小1自閉症息子の教室脱走劇。入学前は座ってられると太鼓判を押されたのに、ついには校門の外まで⁉担任の先生への感謝の気持ちと今後への思い
ライター:カタバミ
まちゃは今年の4月から特別支援学級の小学2年生。就学時には特別支援学校にするか特別支援学級にするかで迷いました。今回は、そんなまちゃが特別支援学級に入学してからだんだん大きな問題になっている「脱走」についてお伝えできたらと思います。
監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。
多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。
脱走なんてしないと思っていた
息子のまちゃには自閉スペクトラム症と知的障害があります。就学前には特別支援学校にするか特別支援学級にするかで迷いました。
年長の1学期のころ、当時通っていた療育園の担任で就学担当でもあったベテランの先生から「まちゃくんは45分間座って授業を受けられそうですから特別支援学級に入学することも考えて下さい」と言われました。確かにまちゃは、私がいつ見学しても落ち着いていました。
特別支援学級の見学のとき、特別支援学級の先生に「こちらに入るのに“これはできていてほしい“と言うことはありますか?」と質問したら「座って授業を受ける意欲があるお子さんはできるだけサポートします」と言われました。
私は(生徒がどこかに行ってしまい追いかけながら授業をするのは難しそうだから、それは当然だな)と納得した記憶があります。
年長の1学期のころ、当時通っていた療育園の担任で就学担当でもあったベテランの先生から「まちゃくんは45分間座って授業を受けられそうですから特別支援学級に入学することも考えて下さい」と言われました。確かにまちゃは、私がいつ見学しても落ち着いていました。
特別支援学級の見学のとき、特別支援学級の先生に「こちらに入るのに“これはできていてほしい“と言うことはありますか?」と質問したら「座って授業を受ける意欲があるお子さんはできるだけサポートします」と言われました。
私は(生徒がどこかに行ってしまい追いかけながら授業をするのは難しそうだから、それは当然だな)と納得した記憶があります。
入学後に始まった脱走
ところが、療育園のときにはあんなに落ち着いていたまちゃは特別支援学級に入学すると授業中や少しの空いた時間に脱走するようになりました。行き先はだいたい決まっていて、体育館に行ってグルグル走ってくるか、数階上の誰もいない特別教室に行くか、校庭を突っ切った先にある体育倉庫の壁をタッチして帰ってくるか…いずれにしても脱走しても戻ってくるそうです。ただ走るのが早くて補助の方ではなかなか追いつけないとのことでした。
授業参観に行ったとき、課題が終わったまちゃがサッと席を離れて私の横を通り過ぎて教室の後ろのほうに行ったので(ロッカーに何か取りに行くのかな)と思ったら、サーッとそのまま教室を出て行ったのでとても驚きました。この一件から私もまちゃの脱走について改めてあれこれ考えるようになりました。
まちゃは機嫌良く脱走して機嫌良く戻ってきていて、脱走を止められたときにも少し悔しそうにしているものの笑っているようでした。もしかすると、これまで療育園など施錠してある施設に通っていたまちゃにとって、思いついたときにフラッと抜け出せることが、息抜きになっているのかなと思いました。
授業参観に行ったとき、課題が終わったまちゃがサッと席を離れて私の横を通り過ぎて教室の後ろのほうに行ったので(ロッカーに何か取りに行くのかな)と思ったら、サーッとそのまま教室を出て行ったのでとても驚きました。この一件から私もまちゃの脱走について改めてあれこれ考えるようになりました。
まちゃは機嫌良く脱走して機嫌良く戻ってきていて、脱走を止められたときにも少し悔しそうにしているものの笑っているようでした。もしかすると、これまで療育園など施錠してある施設に通っていたまちゃにとって、思いついたときにフラッと抜け出せることが、息抜きになっているのかなと思いました。
増える脱走
1年生の終わりから、まちゃは学校に慣れたのか、家ではタオルを畳んでくれたり、お父さんの飲んだ缶酎ハイの缶を潰してくれたり、できることも増えましたが、脱走も増えました。
そして、2年生になって新しい担任の先生になり、教室の人数も4人から8人になるとさらに脱走は増えて、ついに朝、開いていた校門から学校の外に出てしまいました。ちょうど近くにいた先生が捕まえてくださったそうなのですが、その報告を受けたとき、私はさすがにとても心配して焦りました。
担任の先生が「教室のドアを施錠してみてはどうだろう」と相談してくださり、私は「やってみてほしい」と答えました。
2つある廊下への教室のドアのうち、まちゃに近いほうが施錠されると、まちゃは窓から出ました。そのあと、まちゃの近くの窓際に電子オルガンが置かれ、すぐには出られないようになりました。窓には「窓から出てはダメ」と言う意味の絵カードが貼られました。効果があったそうで、先生は「席に座ります」や「トランポリンをとびます」「トイレに行きます」などの絵カードもつくってくださいました。
SNSで作業療法士にも相談をして、まちゃのストレスが溜まらないように、まちゃのすぐ近くに絵を描いたりパズルをしたり、リラックスできる場所があるとよいというアドバイスを受けたので、先生に伝えるとさっそく教室に取り入れてくださいました。
放課後等デイサービスの先生にも相談すると「まちゃくんは自分がみられていると感じている間は脱走しません。気を抜いた瞬間が危ないのです。頭のうしろにも目が必要です」と、まちゃを脱走させないコツを教えていただきました。これもさっそく担任の先生にお伝えしました。
そして、2年生になって新しい担任の先生になり、教室の人数も4人から8人になるとさらに脱走は増えて、ついに朝、開いていた校門から学校の外に出てしまいました。ちょうど近くにいた先生が捕まえてくださったそうなのですが、その報告を受けたとき、私はさすがにとても心配して焦りました。
担任の先生が「教室のドアを施錠してみてはどうだろう」と相談してくださり、私は「やってみてほしい」と答えました。
2つある廊下への教室のドアのうち、まちゃに近いほうが施錠されると、まちゃは窓から出ました。そのあと、まちゃの近くの窓際に電子オルガンが置かれ、すぐには出られないようになりました。窓には「窓から出てはダメ」と言う意味の絵カードが貼られました。効果があったそうで、先生は「席に座ります」や「トランポリンをとびます」「トイレに行きます」などの絵カードもつくってくださいました。
SNSで作業療法士にも相談をして、まちゃのストレスが溜まらないように、まちゃのすぐ近くに絵を描いたりパズルをしたり、リラックスできる場所があるとよいというアドバイスを受けたので、先生に伝えるとさっそく教室に取り入れてくださいました。
放課後等デイサービスの先生にも相談すると「まちゃくんは自分がみられていると感じている間は脱走しません。気を抜いた瞬間が危ないのです。頭のうしろにも目が必要です」と、まちゃを脱走させないコツを教えていただきました。これもさっそく担任の先生にお伝えしました。