療育手帳は障害児育児の強い味方!福祉サービス、休日のお出かけ、税制面まで…「宝の持ち腐れ」にしないために

ライター:べっこうあめアマミ
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「療育手帳」という言葉は知っていても、実際に何にどう使えるのか分からない。
とりあえず取得はしてみたけれど、どうしていいか分からずしまったままになっている。
そんな人はいませんか?
療育手帳は取得しても、各種支援やサービスを受けるためには別途申請が必要なことが多いのです。
その上、使えるサービスが多すぎて把握するのも大変なのが実情。
今回は、そんな宝の持ち腐れをしてしまっている方に向けて、わが家の手帳の具体的な利用法をお伝えしたいと思います。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

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東京都の療育手帳、「愛の手帳」の2度と判定されている、知的障害を伴う自閉症のある息子
東京都の療育手帳「愛の手帳」。息子は2度(重度)判定を受けている
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私の息子は重度知的障害として、東京都から「愛の手帳」の2度の判定を受けています。
「愛の手帳」というのは東京都が交付する療育手帳の呼称で、障害の程度を示す等級は、
・軽度 4度
・中度 3度
・重度 2度
・最重度 1度

となっています。
「A1」「B1」などとアルファベット付きの等級名を使う地方自治体が多いことを考えると、少しめずらしいかもしれませんね。

息子が初めて手帳を取得した年長の時は中度の3度でしたが、小学校入学後に再度判定を受けに行くと、重度である2度になっていました。
就学前の就学相談の時点で教育委員会から「重度知的障害」と言われていたので、最初に判定を受けた時は幼かったのもあり、少し軽めに判定されたのかもしれません。

手帳の等級が重くなればなるほど、受けられるサービスは手厚くなります。
特に私の経験上、中度から重度に変わるところで、支援内容が大きくランクアップしたように感じました。
中度の手帳を持っていた時から手帳の便利さは感じていましたが、重度判定の手帳をもらって、その存在感はより大きくなったからです。
息子を含めた家族の毎日が、以前より過ごしやすくなり、困りごとの多くが解消されたと感じています。

具体的に何が助かっているの?

療育手帳で受けられる支援や福祉サービスにより、外出のハードルも下がる
療育手帳で受けられる支援や福祉サービス、とても助かっています!
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療育手帳を持っていると助かるとか、いろいろなメリットがあるという情報はよく出回っていますが、具体的に何がどう助かっているのか?イメージしづらい人もいると思います。
なぜなら、療育手帳制度は地域差が大きいので、インターネットで調べても具体的なことは断定しづらいからです。
そこで、わが家の息子が利用しているサービスや支援について、具体的にお伝えしたいと思います。

実際に手帳で受けられるサービスは、分厚い冊子1冊で語られるほど種類が多く、対象者の規定も細かいです。
そのため、その全てを理解し、利用するのはかなり難しいのではないかと思います。
本人の年齢や家庭環境によっても必要な支援やサービスは変わるでしょう。
あくまで一例ではありますが、小学生の息子がいるわが家が今、「これは助かる!」と思って利用しているサービスのみに絞ってお伝えしたいと思います。

子どもを預けられる福祉サービスの利用

息子が、私たち親の代わりにヘルパーさんに付き添ってもらって外出する、移動支援の利用。
そして、夜間の宿泊込みで息子を預かってもらう短期入所の利用。
これらは手帳とは別にそれぞれ受給者証の取得も必要になりますが、非常に助かる福祉サービスです。
移動支援も短期入所も施設を探すハードルが高く、利用までは時間がかかりますが、障害がある子どもの付き添いや預け先を確保しておく安心感ははかりしれません。

休日のお出かけのしやすさ

手帳を提示すると、駐車場料金が無料になる都立公園は非常に多いです。公園以外でも、都立のレジャー施設の入場料などが同伴者含め無料になったり割引になったりします。民間のレジャー施設の入場料も手帳の提示で割引になることが多いため、休日のお出かけに手帳は必須の持ち物です。

知的障害や発達障害などがある子どもとのお出かけでは、レジャー施設に行っても何かしら本人にひっかかるところがあって入れなかったり、癇癪を起こして早々に出ることになる場合もあるでしょう。
しかし、入場料が無料であれば、親としても気軽に「行ってみようか」と誘えますし、無理せずサッと帰ったり、何度も入りなおしたりできるのが非常に助かります。

移動のしやすさ

・タクシー券の配布(重度から)※所得額などにより支給制限があります
・駐車禁止等除外標章の交付(重度から)
・都営地下鉄、都営バスなど都営交通の利用料が無料
・有料道路の通行料金割引(ETC利用も)
・JR、私鉄の旅客運賃の割引
などの移動の際に使えるサービスも助かります。
これらのサービスは、レジャー施設と同じように、本人の気分が乗らなければサッと移動しようというフットワークが軽くなるのがうれしいところです。

駐車禁止等除外標章をもらえると、いくつかの定めに沿った場所であれば路上に車を停めておけるので、子どもの送迎などの際に助かります。
東京は駐車場が少なく、学校、放課後等デイサービス、福祉施設や病院も駐車場がないところがほとんどなので、持っておくと特にありがたみを感じます。

経済的にも助かる

手帳を持っていると、等級に応じてさまざまな手当を申請できます。
所得制限の基準などもあり、必ずしももらえるとは限りませんが、何かとお金がかかる障害児育児を金銭面で助けてくれます。

税制面の優遇

自動車税や軽自動車税の減免や、所得税や住民税の障害者控除などが受けられます。
どこまで受けられるかは障害の等級によりますが、手帳を取得したなら申請しておくに越したことはありません。

注意!手帳は地域差が大きい&障害の程度でサービス内容が大きく変わる

住んでいる自治体や手帳の等級によって、受けられる支援やサービスは違うので注意が必要
住んでいる自治体や手帳の等級によって、受けられる支援やサービスは違うので注意
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ここまで療育手帳について詳しく書いてきましたが、ここで書いているのは、あくまでわが家の息子の場合です。
具体的には、東京都が交付する療育手帳、「愛の手帳」の2度(重度)判定で受けられる支援やサービスの中で、息子の家庭環境や状態に適応しているサービスです。そして、わが家もすべてのサービスを利用しているわけではなく、必要なものを選択して利用しています。

療育手帳の運用は地方自治体に任されているため、先にもお伝えした通り、療育手帳は障害者手帳の中でも特に地域差が大きいです。
そのため、すべての地域で同様のサービスが保証されてはいません。
その上、障害の程度によっても状況は全く変わります。

ただ、おおまかな内容は似ていると思うので、「こんなことはできるのか?」と気になることがあれば、ぜひご自分の地域の障害福祉課などにお問い合わせください。
次ページ「手帳がないと、障害児育児はより一層ハードモード…持っていて損はない」

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