祖母から孫まで発達凸凹!親子3代総勢10人、念願の外食は対策するも大パニック!てんやわんやの顛末記【新連載】
ライター:ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ
わが家は息子2人、娘2人、婿1人、孫3人で、みんながそろうと10人の大家族です。子どもは全員成人して社会人で、孫はこの春から全員小学生になりました。
実は私たちは、夫ラクマを除いた家族全員が、個性いろいろな発達凸凹タイプです。
個性豊かな愛すべき家族のこれまでの歩み、そして現在の様子などをご紹介できたらと思っています。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
お楽しみイベントは工夫を持ち寄る
わが家は息子2人、娘2人、婿1人、孫3人で、みんながそろうと10人の大家族です。子どもは全員成人して社会人で、孫はこの春から全員小学生になりました。
実は私たちは、夫ラクマを除いた家族全員が、個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。例えば、私ワッシーナは、ワシのキャラクターですが、これは会話がよく飛んでしまうという多動なところを表現しています。
私は、いわゆる発達凸凹タイプの人たちと定型発達タイプの人たちとは、日本人と外国人以上に個性が異なると感じています。なので、発達凸凹タイプを「火星人」、定型発達タイプを「地球人」と表現してきました。そんな個性豊かな愛すべき家族のこれまでの歩み、そして現在の様子などをご紹介できたらと思っています。
さて、今から数年前の、新型コロナが騒がれる前のエピソードです。ひさしぶりにレストランで、家族みんなで食事会をすることになりました。家族それぞれの特性があるので、対策を話し合ってから集まったのですが、想像以上のパニックになってしまいました。
実は私たちは、夫ラクマを除いた家族全員が、個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。例えば、私ワッシーナは、ワシのキャラクターですが、これは会話がよく飛んでしまうという多動なところを表現しています。
私は、いわゆる発達凸凹タイプの人たちと定型発達タイプの人たちとは、日本人と外国人以上に個性が異なると感じています。なので、発達凸凹タイプを「火星人」、定型発達タイプを「地球人」と表現してきました。そんな個性豊かな愛すべき家族のこれまでの歩み、そして現在の様子などをご紹介できたらと思っています。
さて、今から数年前の、新型コロナが騒がれる前のエピソードです。ひさしぶりにレストランで、家族みんなで食事会をすることになりました。家族それぞれの特性があるので、対策を話し合ってから集まったのですが、想像以上のパニックになってしまいました。
家族みんなでの楽しみが恐怖体験に
SNSで相談したところ、実家で集まるには狭すぎるので外食をしようということになりました。ところが、3人の孫たちは全員発達凸凹の特性があります。結果として、レストランの個室を貸切ろうということが決まりました。テーブル席だと孫たちが長時間おとなしく過ごすのが難しいだろうという判断からでした。
孫たちがリラックスできる畳の部屋を探しましたが、交通の便がよいところに快適そうなレストランがなかなか見つかりません。選ぶ範囲を広げて探したところ、ほどよい場所にある、おしゃれなアメリカンレストランが見つかったので、食事会はそこで行うことにしました。
食事会当日のことです。激しい人見知りと時間の感覚に大きなズレのある長女ニャーイの家族には、集合時間より早めに着くように伝えておきました。これは、孫たちが場の雰囲気になじむための対策でもあります。また次女リスミーの息子は激しい多動があるので、本人のお気にいりの音の出ない遊び道具を持参するように伝えました。
これで孫たちへの対策はしっかりできたと思っていましたが、ちびっ子たちの特性は想像を超えていました。
孫たちがリラックスできる畳の部屋を探しましたが、交通の便がよいところに快適そうなレストランがなかなか見つかりません。選ぶ範囲を広げて探したところ、ほどよい場所にある、おしゃれなアメリカンレストランが見つかったので、食事会はそこで行うことにしました。
食事会当日のことです。激しい人見知りと時間の感覚に大きなズレのある長女ニャーイの家族には、集合時間より早めに着くように伝えておきました。これは、孫たちが場の雰囲気になじむための対策でもあります。また次女リスミーの息子は激しい多動があるので、本人のお気にいりの音の出ない遊び道具を持参するように伝えました。
これで孫たちへの対策はしっかりできたと思っていましたが、ちびっ子たちの特性は想像を超えていました。
途方に暮れる長女の家族
私と夫ラクマ、長男ウルフー、次男ウッシーヤがレストランに着くと、入り口で一番乗りの長女ニャーイと婿ゴリマッチョが店内に入れずにいました。孫フクロッシュと孫デンデンが泣きわめいていたのです。ニャーイたちは困惑しながらも、けんめいにあやしています。
フクロッシュとデンデンは、もともと抱っこのときに反りかえりぐせがありました。でも、ここでは見たこともないくらい大きく反りかえって泣き叫ぶので、そのあまりの激しさに私も夫ラクマも交代してあげることもできず、その場にニャーイ家族を残し、全員が集まるまで店内で待つことにしました。
時間通りに次女リスミーと孫サルルゥがやってきました。その後、しばらく待ちましたが、ニャーイ家族は中に入れません。孫サルルゥは持参したオモチャに飽きて、そわそわしはじめました。相談の結果、ニャーイ家族を待たずに先に食事をすることにしました。
フクロッシュとデンデンは、もともと抱っこのときに反りかえりぐせがありました。でも、ここでは見たこともないくらい大きく反りかえって泣き叫ぶので、そのあまりの激しさに私も夫ラクマも交代してあげることもできず、その場にニャーイ家族を残し、全員が集まるまで店内で待つことにしました。
時間通りに次女リスミーと孫サルルゥがやってきました。その後、しばらく待ちましたが、ニャーイ家族は中に入れません。孫サルルゥは持参したオモチャに飽きて、そわそわしはじめました。相談の結果、ニャーイ家族を待たずに先に食事をすることにしました。
動きの大きい孫に手こずる
まわりに人がいるとテンションが上がるサルルゥは、一口食べるごとにイスから降りて走り出そうとします。私とリスミーが代わる代わる絵本を読んだり、お遊戯いりで歌ってあげたりしますが、すぐに飽きてしまいます。新鮮な遊びを用意するのですが、まるで障害物レースのようなめまぐるしさです。
だいぶ時間が経って、ようやくフクロッシュとデンデンが泣き止み、ニャーイ家族が部屋に入ってきました。
やっと全員がそろい、ニャーイ家族が食事を始めたころには、食事が終わりオモチャや遊びに飽きたサルルゥに限界がきて、ついに室内を走りまわりはじめました。走りだすサルルゥを私とリスミーで、代わる代わるつかまえて座らせるのですが、ふだんはおとなしいフクロッシュとデンデンまでつられて走りだすのです。
だいぶ時間が経って、ようやくフクロッシュとデンデンが泣き止み、ニャーイ家族が部屋に入ってきました。
やっと全員がそろい、ニャーイ家族が食事を始めたころには、食事が終わりオモチャや遊びに飽きたサルルゥに限界がきて、ついに室内を走りまわりはじめました。走りだすサルルゥを私とリスミーで、代わる代わるつかまえて座らせるのですが、ふだんはおとなしいフクロッシュとデンデンまでつられて走りだすのです。
やがて手がつけられない状態に
5人の大人たちが総出で子どもたちをつかまえては座らせるのですが、じっとしていられるのはせいぜい5秒くらい。もはや食事どころではありません。
夫ラクマがあぜんとして見守るさわぎのなか、平然としているのは空気がうまく読めないウッシーヤだけです。
夫ラクマがあぜんとして見守るさわぎのなか、平然としているのは空気がうまく読めないウッシーヤだけです。
ついに時間切れとなる
そのうち黒服を着たレストランのスタッフがやってきました。騒がしさを注意されるのかと思いきや、個室の貸切の時間が過ぎたとのこと。久しぶりに家族全員そろっての食事を楽しもうとしていたのに、まるでかなわず、がっくりでした。
ニャーイ家族はほとんど食事がとれなかったので持ち帰りすることになりました。
ニャーイ家族はほとんど食事がとれなかったので持ち帰りすることになりました。
ふりかえりで失敗から学ぶ
後日、夫ラクマと2人でふりかえりをしました。
いろいろ考えて工夫したつもりが、孫たちの特性の手ごわさが想像以上だったと気づきました。
孫たちは、初めての場所や慣れない環境だとパニックを起こしやすいということを身をもって知ることができました。人見知りの激しい孫には、初めてのレストランは恐怖体験だったのでしょう。
これからの工夫をあれこれ考えましたが、そもそも家族みんなそろって外食することがまだムリなんだという結論になりました。発達凸凹なわが家はフツーに合わせなくてもいいという家庭内ルールがあったのです。
ふりかえりで気づいた、よかった点です。
①時差式集合は正解
②家族全員が集まるという成功体験で終わり、いい思い出になった
③レストランでの食事会はまだムリと気づけた
④大人は誰も声を荒げることなく子どもたちに接することができた
ふりかえりで気づいた改善点です。
①場所は自宅あるいは静かな環境のアウトドアで行うか、避難場所を用意する
②孫たちには事前にくわしく外出先の説明をする
③それぞれがマイペースで楽しく過ごす
④自宅で集まる場合は過ごしかたを工夫する
⑤過ごしかたは、そのつど家族でアイディアを出しあう
ほかにも今後、気をつけるべきこととして
①親以外が孫に触れるときは本人たちに許可をとる
②孫に近づきすぎない
③大声で話しかけない
などを話し合いました。
執筆 ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ
いろいろ考えて工夫したつもりが、孫たちの特性の手ごわさが想像以上だったと気づきました。
孫たちは、初めての場所や慣れない環境だとパニックを起こしやすいということを身をもって知ることができました。人見知りの激しい孫には、初めてのレストランは恐怖体験だったのでしょう。
これからの工夫をあれこれ考えましたが、そもそも家族みんなそろって外食することがまだムリなんだという結論になりました。発達凸凹なわが家はフツーに合わせなくてもいいという家庭内ルールがあったのです。
ふりかえりで気づいた、よかった点です。
①時差式集合は正解
②家族全員が集まるという成功体験で終わり、いい思い出になった
③レストランでの食事会はまだムリと気づけた
④大人は誰も声を荒げることなく子どもたちに接することができた
ふりかえりで気づいた改善点です。
①場所は自宅あるいは静かな環境のアウトドアで行うか、避難場所を用意する
②孫たちには事前にくわしく外出先の説明をする
③それぞれがマイペースで楽しく過ごす
④自宅で集まる場合は過ごしかたを工夫する
⑤過ごしかたは、そのつど家族でアイディアを出しあう
ほかにも今後、気をつけるべきこととして
①親以外が孫に触れるときは本人たちに許可をとる
②孫に近づきすぎない
③大声で話しかけない
などを話し合いました。
執筆 ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ
(監修:鈴木先生より)
発達に凸凹があるようなら、医師の診断をきちんと受けることをおすすめします。発達検査を受けると、どんなところに凸凹があるのか数値的に分かり参考になるので、まずはご自分やお子さん自身を知ることから始めてみてはいかがでしょうか?
親御さんやお子さん、お孫さんにも、似たような特性や行動が見られることがありますが、治療や療育により、症状を和らげることができれば、もっと楽しくみんなで集まることが可能になると思います。まだ小さいお子さんに関しては、早寝早起きを実行し、電子メディアを避けて公園での遊びを増やすなど生活環境を整えるのも重要なことです。
発達に凸凹があるようなら、医師の診断をきちんと受けることをおすすめします。発達検査を受けると、どんなところに凸凹があるのか数値的に分かり参考になるので、まずはご自分やお子さん自身を知ることから始めてみてはいかがでしょうか?
親御さんやお子さん、お孫さんにも、似たような特性や行動が見られることがありますが、治療や療育により、症状を和らげることができれば、もっと楽しくみんなで集まることが可能になると思います。まだ小さいお子さんに関しては、早寝早起きを実行し、電子メディアを避けて公園での遊びを増やすなど生活環境を整えるのも重要なことです。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。