「みんなと一緒がいい」落ち込む自閉症息子、本当の気持ちは?発達性協調運動障害(DCD)を知って

ライター:星あかり
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スバルは1歳半健診時に言葉の遅れを指摘され、それ以来何度か受けた診察や発達検査で「言葉が遅いだけ。様子を見ましょう」と言われました。2歳半から通い始めたプレ幼稚園で、集団の中での困り事を目の当たりにしました。
そんな矢先、3歳で突然言葉が溢れたのです。言葉が溢れたことでこのまま全てが好転するのではないかと思いました。しかし、その後自閉スペクトラム症と診断されました。
そして幼稚園に入園し、集団での生活に少し馴染んできた年中の頃「どうやらスバルは飛び抜けて不器用なタイプだぞ」と気づくのでした。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

つま先立ちはしていたけれど平均的な成長をしていた【0~3歳の頃のスバル】

0~3歳の頃のスバルは、平均的な時期におすわりやハイハイをし始め、歩行や階段上りも気になる点はありませんでした。

自閉スペクトラム症と診断されてから振り返ると、発達障害の特徴として耳にする『つま先立ち』をしていた時期もありました。しかし、スバルはハイハイより先にブリッジで移動していたし、おうち用のジャングルジムはかなり上手だったので、つま先立ちに関しても「人とは体の使い方が違うのね。もしかしてアスリート系かしら? 体操教室に通わせなきゃ」くらいに思っていました。
※編集部注:DSM-5、ICD-11訳語案では「発達性協調運動症」の名称に変更が予定されていますがこの記事では、一般的にも使われることが多い「発達性協調運動障害」の名称も合わせて使っています。
参考:発達障害(はったつしょうがい)| e-ヘルスネット
出典:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-049.html

運動会のダンスで不器用さを感じ始めた【年少の頃のスバル】

幼稚園に入園してからもお絵かきや塗り絵はちょっと前衛的すぎるかなと思ったりもしましたが、遊具の階段やロープは登れていたし、個人個人の成長の差が激しい「年少クラス」という空間では、スバルの不器用さは飛び抜けて目立つものではありませんでした。

最初に「おや?」と思ったのは運動会のダンスでした。右を向くべきときに右を向き、腕を上げるべきときに腕を上げていましたが、一人だけやたらと可動域が狭い感じの省エネダンスをしているように見えました。自信がなかったり、恥ずかしそうにしたりしている園児の中にはそんな風に踊る子どももいましたが、スバルの顔は自信に満ちあふれていたので違和感がありました。

そして、そのダンスの中でスバルが両足ジャンプをできていない事に気がつきました。当時通っていた療育の先生から、発達障害のある子には不器用な子どもも多いと聞いていたので「これがそうなのかな」と思いました。両足ジャンプは仲良しの年長さんが何日もかけて熱い指導をしてくれたおかげで年少の終わりにマスターしました。
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3歳自閉症息子、入園式では床に寝て、脱走を繰り返す日々ーー年長さんからの「クレーム」が成長のきっかけに…?

発達性協調運動障害(発達性協調運動症)という言葉を知った【年中の頃のスバル】

年中になるとダンスの振りつけはもちろん、工作やお絵かき、粘土など、出されるテーマの難易度がぐっと上がりました。使う材料や道具も増え、工程や指示も難しくなりました。得意な子はもちろん、苦手な子もなんだかんだでこなしている中、スバルだけついていけていない気がしました。

芸術に正解はないので、でき栄えについては「何をつくったのか分からないけど超かわいい」としか言いようがありませんが、とにかく道具が使えないのです。筆、はさみ、縄跳び、楽器はもちろん、日常生活の中でも服のボタンやファスナー、お弁当包みなど、あらゆることにサポートが必要でした。
年少の頃は年齢的に不器用な子どももたくさんいましたが、年中になってクラスメイトたちの成長に置いていかれる形でスバルのできないことが目立つようになりました。

この頃、インターネットで『発達性協調運動障害(発達性協調運動症)』という言葉を知り、本を探して読みました。ダンスや縄跳びなどの協調的運動、ボールが投げなどの全身運動、ボタンやファスナーなどの微細運動がとても不器用な障害……。読めば読むほどスバルのことが書いてあるようで一人で納得しました。

実際に『発達性協調運動障害』と診断され、作業療法士のリハビリに繋がるのは小学3年生になってからになりますが、私はこの時からスバルには『発達性協調運動障害』があると思って接し、幼稚園や学校にも配慮をお願いするようになりました。
自閉スペクトラム症と発達性協調運動障害(発達性協調運動症)がある息子のスバルは、登園前に上着を着るときはファスナーの練習タイムとしていたが、ある日一人でできるようになったので「練習はいらないよ」と母に言っている。
登園前に上着を着るときはファスナーの練習タイム!
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