「わが子をおかしいと思うなんて」母としての自信喪失と自己嫌悪の日々。発達障害診断前の長男の幼少期を振り返って

ライター:安田ふくこ
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今年高1になった長男ハルは、小4のときに自閉スペクトラム症(ASD)とADHDと診断されています。今回は乳幼児期の長男に感じた違和感、不安を抱え過ごした日々のお話です。

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監修: 森 しほ
ゆうメンタル・スキンクリニック理事
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。産業医として一般企業のケアも行っている(産業医のご依頼を随時受付中)。 ・ゆうメンタルクリニック(上野/池袋/新宿/渋谷/秋葉原/品川/横浜/大宮/大阪/千葉/神戸三宮/京都/名古屋):https://yuik.net/ ・ゆうスキンクリニック(上野/池袋/新宿/横浜):https://yubt.net/ ・横浜ゆう訪問看護ステーション(不登校、引きこもり、子育て中の保護者のカウンセリング等お気軽に):https://yokohama.yuik.net/shinyoko-houkan/

高1の長男・ハルの幼少期

高1になった長男ハルの現在。ASDとADHDで、視覚(光)過敏があり、ゲーム好き、1日4㎞走る、絶対音感あり、性格は穏やかだけど意地っ張りでもある(たぶん反抗期中…)
高1になった長男ハルの現在
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今年高1になった長男ハルは、小4の時に自閉スペクトラム症(ASD)とADHDと診断を受けました。
いろいろと紆余曲折ありながらも、中学校では厳しい部活も引退までやり遂げ、卒業しました。そして現在は、市内の高校に自転車で通っています。
私も今でこそ「見守る」ことが少しはできている(多分……)かなと思いますが、小学校低学年頃までのハルは、全く目が離せない男の子でした。特に幼児期は、あらかじめ危険だということを伝えて手を繋いでいても、急に何かの衝動にかられて道路に飛び出してしまうことや、会計などの一瞬の隙をついていなくなり、私はお腹に次男を抱えてひとり青ざめ探し回る……なんてことが何度もありました。
当時のハルは、見守っているだけでは絶対に大けがをしていたと思いますし、おそらく、取り返しのつかないことにもなっていただろうなと思います。

生後6ヶ月ごろから気になってきた成長の差

乳児期の頃はというと、早い段階から「表情豊か」な赤ちゃんでした。おっぱいの飲みも良く、どんどん体はしっかりしてきて、呼びかけにもすぐに反応し、満面の笑みを返してくれる可愛い男の子でした。2、3ヶ月頃からは「あうあう~、うくん!」とたくさんクーイングも出ていて……。
ただ、なかなか寝ないこと、夕方になって泣き出すとなかなか止まらないことなどには、日々かなり疲弊していました。
まだ歩けないので、母親に抱っこしたまま、いろいろなものに手を伸ばす1歳半の息子。児童館で出会った子どもがまだ11ヶ月なのにひとりで歩いている姿を見て、成長の違いに驚く
だんだんと現れてきた周囲の子どもとの差
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産後半年ほど経った頃から、だんだんと周囲の子どもとの「成長の差」が見られるようになりました。

・乳幼児期、首がなかなか座らない
・寝返り、ハイハイ、歩き出すのが遅い
・1歳半になっても、言葉らしい言葉をなかなか喋らない など……

初めての子どもだったので余計に神経質になり、児童館で一緒になった人の子どもと、つい比べて不安にもなりました。
しかし成長の差に悩みつつも 、ハルの表情の豊かさに私や夫の心は惹きつけられ、「成長は個人差!」と無理にでも思いながら、前向きになれるよう毎日を過ごしていました。

言葉の遅れは母親のせい?1歳半健診で「毎日絵本を読んで」と言われ…

乳幼児健診などで発達や成長に関しては特に問題視されず……。でも、1歳半健診の時点でまだ意味のある言葉がほとんど出ていなかったので、保健師さんに「毎日絵本を読む、話しかけるなどのコミュニケーションは積極的にとってあげてくださいね!」とは言われました。ハルの言葉の遅れについてはやはり気にしていたので、「積極的に毎日やっているのになぁ……」としょんぼりした気持ちになったのも覚えています。そしてこの頃は、まさかわが子の発達に特性があるなんて思いもしないで「母である私の行動に、まだ足りないところがあるんだ!」と自分を責めてしまうこともありました。

私は比較的早くに結婚して地元を離れたので、メールなどで繋がっている気の置けない同級生たちも、当時はまだまだ結婚や出産はしておらず。ママ友と話すことはあっても、子どもの成長を比較してかえって苦しくなってしまうので、ハルに関する不安を話せる人が周囲に夫しかいませんでした。
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家族にも理解してもらえず……一番つらかった時期

長男の発達について夫に相談すると「男の子なんてみんなこうだよ、考えすぎ!お前そんなにハルのことが『おかしい』って言いたいのか!?」と理解してもらえなかった。
ただ長男のことが心配で話をしたけど、夫に思いが伝わらなかった
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幼児期になり、ハルの衝動や多動で日常の買い物すら困難なことや、コミュニケーションのしづらさについて話をしても、「男なんてみんなこんなもんだよ!考え過ぎ!」とか「俺なんてもっと行動範囲広かったぜ?」とか、さらには「そんなにお前はハルのことを“おかしい”って思いたいのか?」などの言葉に、「私はひどい母親なのかな……。自分の子どもをこんなふうに思ってしまうなんて!」と、母親としての自信がどんどん失われていきました。

実家への帰省時に、私の両親へ相談することも考えましたが、2人とも近くに住む私の兄の子どもを普段から親代わりのようになって溺愛していました。それを見て「お兄ちゃんたちは共働きだもんね。私は仕事してないんだし……お母さんたちに頼ったりしたらいけない」と、私は申し訳なさを感じてしまい、勝手に肩身が狭くなっていきました。甥っ子もとても優しくて良い子だし、父と母も、私やハルに対して冷たいってわけでは全然ありません。それなのに、疎外感や羨ましさのような気持ちを感じてしまって……私は孤独感をどんどん募らせていきました。
実家に帰っても、両親は仕事で忙しい兄夫婦の子どもを親代わりのようになって面倒を見ており、「お兄ちゃん夫婦共働きだもんね…」と肩身の狭さを感じ相談できず、孤独感を募らせる
実家に帰っても、孤独を感じてしまう
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全ては自分の「母親としての自信のなさ」の表れだったんだろうなと思います。ハルのことを「可愛い」と思うより、しだいに「なんでこんなに私ばかり大変なの」と思うことが増え、そんなふうに思ってしまう自分自身のことも嫌になっていきました。いま振り返ると、私にとってハルの乳児期〜幼児期が、母親として一番つらかった時期だったな……と思います。

ですが私(や夫)にとって、あることをキッカケに変化が訪れたのです。長男ハルの少年期~現在については、また別の機会に書かせていただきます。

執筆/安田ふくこ
(監修:森しほ先生より)
発達障害のお子さんが支援につながる前の段階で、ご家族の理解を得られないという問題はよくあります。
単純にご家族が特性を受け入れられないケースもあれば、ご家族にも似たような特性が出ていて「こんなの普通じゃないの?気にしすぎじゃない?」なんて言われてしまうケースもあります。
もちろん支援を受ける際にはご家族の理解を得るに越したことはありません。しかし、理解を得るために長い時間を要することもありえます。実際はご家族の理解を得られないまま支援を受ける方も少なくありません。
実際に支援を受けてみて、お子さんが楽しそうにしている様子を見たり、お子さんのできることが増えている様子を見ると、頑なに支援を拒否していたご家族も安心するかもしれませんよ。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。



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