発語にこだわる母へ、医師のアドバイスは?自閉症息子に初めて「おかあさん」と呼ばれた日
ライター:カタバミ
まちゃは中度の知的障害と自閉スペクトラム症があり、発語が苦手です。8歳になった今でも、たまに出るのは単語。
2語文は覚えているものがごくまれに出る程度で、言葉を使ったコミュニケーションがとても難しい状態です。
まちゃは2歳前から専門家に繋がり、何とか発語が増えるようにと訓練とアドバイスを受けてきました。
今回は担当の言語聴覚士からも誉められて、今もこの時だけは毎回大きな声で私を呼んでくれる方法をお伝えさせてください。
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
中度知的障害で自閉症、言語が苦手な息子が「おかあさん」と呼んでくれた方法
中度の知的障害と自閉スペクトラム症がある息子のまちゃを育てていると、「特性って本当にさまざまだな」と実感することが多い毎日です。ですから、これからお伝えする方法が皆さんにも効果があるとは思っていません。「そんな方法もあるのか」と、ゆるく読んでいただけると幸いです。
まちゃには2歳年上の姉がいます。わが家では娘が赤ちゃんの頃から「お母さん」と呼ぶ練習をお風呂から出るタイミングにしていました。
まず、夫が早めに帰宅したときには子どもと一緒に入浴してもらいます。そして、子どもが湯船から出るタイミングで、夫がお風呂のドアを開けて「おかあさーん」と呼ぶと、タオルを持った私が現れるのです。
これを発展させて、夫がドアを開けたら子どもにも一緒に私を呼ばせます。赤ちゃんだった娘も初めは訳が分からずにいましたが、次第に「あー」でも言えたら、たくさん誉めてあげていました。この方法で娘は1歳を過ぎた頃には「あーちゃーん」と私を呼べるようになりました。
そして、まちゃが生まれたあともこれを続けていました。当時まだ障害も確定していなかった幼いまちゃにもお姉ちゃんと一緒に、お風呂から出る時には「おかあさーん」と呼ぶことを促していました。
まちゃには2歳年上の姉がいます。わが家では娘が赤ちゃんの頃から「お母さん」と呼ぶ練習をお風呂から出るタイミングにしていました。
まず、夫が早めに帰宅したときには子どもと一緒に入浴してもらいます。そして、子どもが湯船から出るタイミングで、夫がお風呂のドアを開けて「おかあさーん」と呼ぶと、タオルを持った私が現れるのです。
これを発展させて、夫がドアを開けたら子どもにも一緒に私を呼ばせます。赤ちゃんだった娘も初めは訳が分からずにいましたが、次第に「あー」でも言えたら、たくさん誉めてあげていました。この方法で娘は1歳を過ぎた頃には「あーちゃーん」と私を呼べるようになりました。
そして、まちゃが生まれたあともこれを続けていました。当時まだ障害も確定していなかった幼いまちゃにもお姉ちゃんと一緒に、お風呂から出る時には「おかあさーん」と呼ぶことを促していました。
発語より先にやり取りを増やす
息子のまちゃが1歳11ヶ月の時、発語が無い事を心配した私は、近所の育児支援センターに隔月で来ていた言語聴覚士の方に相談しました。その時に「発語以前に、この歳ならとれているはずのコミュニケーションがとれていない」と、指摘を受けました。
合わせて、家でできる発語を促すトレーニングを言語聴覚士の方から教えてもらいました。「水」や「バナナ」など、物の名前を言いながら取って渡してみたり、身体を使った遊びを増やしそれを途中で止めて「もう1回?」と聞いてみたりするなど、とにかく要求を引き出すことが大切とのことでした。また、「おかあさん」よりは「かーさん」と、1文字でも減らして子どもが言いやすくするなど、たくさんのアドバイスをもらいました。
しかし、2歳半になってもまちゃの発語は無く、私たちは発達センターに行き臨床心理士に繋がりました。しかし、そこでも「お母さんは発語にこだわっていますが、ジェスチャーや指差し、アイコンタクトなども大切なコミュニケーションです。まずはお子さんとのやり取りを増やしましょう」と言われました。
発語ばかりを気にしていた私はすぐに言語聴覚士に診てもらえると思っていましたが、担当の小児科医から「言語聴覚士は訓練をするので、ある程度言われている指示に従えるようになってから。まちゃくんはまだその段階に来ていません」と言われてしまいました。
合わせて、家でできる発語を促すトレーニングを言語聴覚士の方から教えてもらいました。「水」や「バナナ」など、物の名前を言いながら取って渡してみたり、身体を使った遊びを増やしそれを途中で止めて「もう1回?」と聞いてみたりするなど、とにかく要求を引き出すことが大切とのことでした。また、「おかあさん」よりは「かーさん」と、1文字でも減らして子どもが言いやすくするなど、たくさんのアドバイスをもらいました。
しかし、2歳半になってもまちゃの発語は無く、私たちは発達センターに行き臨床心理士に繋がりました。しかし、そこでも「お母さんは発語にこだわっていますが、ジェスチャーや指差し、アイコンタクトなども大切なコミュニケーションです。まずはお子さんとのやり取りを増やしましょう」と言われました。
発語ばかりを気にしていた私はすぐに言語聴覚士に診てもらえると思っていましたが、担当の小児科医から「言語聴覚士は訓練をするので、ある程度言われている指示に従えるようになってから。まちゃくんはまだその段階に来ていません」と言われてしまいました。
焦る気持ちを抑えつつとにかくあちこちに通わせる日々
まちゃは家では温厚だったので、私は発語が極端に少ないことばかりを気にしていました。そして、まちゃを発達センターで行われている隔週の小集団での療育に通わせることにしました。さらに、これより少し前から週2~3回、地域の預け合いのサークルにも通っていました。
どちらも朝の会で名前を呼ばれて返事をしたり、絵本を読んでもらったりしましたが、返事もできず切り替えも下手、お友達との順番も待てない……家とは違うまちゃの様子を見るのはつらかったです。でも体を動かすことも手遊びも歌も大好きだったまちゃは、どちらにも行き渋ることなく意欲的に通ってくれました。
そして、3ヶ月に1度の臨床心理士のカウンセリングでは「順番も待てるようになってきましたね。早く療育を進めて良かったです」と、次第に言ってもらえるようになりました。
そして、3歳5ヶ月になった頃、やっと念願の言語聴覚士に診てもらえることになりました。
ずっと疑問に感じていた「『おかあさん』より『ママ』のほうが言いやすいのではないか」という質問もやっとできました。まちゃの反応を報告したら「まちゃくんは多分『おかあさん』で認識しているので、このままでいきましょう」と言われました。他にも、たくさんの疑問に答えていただくことができました。
そして、「お風呂から出るときにお母さんを呼ぶことはとても良いです。言えばお母さんは必ずお風呂に来てくれる、と覚えられるといいですね」とアドバイスをもらいました。
どちらも朝の会で名前を呼ばれて返事をしたり、絵本を読んでもらったりしましたが、返事もできず切り替えも下手、お友達との順番も待てない……家とは違うまちゃの様子を見るのはつらかったです。でも体を動かすことも手遊びも歌も大好きだったまちゃは、どちらにも行き渋ることなく意欲的に通ってくれました。
そして、3ヶ月に1度の臨床心理士のカウンセリングでは「順番も待てるようになってきましたね。早く療育を進めて良かったです」と、次第に言ってもらえるようになりました。
そして、3歳5ヶ月になった頃、やっと念願の言語聴覚士に診てもらえることになりました。
ずっと疑問に感じていた「『おかあさん』より『ママ』のほうが言いやすいのではないか」という質問もやっとできました。まちゃの反応を報告したら「まちゃくんは多分『おかあさん』で認識しているので、このままでいきましょう」と言われました。他にも、たくさんの疑問に答えていただくことができました。
そして、「お風呂から出るときにお母さんを呼ぶことはとても良いです。言えばお母さんは必ずお風呂に来てくれる、と覚えられるといいですね」とアドバイスをもらいました。