これって発達障害?3歳から激しい癇癪、小学生でも「泣き怒り」で数時間!発達障害の診断を受けてようやく分かった息子が怒る理由
ライター:寺島ヒロ
Upload By 寺島ヒロ
わが家の長男タケルは3歳のころから突然激しい癇癪を起こすようになりました。どちらかといえば普段は大人しく温和な性格なタケル。何がそんなに息子を怒らせているのか分からず親は右往左往してしまいます...。今回はそんなタケルと向き合う中で感じたことを、正直につづってみました。
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
発達障害とは知らずに過ごした乳幼児のころ
うちの息子タケルは2000年生まれ。親の私が発達障害を疑い始めたのは2005年ごろ、実際に診断を受けたのは2008年になってからです。
赤ちゃんのころから、ちょっとしたことでもよく泣いていたタケル。小さな音に敏感で、家の外から車のクラクションの音がすれば泣き、幼稚園で友達から肩を叩かれては泣き、スプーンが落ちた音でも泣いていました。しかも、ひっくり返ったり、突っ伏したりして、それはそれは長く長く泣いているのです。
赤ちゃんのころから、ちょっとしたことでもよく泣いていたタケル。小さな音に敏感で、家の外から車のクラクションの音がすれば泣き、幼稚園で友達から肩を叩かれては泣き、スプーンが落ちた音でも泣いていました。しかも、ひっくり返ったり、突っ伏したりして、それはそれは長く長く泣いているのです。
タケルが幼稚園生だった当時は、まだ発達障害という言葉もあまり知られていませんでしたし、私もまさかわが子に発達障害があるとは思わず、「この子は繊細だなあ。こんな調子では大きくなって苦労するだろう。たくましく育てなければ!」と思っていました。
泣き+暴れ 激しい癇癪にビックリ
しかし、3歳になっても4歳になっても、音に驚いて泣き出すクセが治ることはなく、身体が大きくなり声も大きくなったことで、より暴れ方が激しくなってきました。「うおー!うおー!」と叫び声をあげて倒れ、そのまま身体をよじりながら泣き続けます。時には1時間も2時間も泣き続けていることもあります。故意に人や物に暴力を加えることはありませんが、机には体当たりするし、床に置いてあったものは粉々です。
「どうしたの?何かあった?」と聞いても「あった」とはいうものの、それ以上の説明はわあわあという泣き声に紛れて要領を得ません。そのは私も少し「この子には発達障害があるかも...」と疑っていたので、聞きかじりの知識で「これが癇癪ってやつなのかな!?」と思っていました。
「どうしたの?何かあった?」と聞いても「あった」とはいうものの、それ以上の説明はわあわあという泣き声に紛れて要領を得ません。そのは私も少し「この子には発達障害があるかも...」と疑っていたので、聞きかじりの知識で「これが癇癪ってやつなのかな!?」と思っていました。
癇癪を起こしたときの対処法は
うちのタケルの場合は、ずっと感情が爆発して泣いている様子ではあるのですが、得物をもって暴れたりはしなかったので、疲れて小休止を取っている隙を狙いすまして、毛布などで包んで、暗い部屋に放り込むということをやっていました。
しかし、泣きやんでから何があったのか、どうして怒ったのかを聞いても、本人はほとんど覚えていないのです。憑き物(つきもの)が落ちたようにケロッとして自分の遊びに戻っていってしまいます。どうしてこんなに激しく怒るのか、そもそも何をそんなに怒っているのかは、ずっと謎のままでした。
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小学生になっても感情爆発!は止まらない
小学生になったタケルは、泣きながら床を転がることこそなくなりましたが、周囲には理解できないことで怒り、何時間も泣いているような「泣き怒り」がしばしばありました。
家では布団にくるんでおけば安全ですが、小学校で癇癪が起きると、校庭や廊下で棒立ちのままワンワン泣き続けてしまったり、勝手に家に帰ってきてしまいます。
学校で迷惑をかける...ということもあるのですが、泣きながら公道を走って帰宅するわけなので、とにかく事故に遭わないかが心配でした。ですので、息子が学校で泣き始めたら電話をもらうことにして、その都度私が学校まで迎えに行き早退させていました。
今思い返してもこの時期が1番忙しかったし、「なんでこんなことしちゃってるんだろう?」と私自身も混乱していたと思います。
学校で迷惑をかける...ということもあるのですが、泣きながら公道を走って帰宅するわけなので、とにかく事故に遭わないかが心配でした。ですので、息子が学校で泣き始めたら電話をもらうことにして、その都度私が学校まで迎えに行き早退させていました。
今思い返してもこの時期が1番忙しかったし、「なんでこんなことしちゃってるんだろう?」と私自身も混乱していたと思います。
予定通り進まないと怒るのはASDの特性!?
いろいろな謎が解けたのは、2008年以降、タケルに発達障害(アスペルガー症候群、現在はASDに統合)があると分かってからです。
発達障害について詳しく知りたいと読んだ本の中に、ASDのある子どもは予定通りに物事が進まないと激しい癇癪を起こす場合があると書いてあるのを見て、私は「これだ!」と膝を打ちました。
小さかったころのタケルは「ただ音に驚いたから泣いていた」と私は思っていました。でも、もしかしたら「音が聞こえたことで、自分の心の中の予定が変わったり、やろうとしていたことを忘れたから怒っていたんじゃないか?」と気がついたのです。
その日も家で癇癪を起こしたタケルに、早速「何かやろうとしていたことがあったんじゃないの?」と聞いてみました。すると「そうだよ!頭の中に全部できてたのに、お父さんがつけたテレビがうるさいからもう台無しなんだよ!!」と言うではありませんか!ビンゴ!!
小さかったころのタケルは「ただ音に驚いたから泣いていた」と私は思っていました。でも、もしかしたら「音が聞こえたことで、自分の心の中の予定が変わったり、やろうとしていたことを忘れたから怒っていたんじゃないか?」と気がついたのです。
その日も家で癇癪を起こしたタケルに、早速「何かやろうとしていたことがあったんじゃないの?」と聞いてみました。すると「そうだよ!頭の中に全部できてたのに、お父さんがつけたテレビがうるさいからもう台無しなんだよ!!」と言うではありませんか!ビンゴ!!
発達障害の息子の「自分にとっては当たり前なこと」
「いつもそれで怒ってたの?どうして予定通り進まないのが嫌だったと言わなかったの?」と聞くと、「予定が崩れるのは誰だって嫌なものでしょう?」とタケル。
学校ではよく先生からの声かけや、子ども同士のボディタッチがありますが、それがタケルにとってはいちいち煩わしく「邪魔をされている」と思っていたようなのです。本人からすると、それはあまりに当たり前のことで、説明する必要もないこと。だから余計「なぜボクがこんなに理不尽な目に合っているのに分かってくれないんだ!」と怒りが募っていたのでしょう。
息子のように発達障害のある子どもは「普通の(多くの)人だったら平気」が分かりません。タケルにとっては「自分だったら不愉快だ」が当たり前で「ほかの人もそうだろう」なのです。こういうことは、意外と見過ごしがちになってしまうところだなあ...と反省しました。
息子自身が障害を理解することで癇癪を軽減
「ほかの多くの人は声かけや音などで邪魔が入ったとは思わないし、することも忘れない」ということを知ったので、タケルは「意地悪されているわけじゃなかったんだ」と他人に怒りを向けることがなくなりました。学校での「泣き怒り」も、ぴたりと止まりました。
また「中断がこんなにも不愉快なのは障害の特性」ということを、息子自身が理解したことで、集中して考えたり、手順の多い作業をするときは、静かな環境をつくってリスクを減らしてから取り掛かることができるようになりました。
残念ながら、22歳になった今でも「何か邪魔が入ると忘れてしまう」という特性自体がなくなったわけではありません。たまに「あー!考えが飛んでったー!」と言いながらイライラしていることもあります。
それでも子どものころに比べたら、本当にたまにのことになりました。一生解決しない問題なのかもしれませんが、うまく折り合いをつけていって欲しいと祈るばかりです。
それでも子どものころに比べたら、本当にたまにのことになりました。一生解決しない問題なのかもしれませんが、うまく折り合いをつけていって欲しいと祈るばかりです。
執筆/寺島ヒロ
(監修:藤井先生より)
タケルさんの癇癪、泣き怒りの理由が、とても長い時間を経て分かったのですね。2000年生まれだと、今よりも発達障害や発達障害の特性について知る機会が少なかったかもしれません。その状況の中、寺島ヒロさんが毛布にくるんでクールダウンする環境を整えたり、泣き怒りの理由を一緒に探ろうと質問されたことで、対処法を探ることができましたね。
2~3歳ごろの癇癪スタートの年齢では、癇癪の理由をお子さんが言葉にすることは難しいですが、このように実際のエピソードを共有していただくことで、癇癪の対応に苦慮されている親御さんの手立てになりそうですね。
タケルさんの癇癪、泣き怒りの理由が、とても長い時間を経て分かったのですね。2000年生まれだと、今よりも発達障害や発達障害の特性について知る機会が少なかったかもしれません。その状況の中、寺島ヒロさんが毛布にくるんでクールダウンする環境を整えたり、泣き怒りの理由を一緒に探ろうと質問されたことで、対処法を探ることができましたね。
2~3歳ごろの癇癪スタートの年齢では、癇癪の理由をお子さんが言葉にすることは難しいですが、このように実際のエピソードを共有していただくことで、癇癪の対応に苦慮されている親御さんの手立てになりそうですね。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
発達支援施設を探してみませんか?
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