「夜寝ない、やけどを痛がらない、発語なし」は自閉症の兆しだった?1歳半健診では問題なし、2歳10ヶ月で自閉スペクトラム症と診断されるまで

ライター:カタバミ
「夜寝ない、やけどを痛がらない、発語なし」は自閉症の兆しだった?1歳半健診では問題なし、2歳10ヶ月で自閉スペクトラム症と診断されるまでのタイトル画像

まちゃは今、中度知的障害で特別支援学級に通っている小学1年生ですが、2歳10ヶ月で診断を受けるまでは、私はたまに不安になりつつも発達に関する大きな心配はありませんでした。私は障害に対してほとんど知識がない母親でしたが、母子相談室にも育児支援センターにもよく出かけていて頻繁に相談していました。今回は、そんな中でまちゃに発達障害があると診断されるまでをご紹介できたらと思います。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「TOIRO」の制作スタッフ。

甘えん坊で寝ない赤ちゃん

自閉スペクトラム症と知的障害のある息子まちゃは、赤ちゃんのころ、とにかくまとまって寝ませんでした。それはまるで背中にスイッチがあるようでした。(イラスト、カタバミ)
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まちゃは赤ちゃんのころ、抱っこしているときには静かに寝てくれましたが、ベッドなどに寝かそうとするとすぐに起きて泣いて私を呼びました。2歳上のお姉ちゃんはよく寝る子どもだったので、眠っても1〜3時間で起きて、昼夜問わず泣くのは大変だなと感じました。でも、周りのママ友からはなかなか寝ない子どももいると聞いていたので、まちゃはそういう子どもなんだな、でも甘えん坊で可愛いなと思っていました。

お姉ちゃんが社交的な性格で、幼児教室にも通っていたので、そのお弁当づくりや送迎、お姉ちゃんのお友達と遊ぶために公園に行ったりして毎日忙しく、このころまちゃの発達について不安になった記憶はありません。

生後9ヶ月で歩き出したら一変

自閉スペクトラム症と知的障害のある息子まちゃは、9ヶ月から活発に動き出すようになりました。危ないよと言っても机や棚の上によじ登るので「危ないよ」と言って下ろすというのを一日中していました。(イラスト、カタバミ)
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まちゃは寝返りもハイハイも早く、歩き出したのは9ヶ月でした。お姉ちゃんは運動があまり得意ではなかったので喜んでいたら、どんどん動き回って机にも棚にも登るようになり、一日中「危ないよ」と言って抱えて下ろすようになりました。お姉ちゃんは1度注意したら同じことはやらなかったので驚きました。

知り合いにアドバイスをされて、棚の上にあるまちゃが気になりそうな物を箱に入れて見えなくしたら、ピタッと棚には登らなくなりました。でも机には変わらず登り続けました。ベビーゲートもあっという間によじ登ってしまいました。
活発に家じゅうを動き回っていた1歳を過ぎたころ、まちゃは目を離した隙にアイロンを足の上に落としてひどい火傷をおってしまいました。しかし、まちゃはそれほど痛がらず、皮膚科の先生に怪訝な顔をされたことを今も良く覚えています。このころは深く考えていませんでしたが、今となっては「感覚鈍麻」という特性ということが分かります。しかし、当時のママ友達からも「男の子はそんなものよ」と言われていました。

1歳過ぎて実父からの指摘。2歳を過ぎて言語聴覚士からの指摘

1歳過ぎて実父からの指摘。2歳を過ぎて言語聴覚士からの指摘があり、発達相談を受けることに(イラスト、カタバミ)
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まちゃが1歳2ヶ月のとき、離れて暮らす実父と会ったときに「まだしゃべらないな。男の子は本当に言葉が遅いんだな」と言われました。そこで私は初めてハッとしましたが、2歳を越えたらしゃべり出した話も良く聞いていたので、2歳までは様子を見ようと思いました。

1歳半健診で言葉の遅れを相談したら「お母さんと2人だけの時間をもっとつくってあげてください」と言われました。お姉ちゃんが親の参加が多い幼稚園に入ったので良くまちゃを連れて行きましたが、少しでも目を離すとあっという間にどこかに行ってしまうので、物分かりが良いお姉ちゃんよりもまちゃが大変だった記憶しかありません。

2歳になる少し前に育児支援センターに隔月で来ていた言語聴覚士に相談に行き、そこで初めて「この年齢ならできているはずことができていません」と発達の遅れを指摘されました。まちゃは「これをお父さんに持っていって」というような行動もできなかったのです。このときに発語を促す関わり方をいくつか教わりました。夫とももっと丁寧にまちゃと関わろうと話し合い、発達センターで正式に発達検査を受ける予約を入れました。そして大好物だった「バナナ」と言う練習を始めたりして、隔月でまた言語聴覚士のところに行きました。
次ページ「発達センターで受診。自閉スペクトラム症と診断される」

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