自閉症娘は音感抜群!周囲の期待とは裏腹に、3歳から通ったピアノ教室をあっさり辞めた「娘らしい理由」

ライター:寺島ヒロ
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わが家の 凸凹兄妹は、兄のタケルは水泳を6年間、妹のいっちゃんはピアノを9年間習っていました。兄のタケルの習い事については前回書かせていただいたので、今回は娘のいっちゃんが、どんな習い事をしていたかと、今になってその経験がどう役立っているかなどについて、書かせていただきたいと思います。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

抜群の音感を持って生まれたASDっ子

いっちゃんは小さなころから音楽が大好き!
公園に行けば棒でリズムを取りながら遊具を叩きまわり、1歳になるころには3分程度の曲を覚え、ほぼ完ぺきな音程で歌うことができました。
 
私の実家にあったピアノにも早くから興味を持ち、3歳ごろには、簡単な曲なら耳コピして両手で曲を弾くことができるようになっていました。
幼いころから音に敏感だったいっちゃん。すべての周りの音が音階で聞こえてつらいときも...
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CMを見て「ピアノ教室に行きたい!」と主張

ピアノを習い始めたのは、3歳3ヶ月の5月です。
テレビCMで受講生の募集を目にして「わたしこれ行く!」と、珍しく口に出して主張しました。
言葉がほとんど出ず、また尿意が鈍いところもあったので、自分でトイレに行くことはおろか、「おしっこ」と教えることもできなかったいっちゃん。当時はまだ日常的におむつをしていたと思います。それが「ピアノ教室に行きたい」と言いだしたので、とても驚きました。
実を言うと、私はピアノ教室に通うのはまだ無理だろうと思っていました。私自身の送り迎えと付き添いの時間も必要ですが、兄のタケルの障害が分かったばかりで、あまり余裕もなかったですし。それで「ピアノ行く!明日行く!」といっちゃんが言うたびに「予約した日がまだ来ない」とはぐらかし続けていました。
しかし結局、孫に甘いおばあちゃんが「体験入学だけだよ」と、連れて行ってしまい、実際にピアノのレッスンを受けてみたことで、いっちゃんの中では「ここに通うことに決定!」してしまいました。またしてもわたしがぼーっとしているうちに、子どもの習い事が決まってしまったのでした。

ピアノのためなら頑張れる?課せられた試練

そのピアノ教室では、原則満3歳児は4月からレッスンがスタートするのですが、4月の本レッスン開始前に、2月からプレ教室に通うことになっているのだそうです。つまり、5月から習いはじめたいっちゃんにとっては、同じクラスの子どもたちと比べ3ヶ月分の遅れが生じるということになります。
 
ふーん、3ヶ月遅れかー...。
 
と、思っているだけでは終わらなかったのです。
 
担当の講師の先生が決まったとたん、呼び出され「5月の入校までに追いついてください!できなければ私の教室には入れられません」と、言い渡されてしまいました。
3歳からこのピアノ教室に通う子どもは基本的にプロ志向であることを、私はそのとき初めて知りました。冷や汗をかく私を尻目に、いっちゃんは「やるます!」と鼻息荒く言い放ち、課題の楽譜を持ち帰りました。そしてその言葉通り、それから1週間、毎日8時間の練習に耐え、見事その先生の教室に席を勝ち取ったのでした。
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