特別支援学校一択のはずが…母、選択を間違った!?締切直前で進路変更した理由

ライター:星きのこ
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こんにちは。漫画家の星きのこです。
現在、7歳になるダウン症のある男の子、きいちゃんを育てています。
現在、きいちゃんは地元の小学校の特別支援学級に元気に通っています。

さて、前回のコラムでは、就学先は地域の特別支援学校を希望していたのに、なぜか地元の小学校の特別支援学級に通うことになったという話を書きました。

今回はなぜ直前に(直前だったんです…)進路を変更したのかその理由を書いていきたいと思います。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

わが子は特別支援学校がいいと思っていたけれど…

ダウン症のあるわが子の就学先を特別支援学校にするつもりが、直前で特別支援学級に変更。コラム読者からのツッコミの声が聞こえる母。
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もともときいちゃんは、ダウン症のある子どもの中でも発達が早いほうではなく、就学相談でも「特別支援学校が望ましい」という判定をいただいていました。

私は特に○○学校に行かせたい!!という強いこだわりがあったわけではなく、どちらかと言えば私も就学相談の判定の結果と同じ特別支援学校に就学させられればと思っていたので、就学相談もスムーズに進んでいきました。

なぜなら、そのころのきいちゃんは、定型発達の子どもたちと発達の差が出てきていて、保育園で孤立しがちになっていたからです。
そのため、私は「同じくらいの発達レベルの子と一緒に過ごすことができれば、きいちゃんにもお友達ができて、楽しく学校に行けるようになるのではないか?となると、特別支援学校への就学が一番適しているのではないか?」と考えていたのです。

ただ、今思い返してみるとなのですが、特別支援学級に通うという現在の結論に至るまでの布石はありました。

それはきいちゃんがまだ保育園の年中さんだったころ、特別支援学校の見学に行ったときのことです。特別支援学校の先生に「子どもをできればここに通わせたいです」と話したところ、先生からは意外なお返事が返ってきました。

「でもね、お母さん。子どもの1年ってすごく変わるんですよ。特に年長さんの1年ってすごく伸びるんです。だから今、決めつけないほうがいいですよ。お子さんの成長をこれからも見てあげてください。そしてお決めになったらいいですよ。」

ということでした。

でもそのときの私は、「いやいや、ないない(笑)。きいちゃんがそんな急に伸びるわけもないし、私の希望だって変わらない。きいちゃんは特別支援学校!!」と思っていました。

それが1年後、本当に希望を変えることになるなんてーー……。
今振り返ってもその予言めいた(?)特別支援学校の先生の発言にさすが先生…しゅごい…と驚きを通り越して怖ささえ感じます(笑)。
一年前の「子どもの一年ってすごく変わるんですよ」という特別支援学校の先生の言葉通りになったことに驚愕し「ひょっとして霊能者!?」と驚愕する母。
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年長の1年で急成長!喜んだのもつかの間、母は気がついた…

その先生がおっしゃった通り、年長さんになったきいちゃんの発達の伸びは目覚ましいものでした。
おしゃべりはもちろん、親の私がビックリするくらい、できることがものすごく増えました。あんなに苦手だったトイレも成功することが増えました。

そして何よりーーー……保育園のお友達と仲良く遊ぶ姿が見られるようになったのです…!!
それはとてもうれしい変化でした。きいちゃんにお友達ができているーー……!!

……とうれし泣きをしたのと同時に、

「……あれ……??ということは、これ、特別支援学級でも問題ないんじゃないか……??」
という思いがよぎるようになりました。

特別支援学校の先生が言っていたのはこのことだったのかーーー……!!(遅い気づき)
本当に年長の1年ってすごい!!

……って、もしかして、あれ…??私……
何ヶ月も前に特別支援学校への進路希望を提出してしまい「私…選択間違えた…?」と白目になる母。
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…と気づいたのでした……。

そんなことを思っても、もう何ヶ月も前の就学相談で、『特別支援学校に就学希望』と書類を提出しています。そして時はすでに10月。入学の半年前で、もうすぐ学校説明会です。

ど、どうしよう、私、間違えてしまったのかもしれない…
もうこの時期なんだから進路変更ってできないよね!?
というか、相談員さんもビックリだよね……
でも、聞いてみることはできるよね??
えーーーい!!!!聞くだけでもーーーー……!!!!!

と、ビクビクしながらですが、相談員さんに連絡してみるとー……

「1週間後でしたら、書類を学校側に提出したあとだったので、変更はできませんでしたが、今ならギリギリできます」

とのお返事が。

「どうしますか?特別支援学級に変更しますか?」

と相談員さんに聞かれ…

「と、特別支援学級にお願いしますーーー……!!!」

と、ギリギリに変更をお願いすることに。(実際は3日間お時間をいただいて、悩みに悩んで変更をお願いしました)全く相談員泣かせもいいところだと自分で思います。反省……。
申請期限ぎりぎりに就学先変更を申し出た母に対し「本当にいいんですね…?」という相談員さん。その言葉に「よ、よかとですー!!」と叫ぶ母。
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ギリギリでの進路変更。地元の特別支援学級へ通うことに

さて、それからの私……。

今まできいちゃんの進学先は特別支援学校と迷いはなかったはずなのに、ギリギリに変更した自分の決断にも驚き、これでよかったのかどうだったのか、自分の決断に間違いはなかったのか、ほかのご家庭よりも遅れて悩み始めました(汗)。

パパともさんざん話し合ったのですが、もし特別支援学級がきいちゃんに合わなかったらいつでも特別支援学校に転校させようということで意見が一致。とりあえず地元の特別支援学級に進学させることになりました。(というか、もう申請書類は出してますが…)

さて、当の本人、きいちゃんが実際に特別支援学級に通ってどうだったかというとーー……。
それが、とっても楽しく学校に通ってくれています!
ちょうど、きいちゃんと同い年の男の子が同じ特別支援学級に新1年生として入学したということもあって、念願のお友達もできました!

今ではお互い、下の名前で呼び合って楽しそうです。

果たして特別支援学級を選んだことが本当に正解だったのかそうでなかったのかは分かりませんが、(特別支援学校に行ってもきっと楽しく学校生活を送れていたと思うので)楽しく学校生活を送れているということで、私にとっては満点です。

就学の時期のお子さんを持つパパママたちは本当にいろいろ悩み、迷うと思いますが、それぞれのお子さんを見て、そして最後は誰かの意見ではなく、ほかならぬご自身の勘や思いで学校選びをしていただければと思います。

一番お子さんを見ているのは、一番近くにいるパパママなのですから。
「ひろとー」「きいちゃん!」と友達の下の名前を呼びあう息子の姿を「これが見たかったのよ…」と物陰から見つめる母。
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執筆/星きのこ
(監修:鈴木先生より)
就学先を決めた後でも変更が自由にできるシステムであれば、直前に悩まなくてもいいのですが、現在のシステムでは、毎年秋に各市町村の教育委員会で特別支援教育委員会が行われ、そこで来年度就学予定のお子さんについて、特別支援学校・地元の小学校の特別支援学級・通常学級のいずれに通うのかを議論しています。
お子さんがどこに通うかは最終的には親御さんの意思が尊重されることになっています。もちろん本人の意見も大事です。
療育手帳が中等度なら特別支援学校を選択される方が多いのは事実です。ただ、いったん、特別支援学校に在籍すると、地元の特別支援学級に転校しづらいのが現状です。それならばまずは入学後1年間だけでも地元のお友達と一緒に勉強してみることも一つの手段です。特別支援学校は地元から離れたところにあり、バスで通学することも多く、地元の子どもたちがきいちゃんを知る機会が少なくなるという面もあります。最初の1年間だけでも地元の小学校へ通うことは決して悪いことではありません。
ただ、地元の小学校では、特別支援教育に関する専門的な知識を持つ教員が少ないことも多く、人手の面でも手厚い特別支援学校に比べると、きめ細かい配慮を求めることが難しいという面もあります。限界を感じたら早めに特別支援学校へ移る決断も必要でしょう。特別支援学校では、社会的自立に向けた教育ができて最終的には就職率がいいからです。
校長や親の判断ですぐには転籍・転校ができない点が現状の課題だと感じています。もっと柔軟な世の中になるといいですね。

このコラムを書いた人の著書

きいちゃんはダウン症(1)
星きのこ(著)
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