやすい?ただ、数が少なくて…公立幼稚園ってどう?

問い合わせた公立幼稚園では、前向きに入園を受け入れてくれる幼稚園ばかりだった。歓迎する幼稚園の先生に涙を流す母。
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息子の入園について、私立幼稚園は難しそうだと感じた私は、次に公立幼稚園を検討しました(公立幼稚園は、自治体の教育委員会の指導の下に運営している幼稚園で、名称の頭に「○○市立」「○○区立」などとついています)。

すると、驚くべき反応の違いがありました。これまで私は、私立も公立も、数えきれないほどたくさんの園に問い合わせをしてきましたが、公立幼稚園では一度も難色を示されなかったのです。最終的に私は、息子を公立幼稚園に入園させることに決めましたが、教育委員会の判断として、加配の先生もつけてもらえました。

もちろん、これはあくまで息子の場合であり、障害の程度や地域によっては加配の先生はつかないこともあるでしょう。ただ、私の経験では、私立幼稚園よりも公立幼稚園のほうが、加配の先生はつけてもらいやすい傾向にあるように感じました。

しかし、公立幼稚園の一番の問題は、数が少ないことです。
わが家が当時住んでいた地域には公立幼稚園がなかったため、息子の就園のためには公立幼稚園がある地域に引っ越す必要がありました。そのほかにも、給食や延長保育もないことが多く、親の負担は多くなりがちかもしれません。
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