祭壇のろうそくを消す、葬儀場で寝転がる…自閉症息子と初めての葬儀参列はヒヤリの連続で
ライター:みん
自閉スペクトラム症のある息子Pが2~3歳のころ、親族の通夜と葬儀に参列したことがありました。
そのときのPはまだ未診断だったのですが、発達障害の疑いが十分にあったので、Pを冠婚葬祭に出席させるのは初めてのことだったし、出席したところでまともに参列できないであろうことは容易に想像できたので、私は出席する前から不安しかありませんでした。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
たくさんの人の目が気になるお葬式で問題行動だらけのわが子
葬儀では、普段顔を合わせることが無い人たちがたくさんいるし、みんな黒い服で静かな独特な雰囲気があります。そんな中、幼い子どもと一緒に参列するというだけでも大変なのに、発達障害のあるわが子が長い時間耐えられるわけもなく、会場では人前で床にゴロンと寝転んでしまったり、大きな声を出してしまったり、走って祭壇の物を触りに行こうとしたり、蝋燭の火を吹き消そうとしたりなど、それはそれは大変なことばかりでした。
でもまだ「Pには障害があります」とはハッキリと言えない時期だったので、障害を理由に言い訳をするわけにもいかなかったし、「まだ小さいから仕方ないね」「悪戯をしたい時期だよね」と周りの人たちには思ってはもらえていたかもしれませんが、「躾のできていない子」だと誰かに思われていたとしても仕方ないなと思っていました。
でも人の視線を気にしてばかりでは私自身の心がもたないので、せめて近しい人たちには私の不安を知っておいてもらいたいと思い、Pには発達障害の疑いがあることを簡単に話はしていました。そして退席しやすい位置に座らせてもらい、何かあったら無理をせずに退室するようにしていました。
でも人の視線を気にしてばかりでは私自身の心がもたないので、せめて近しい人たちには私の不安を知っておいてもらいたいと思い、Pには発達障害の疑いがあることを簡単に話はしていました。そして退席しやすい位置に座らせてもらい、何かあったら無理をせずに退室するようにしていました。
退室してからは会場を歩いたり、控室で過ごしたり、それでもまだ人目が気になるときは駐車場へ行き車の中で過ごしていました。絵本やシールブック、音の鳴らないおもちゃをたくさん用意して持って行っていたのでそれらで遊ばせたり、飲食が可能な場所ならお菓子やジュースを与えたりして何とか時間を潰していました。
人の目が気になるなら、自分たちのほうからその場を離れる
葬儀中はヒヤリとしたこともたくさんありましたが、できるだけ癇癪を起こさないようPに無理をさせないことが1番でした。誰かに話しかけられても無視をしてしまったり、大人しく座ることもできなかったけれど、それならもうその場から離れるようにすることが私にとっても1番でした。
今回は幼いころ冠婚葬祭に出席した話をしましたが、今後もそういう機会はあると思います。Pの身体が大きくなった今、冠婚葬祭の場ではPの言動は目立ってしまうこともあるかもしれませんが、そんなときは家族や周りの人たちに少しでも理解してもらい、決して無理はせずに参列できればと思います。
執筆/みん
今回は幼いころ冠婚葬祭に出席した話をしましたが、今後もそういう機会はあると思います。Pの身体が大きくなった今、冠婚葬祭の場ではPの言動は目立ってしまうこともあるかもしれませんが、そんなときは家族や周りの人たちに少しでも理解してもらい、決して無理はせずに参列できればと思います。
執筆/みん
(監修:鈴木先生より)
葬儀への参列に関するコラムは、発達ナビでもほかにいくつか掲載されています。別のケースでは参列せず引き返したということもありました。今回は何とか参加できたので素晴らしいことだと思います。それにはみんさんがP君の好きなおもちゃを持参したこと、そして何よりもずっと参列するのではなく、退室しやすい位置に座り無理せずに控室で過ごせたことが良かったのだと思います。事前にVTRでどういったことをやるか予習させることも重要ですが、全ての時間参加することは不可能に近いので今回のように退室しやすい(例えば最後列の)座席に参列することが重要です。学校の座席でも廊下側の最後列にいたほうが自由に特別支援学級へ出入りできるのです。
葬儀への参列に関するコラムは、発達ナビでもほかにいくつか掲載されています。別のケースでは参列せず引き返したということもありました。今回は何とか参加できたので素晴らしいことだと思います。それにはみんさんがP君の好きなおもちゃを持参したこと、そして何よりもずっと参列するのではなく、退室しやすい位置に座り無理せずに控室で過ごせたことが良かったのだと思います。事前にVTRでどういったことをやるか予習させることも重要ですが、全ての時間参加することは不可能に近いので今回のように退室しやすい(例えば最後列の)座席に参列することが重要です。学校の座席でも廊下側の最後列にいたほうが自由に特別支援学級へ出入りできるのです。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。