「息子は自閉症」ママ友に伝えたら離れていきそう?私が積極的にカミングアウトした理由

ライター:立石美津子
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わが子に障害があると分かったとき、ママ友に伝えるべきか悩んだことがある人も多いのではないでしょうか。

4歳の子どもに障害があると分かった知人に相談をされたことがあります。
「子どもの障害をママ友に話してしまうと、ママ友が離れていってしまう気がして、周りに伝えられない…」

今から20年以上前、息子に自閉症があると分かった私の場合についてお話しします。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

園の壁面には「みんななかよし」の標語

自閉スペクトラム症がある4歳の子どもを育てている知人に相談をされたことがあります。
「子どもの障害をママ友に話してしまうと、ママ友が離れていってしまう気がして、周りに伝えられない…」

確かに幼稚園の壁面には「みんななかよし」の標語が。年長さんの保育室には「しょうがっこうにいったら ともだち100にんできるかな?」「がっこうにいっても みんななかまだよ」などと貼ってあります。

そのような環境の中で、保護者自身も「どの保護者とも仲良くしたほうがいいのかな。でも、わが子の障害を伝えたら、『トラブルに巻き込まれたり、自分の子どもの足を引っ張られたりしそう』と避けられてしまうかもしれない」と考えたのかもしれません。

「障害がある子どもとは関わらせたくない」と考えている人と、友達になりたい?

自分自身に問いかけてみてください。
「障害のある子どもとは関わらせたくない」という考えを持っている人と、友達になりたいでしょうか。

私は少なくとも、お断りです。無理して付き合うと疲弊してしまうからです。

私は息子の障害が分かった3歳のころから、担任の保育士や園長だけでなく、ママ友にも「息子は自閉症という障害があります。迷惑をかけることもあるかもしれませんが、これからも母子ともによろしくお願いします」と伝えてきました。

今から20年も前のことで、発達障害についてそれほど認知されていなかった時代です。なかには、「障害のある子どもと関わらせたくない」と嫌な顔をする人もいました。でも、そういう人はたった一人しかいませんでした。

「自閉症?自分の殻に閉じこもっているのでしょう?」
「うつ病みたいなもの?」
「もっと抱き締めてあげたら治るんじゃないかな、愛情をみんなでかけてあげようよ」
などと見当違いなアドバイスをくれる人もいました。

でも、その発言に悪意はなく、知識がないだけなのです。自分の人生で障害がある人に関わったことがなかったら知識がないのは当然です。

ですから私は
「性格とか殻に閉じこもっているのではないのよ。生まれつきの脳の機能障害なの」
「病気ではないから治らないのよ」
と伝えました。

親しいママ友には、「無理に『一緒に遊ぼう』と誘わなくていいからね」と、わが子との関わり方についてお願いをしました。

ママ友に息子の障害を伝えたら楽になった

息子の障害を公表したことで、幼稚園の保護者とはさらに親しくなれたように思います。

それまでは
「息子の行動について、周りの保護者からどう思われているだろうか」
「しつけができない親と思われているのではないか」
とヒヤヒヤしていたのですが、ずいぶんと気が楽になりました。

親しくなったママ友は、ファミレスに一緒に行ったときには息子が席を離れて脱走しないように、奥の席を空けてくれたり、息子の誕生日プレゼントに数字カードや文字カード(当時はこれにはまっていました)を贈ってくれる人まで現れました。

また「知人に自閉症傾向がある子どもがいるんだけど、その子のママは気が付いていないみたい。教えてあげた方がいいかな。」と相談されることもありました。

ママ友に伝えるかどうか悩んでいる方の参考になれば幸いです。

執筆/立石美津子

(監修 鈴木先生より)

ママ友もいいのですが、各地には自閉症親の会や日本自閉症協会の都道府県支部というのもあります。いずれも最新の情報が入ってくるので、有効に使ってみてはいかがでしょうか。
自閉スペクトラム症の子が自分で自己紹介できるような教育も重要です。
「感覚過敏やこだわりがあるので、優しく接してください」などと自閉スペクトラム症の特性について隠さずに周りに理解をしてもらうことが重要で、それがすぐに分かり合える世の中が理想と言えるでしょう。

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