母子分離不安(分離不安症)とは?愛情不足が原因?発達障害との関係、未就学児、小学生への対応方法や相談先も紹介【小児科医が回答】
ライター:発達障害のキホン
子どもが母親などの愛着対象から離れることに対して不安を感じることを「母子分離不安」と言います。このコラムでは、母子分離不安にまつわるギモンから、子どもに母子分離不安がある保護者のお悩みや困りごとなど専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
母子分離不安(分離不安症)とは?
子どもが母親などの愛着対象から離れることに対して不安を感じることを「母子分離不安」と言います。発達段階でこのようなことは誰にでも起こることですが、不安感が長期間続いたり、身体的症状(腹痛・頭痛など)、精神的症状(引きこもり・無気力になるなど)、さらに通園・通学拒否などが見られる場合、「分離不安症」と診断される場合もあります。
このコラムでは、
・母子分離不安の相談場所、対応方法
・母子分離不安のあらわれる年齢
・母子分離不安の原因は「愛情不足」?
・母子分離不安のときによくあらわれる症状
・母子分離不安と発達障害の関連性
など、母子分離不安にまつわるギモンから、子どもに母子分離不安がある保護者のお悩みや困りごとなど専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。
このコラムでは、
・母子分離不安の相談場所、対応方法
・母子分離不安のあらわれる年齢
・母子分離不安の原因は「愛情不足」?
・母子分離不安のときによくあらわれる症状
・母子分離不安と発達障害の関連性
など、母子分離不安にまつわるギモンから、子どもに母子分離不安がある保護者のお悩みや困りごとなど専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。
【発達ナビQ&A】母子分離不安の悩み、相談場所や対応方法は?
発達ナビのQ&Aコーナーでは、子育てに関する疑問や知りたいことを質問するとほかの発達ナビ会員の方々が実体験などをもとに答えてくれます。
母子分離不安に関する質問とその回答をご紹介します。
母子分離不安に関する質問とその回答をご紹介します。
【発達ナビQ&A】母子分離不安に関する発達ナビユーザーのギモンと回答
■新たに児童精神科の医師を受診しましたが、話もろくに聞かない先生でした。
最近、母子分離不安の症状で登校を嫌がるようになってきており
(中略)
息子の現状をしっかり見てくれて相談できる場所が欲しいのですが、現在の福祉施設の担当医も、こちらが希望すれば母子分離不安についても診ていただけるのでしょうか?
こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。
分離不安は、学校での事なら学校の先生と相談なさったほうが良いかと思います。
学校に行く事で、親と離れる。家から出なきゃいけないなど不安感が強くなっているからですよね。
普通級在籍ならば、特に。
個別に対応するというのは学校側としても難しい事もあると思うので、対応を話し合ったほうが良いです。
(略)
母子分離不安に関するギモンと体験談をもとにした回答をご紹介いたしました。
【解説】母子分離不安に困っている場合の相談場所や対応方法は?
・相談先
1. 保健センター
市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師が常駐しており、子どもの発達に関する相談に乗ってもらえます。医療機関や療育施設の紹介をしてくれる場合もあります。
2. 子育て支援センター
子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師または看護師が相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみましょう。
3. 児童相談所
都道府県ごとに設置されている、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。
4.病院
上記の相談機関では、病院を紹介してもらえることもあります。その場合は、紹介された病院へ行くことをおすすめします。
相談機関を介さずに病院へ行く場合は、かかりつけの小児科、または児童精神科を受診してみましょう。
5.療育施設、発達支援センター
子どもに対しては療育施設や発達支援センターで相談することも可能です。
6.学校
お子さんが小学生の場合は、学校のスクールカウンセラーに相談するのも良いでしょう。
・未就学児のお子さんの対応方法
園の先生と連携し、別れの場面をできるだけ短くします。離れて泣いてしまうときに、気をそらせるお気に入りのおもちゃなどを準備しておくと、不安を和らげることができます。いつまで離れるのかの見通しを伝えておくのも良いでしょう。
・就学児のお子さんの対応方法
お子さんの気持ちを聞きましょう。親御さんと離れるのが不安な気持ちを言語化できた場合には、〇〇と感じるんだね、と気持ちを受け止めましょう。しかし、その気持ちに振り回される必要はありません。不安な気持ちを少しずつ減らすためにはどうしたら良いか、お子さんと一緒に話をしてみましょう。教室まで一緒に行く→学校の正門まで親御さんと一緒に行く→通学路の半分まで一緒に行く、と少しずつ段階を踏みながら不安はあっても、母子分離できたという経験に繋げていくのが大切です。
1. 保健センター
市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師が常駐しており、子どもの発達に関する相談に乗ってもらえます。医療機関や療育施設の紹介をしてくれる場合もあります。
2. 子育て支援センター
子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師または看護師が相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみましょう。
3. 児童相談所
都道府県ごとに設置されている、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。
4.病院
上記の相談機関では、病院を紹介してもらえることもあります。その場合は、紹介された病院へ行くことをおすすめします。
相談機関を介さずに病院へ行く場合は、かかりつけの小児科、または児童精神科を受診してみましょう。
5.療育施設、発達支援センター
子どもに対しては療育施設や発達支援センターで相談することも可能です。
6.学校
お子さんが小学生の場合は、学校のスクールカウンセラーに相談するのも良いでしょう。
・未就学児のお子さんの対応方法
園の先生と連携し、別れの場面をできるだけ短くします。離れて泣いてしまうときに、気をそらせるお気に入りのおもちゃなどを準備しておくと、不安を和らげることができます。いつまで離れるのかの見通しを伝えておくのも良いでしょう。
・就学児のお子さんの対応方法
お子さんの気持ちを聞きましょう。親御さんと離れるのが不安な気持ちを言語化できた場合には、〇〇と感じるんだね、と気持ちを受け止めましょう。しかし、その気持ちに振り回される必要はありません。不安な気持ちを少しずつ減らすためにはどうしたら良いか、お子さんと一緒に話をしてみましょう。教室まで一緒に行く→学校の正門まで親御さんと一緒に行く→通学路の半分まで一緒に行く、と少しずつ段階を踏みながら不安はあっても、母子分離できたという経験に繋げていくのが大切です。
【小児科医に聞く】母子分離不安とは?小学生でも起こる?親の愛情不足?発達障害との関連性など
ここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。
ここからは、小児科医の藤井明子先生に見通し不安になる原因や、家庭や学校での対応のコツについてお答えいただきます。
ここからは、小児科医の藤井明子先生に見通し不安になる原因や、家庭や学校での対応のコツについてお答えいただきます。
Q:母子分離不安は何歳から何歳くらいまでに見られますか?小学生でも起こるのでしょうか?
(質問)
小学2年生になる息子ですが、母子分離不安で一緒に登校をしています。周りの同級生を見てもみんな一人で登校をしています。母子分離不安はどのくらいまでに見られる症状なのでしょうか。
(回答)
母子分離不安は集団生活に入る乳幼児期から学童期にかけて発症することが多いです。分離不安の症状が改善するスピードはお子さんによって違います。一緒に登校して、少しずつ親子でいる時間を短くし、段階を追っていきます。学校の先生や、スクールカウンセラーとの連携を十分にとることをお勧めします。お子さんの不安を和らげるために、親御さんからお子さんへのケアしていくのが一般的です。親御さん自身も、いつまで症状が続くのか、心配になることもあると思います。そのため、親御さん自身がカウンセリングを受けることもあります。
小学2年生になる息子ですが、母子分離不安で一緒に登校をしています。周りの同級生を見てもみんな一人で登校をしています。母子分離不安はどのくらいまでに見られる症状なのでしょうか。
(回答)
母子分離不安は集団生活に入る乳幼児期から学童期にかけて発症することが多いです。分離不安の症状が改善するスピードはお子さんによって違います。一緒に登校して、少しずつ親子でいる時間を短くし、段階を追っていきます。学校の先生や、スクールカウンセラーとの連携を十分にとることをお勧めします。お子さんの不安を和らげるために、親御さんからお子さんへのケアしていくのが一般的です。親御さん自身も、いつまで症状が続くのか、心配になることもあると思います。そのため、親御さん自身がカウンセリングを受けることもあります。
Q:母子分離不安は親の「愛情不足」が原因なのでしょうか?
(質問)
母子分離不安は親の愛情不足が原因と聞きました。本当なのでしょうか?
(回答)
お子さんの不安の感じ方は、お子さんそれぞれによって違います。分離不安症状があるお子さんへは、不安をケアしていく必要があります。しかし、それは、「愛情不足」というわけではありません。親御さんの過干渉や甘やかし、親御さん自身の不安になりやすい性格が、お子さんとの関係に影響を及ぼすことはあります。親御さん自身が育ってきた環境などが影響していることもあるため、親御さん自身がカウンセリングを受けることをすすめることもあります。
母子分離不安は親の愛情不足が原因と聞きました。本当なのでしょうか?
(回答)
お子さんの不安の感じ方は、お子さんそれぞれによって違います。分離不安症状があるお子さんへは、不安をケアしていく必要があります。しかし、それは、「愛情不足」というわけではありません。親御さんの過干渉や甘やかし、親御さん自身の不安になりやすい性格が、お子さんとの関係に影響を及ぼすことはあります。親御さん自身が育ってきた環境などが影響していることもあるため、親御さん自身がカウンセリングを受けることをすすめることもあります。
Q:子どもにどのような行動が出たときに母子分離不安を疑った方がよいですか?
(質問)
3歳の子どもがいますが、母親の私が側を離れるとすぐに号泣してしまいます。母子分離不安を疑った方がよいでしょうか?
(回答)
3歳のお子さんでは、母親から離れて泣くからといって、母子分離不安と判断しなくても良いでしょう。これまで、母親と離れる機会も少なかったのもあるかもしれません。きょうだいが生まれた、転居して転園した、両親が離婚した、などの環境の変化をきっかけに症状が出ることもあります。母子分離の場面で、なかなか泣き止まない、母にしがみついて離れられない、家庭で一人でいることができないといった症状が代表的です。それらの症状が4週間以上続くと、「分離不安症」と診断されます。
3歳の子どもがいますが、母親の私が側を離れるとすぐに号泣してしまいます。母子分離不安を疑った方がよいでしょうか?
(回答)
3歳のお子さんでは、母親から離れて泣くからといって、母子分離不安と判断しなくても良いでしょう。これまで、母親と離れる機会も少なかったのもあるかもしれません。きょうだいが生まれた、転居して転園した、両親が離婚した、などの環境の変化をきっかけに症状が出ることもあります。母子分離の場面で、なかなか泣き止まない、母にしがみついて離れられない、家庭で一人でいることができないといった症状が代表的です。それらの症状が4週間以上続くと、「分離不安症」と診断されます。
Q:母子分離不安のある子どもは発達障害もあるのでしょうか?
(質問)
子どもに母子分離不安があります。母子分離不安がある場合、発達障害もあるのでしょうか。
(回答)
発達障害のある子どもは、対人コミュニケーションを取るのが苦手で、見通しが持ちにくかったりする状況で臨機応変に対応するのが難しく、不安になりやすい特性があります。母子分離不安があるから発達障害があるとは限らないのですが、コミュニケーションがとりにくい、感覚過敏がある、多動衝動性があるなど、発達障害のような症状も認められる場合には、専門機関に相談しましょう。
子どもに母子分離不安があります。母子分離不安がある場合、発達障害もあるのでしょうか。
(回答)
発達障害のある子どもは、対人コミュニケーションを取るのが苦手で、見通しが持ちにくかったりする状況で臨機応変に対応するのが難しく、不安になりやすい特性があります。母子分離不安があるから発達障害があるとは限らないのですが、コミュニケーションがとりにくい、感覚過敏がある、多動衝動性があるなど、発達障害のような症状も認められる場合には、専門機関に相談しましょう。