睡眠障害と発達障害の関係は?「起きられない」「寝つきが悪い」何科で診てもらえる?薬は処方される?起立性調節障害やナルコレプシーについても【小児科医QA】
子どもが寝ない、夜泣きがひどいなど、子どもの睡眠で悩まれている方も多いのではないでしょうか。自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることがあります。
今回は、発達障害と睡眠の関わり、睡眠障害についてなど発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられている悩みを中心にご紹介します。小児科医の藤井明子先生からのアドバイスもいただきました。ぜひ参考にしてみてください。
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
子どもの寝つきが悪い…これって睡眠障害?睡眠にまつわるギモン
子どもの睡眠のギモン
「5歳すぎてもまとまって寝ないのは、発達障害が関係しているのでしょうか」
「みなさんは眠れていますか?眠れないときはどうしたらいいのでしょうか」
「日中に寝てばかりの息子がいます。服薬をしていますが効果がありません」
これらは、発達ナビのQ&Aコーナーに実際に書き込まれた、睡眠にまつわる悩みです。
このコラムでは、睡眠のなぜ?から、発達障害と睡眠障害の関わり、服薬についてなど、体験談や、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。
【解説】睡眠障害とは?子どもの睡眠障害の種類
・不眠症 …寝つきが悪い、眠りが浅く途中で何度も目が覚めてしまう、朝早く起きてしまう、眠りの質が悪いなど、睡眠が十分でない状態
・過眠症 …夜ちゃんと寝ているはずなのに、日中あらがえないほど眠い状態
・概日リズム睡眠障害 …昼夜のリズムと体内時計がうまく合わず、調節できなくなって睡眠リズムがくずれてしまい、社会生活に支障をきたす状態
・いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS) …子どもの場合、いびき、無呼吸の主な原因は、鼻づまりやアデノイド・口蓋扁桃(こうがいへんとう)といったのどや鼻の奥のリンパ組織の肥大で、物理的に気道が狭まること。また、肥満で気道が狭くなることも
・むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群) …脚などの下肢がむずむずするなど動かしたい強い衝動がある状態
・睡眠関連律動性運動異常症 …乳幼児期から4歳くらいまでの時期で発症する睡眠障害。頭を左右に振ったり、前後に強く動かすなどする。9ヶ月の子どもでは59%に見られるほど、乳児期には非常に多い症状だが、5歳前後には5%以下に
・睡眠時随伴症 …睡眠中に生じるねぼけ、夜尿、歯ぎしり、悪夢などの身体的現象の総称
子どもは、新生児期には昼夜を問わず短い睡眠・覚醒を繰り返しますが、乳児期から夜間睡眠が中心になり、3歳から6歳になるころには昼寝をとらなくなるなど睡眠リズムが徐々に確立していきます。赤ちゃんの眠りはまだ眠りが浅く、夜泣きをすることも多くあります。幼児期(3歳から6 歳ごろ)までに浅い眠りと深い眠りのサイクルが大人と同様のリズムに移行していきます。そのため、幼児期になっても睡眠に何らかの問題がある場合、改善の必要があるといえます。
発達障害と睡眠障害の関連は?
【解説】発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることは多い
乳幼児期の睡眠は脳の発育にも関わるため、睡眠障害が長引くこと自体が睡眠不足や生活リズムが乱れて悪循環を生み、子どもの心身の発育に影響している可能性も否定できません。
自閉スペクトラム症と睡眠障害の関わり
そのため、自閉スペクトラム症のある子どもの睡眠の問題には、なかなか寝つけない、入眠することができない、 夜中に起きて騒いでしまう、ちょっとしたことで起きてしまうなどが多くあります。
ADHD(注意欠如・多動症)と睡眠障害の関わり
また、ADHDのある人の脳には脳内の神経伝達物質であるセロトニンに偏りが生じているともいわれています。そのため、セロトニンを原料としてつくられるメラトニンという体内時計をコントロールするホルモンにも偏りがでてしまうため、不眠や概日リズム睡眠障害に陥りやすいのではないかと考えられています。
【発達ナビQ&Aコーナーより】ADHDのある小学6年生、寝つきが悪く、朝起きられない!どうサポートすればいい?
Q:来月から6年生になる男の子の母です。
ADHDの子は寝ない子・寝付きが悪い子が多いと言われていますが例にもれずうちも小さい頃から寝付きが非常に悪く、そして寝ると朝本当に起きられません💦
少し前までおやすみをした後隠れてタブレットで動画見てたりしていたので没収しました・・・携帯は夜間ロックをかけています。
普段は自分の携帯のアラームをかけさせていますが、全く起きず叩いても起きず、ベッドから引きずり降ろしてようやく起きます😓体も大きくなってきたので正直この起こし方が最近本当に大変です・・・。(中略)
同じようなお子さんお持ちの親御さん、どのような対策とられてますか?病院にかかってみた方がいいのかな?と思ったこともあります💦
A:息子もADHDとASDです。
赤ちゃん時代は、眠りが浅い子でした。
幼少期も夜驚や寝言が多かったです。
それほど深刻には考えていなかったのですが、高学年になっても寝相がかなり悪く、主治医に相談し、メラトベルと言う睡眠ホルモンの薬を試してみました。(中略)
朝起きられない問題は、コロナ禍で生活リズムが不規則になった頃からです。
やはり、就寝前の電子機器の使用で就寝時間は徐々に遅くなり、22時半頃になることもあります。
朝は休日でも8時起床にしていますが、息子もなかなか起きられません。
自分の力で起床することが、自立の一歩だと思っているので、スマホのアラームやAlexaなど工夫して平日は一人で起きるようにしています。
寝坊した場合は、就寝時間を早めるように促しています。
熟睡できている事が前提だと思うので、1度主治医に相談してみては?
A:違う切り口からの回答なんですが、職場で専門機関監修の睡眠改善セミナーを受けた中で使えそうなテクニックをいくつか。
・睡眠環境を整える
→寝室に光源を極力置かない。ダウンライトなどを活用。就寝中は家電のランプも塞ぐ(専用シールとかあります)
→窓の隙間も塞ぐ。暗幕の活用
→温度湿度の管理、寝具、パジャマの見直し(大人もついでにやってみては)
・寝る前のスマホテレビ、照明
→理想は1時間前にやめる。
→リビングが調光できるならば、夕食前あたりから外に合わせて光量も落とす。
・朝起きた時の楽しみを作る
→朝飲む飲み物を少しリッチにする、朝ごはんへの投資、早起きして好きな映画を見るなど。
(弟はゲーム時間確保のために早起きしてました)
環境改善は一緒に寝てるのであれば親御さんの睡眠にも作用するのでおすすめです。年齢的にもう別々でしょうか?
個人的には「朝起きる目的」があるパターンが学童期は一番効いたなと思います。私自身も見たいアニメがある、夏のラジオ体操でコンプリートして記念品もらいたい、という俗物的な目標があった方が起きてました。
参考になれば幸いです。
【小児科医に聞く】睡眠の大切さ、子どもの睡眠問題、何科を受診すればいい?、発達障害と睡眠障害の関わり、服薬のギモン、睡眠障害がある子どもへの対応など
Q:子どもの成長に睡眠は重要なのはどうしてですか。
睡眠の時間が短い、質が悪いなどで、睡眠の役割が十分に果たされないと、子どもの心身の成長や発達に影響が及ぶとされています。
Q:子どもが寝ないという理由で、病院にかかるとしたら小児科でいいのでしょうか。どんな小児科でも相談できるのでしょうか。
Q:5歳の子どもがいます。発達障害は未診断ですが、親から見てASDの発達特性があるような気がしています。早く寝かす、日中に身体を動かす、など子どもが夜寝られるように対策をしていますが、寝つきが悪かったり、寝ても短時間で起きてしまいます。一時的なものなのか、病院を受診したほうがよいのか悩んでいます。
Q:発達障害があり、睡眠障害を併存している場合、どのような治療法がありますか。必ず薬が処方されるのでしょうか。
発達障害に伴う入眠困難なお子さんへは、メラトニン受容体作動性入眠改善薬(一般名:メラトベル)を使用することがあります。メラトニンは、体内時計に働きかけ、睡眠と覚醒を切り替えて、眠りを促す作用があります。
Q:7歳の息子にはASDがあり、睡眠障害の併存があると診断されています。赤ちゃんのころからなかなか寝ない子どもでした。最近になり易刺激性の薬が処方されましたが、服用にあたって気をつけることはありますか?飲み続けて大丈夫なのか心配です。
Q:中学生の子どもは、昼夜が逆転してしまっているような状態です。睡眠のリズムを取り戻すには、家庭でどのようなサポートができるでしょうか。
Q:中学2年生の息子は、授業中に周りに起こされても気づかないほど居眠りをしてしまうようになりました。調べると「ナルコレプシー」にあてはまるのではないかと思っています。居眠りを頻繁にするという理由で、受診をすることは可能なのでしょうか。何科を受診したらよいですか。
Q:小学生の娘は朝起きられず、起立性調節障害と診断されました。夜もなかなか寝つけません。起立性調節障害と睡眠障害の違いについて教えて下さい。
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子どもの成長に欠かせない「睡眠」。睡眠に関する悩みが解消しないときは抱え込まず、医療機関へ
発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることも多く、睡眠の問題は、単純に生活習慣の乱れではなく、何かしらの原因が背景にある可能性もあります。
また、わが子が寝ないと、保護者も眠れず、親子共に疲弊してしまうこともあります。小児科医では、病気のことだけでなく、子どもの生活全般、生活習慣について相談することも可能ですので、心配なことがあれば、かかりつけ医に相談してみましょう。
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発達ナビのQ&Aコーナーに気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!
ぜひチェックしてみてください。
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神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。