注射で大暴れ!看護師からもヘルプ要請!自閉症息子が嘘のようにピタリと落ち着いた方法は?

ライター:ゆきみ
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自閉スペクトラム症がある長男のけんとは『成長ホルモン分泌不全性低身長症』という病気にもかかっています。その治療の検査のために、採血が半年に1度あるのですが、毎回、大号泣&大暴れ。しかし年長のある日、ふとしたきっかけで採血が落ち着いてできるようになったのです。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

多動、衝動……病院へ行くだけでも大変

現在小学2年生の長男けんとは、3歳の時に自閉スペクトラム症と診断を受けました。不安が強く、とても怖がりなけんとは、注射が大嫌い。病院で予防接種や採血がある時は、待合室まで響き渡る大号泣に、大暴れ。それが年長の時にピタリと収まり、泣くことも暴れることもなくなった出来事を書かせていただきます。

病院へ行き、注射や検査を受けるというのは、老若男女、お子さんや赤ちゃん……多くの人にとっても気が重いことだと思います。
自閉スペクトラム症がある長男のけんとは、じっとするのが苦手、興味があるものを見つけると衝動的に行動してしまいます。そんなけんとを病院へ連れて行くのは、ひと時も気が抜けないため、注射があってもなくても気疲れしてしまいます。
自閉スペクトラム症がある息子を病院へ。連れていくだけでヘトヘトに。
自閉スペクトラム症がある息子を病院へ。連れていくだけでヘトヘトに。
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けんとには、成長ホルモンが分泌されにくく、身長が伸びにくい病気があり、その検査のために大きな総合病院へ行く必要があります。そこには、エレベーターやエスカレーター、電光掲示板に駐車場の事前精算機など……けんとの大好きなものがたくさんあるので、衝動的に走り回るけんとを追いかけ、小児科までなかなかたどり着かず診察前に私が疲れていることも多かったです。

初めての検査は大暴れ 待合室まで響く大号泣

けんとが初めて採血を受けたのは3歳の時。低身長の原因を調べる検査のためでした。身体が動いてケガをしないよう、布ベルトで身体を固定し、数名の看護師さんで採血をしてくれました。しかし、けんとが大暴れしすぎたため、抑えきれなかったようで……他の看護師さんを大声で呼び寄せるほどでした。

その検査の結果、『成長ホルモン分泌不全性低身長症』という病気であることが判明。この病気の治療をには、3ヶ月に1度の診察と、半年に1度の頻度で検査のための採血が必要とのことでした。3歳から治療を開始したけんと。そして、採血のときは毎回、大号泣&大暴れでした。
息子は注射のたびに大暴れ! 診察室の看護師さんから、待合室にいる母へ「お母さん、助けてください!」とヘルプ要請が!
息子は注射のたびに大暴れ! 看護師さんからヘルプ要請が!
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大号泣と大暴れは年長になっても変わりませんでしたが、ある日、布ベルトで身体を固定するのではなく、夫がけんとを背後から抱えて、座った状態で採血する方法をとってみることになりました。

しかし、やはり大暴れ。看護師さん2名と夫だけでは、けんとの身体を抑えきれなかったようで、待合室にいた私に「お母さん、助けてください! 無理、無理!」と看護師さんからの声が響き渡り、走ってヘルプに行ったこともありました。

見通し不安の解消で泣き止んだ!?

注射で大暴れしていた自閉スペクトラム症があるが、ピタッと落ち着いた!
注射での大暴れがピタッと!
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そんな大暴れが、ピタリと収まった日がやってきました。

いつものように大人数の大人たちで、けんとが暴れてケガをしないように身体を抑えて採血を行っていましたが、相変わらずの大号泣&大暴れ。採血が始まると急に、けんとが泣きながら「あと何秒で終りますか?」と質問をしてきたのです。看護師さんが「んー、30秒くらいかな」と答えると、ピタリと泣きやみ、暴れなくなりました。

ゆっくり「1~、2~、3~、……」と私が30秒数えだしました。途中「もう少しかかりそうです」と、看護師さんが教えてくれたので、更にゆっくり数えたりもして微調整。無事、30秒を数える間に採血が終わりました。
あんなに大号泣して、大暴れしていた子どもが、急に泣き止み、大人しくなった状況を見ていた看護師さんたちも大変驚いていました。

けんとは自閉スペクトラム症の特性からか、見通しがたつと安心して行動できることが増えます。でも、病院へ行くときは、そのことをすっかり忘れて何も対策をしていなかったのです。それに気がついたのは、けんとが言った「あと何秒で終りますか?」の一言の質問でした。

私がもっと早くに気がつき、病院での行動に見通しをもたせていれば、怖さや不安を軽減してあげられていたのかも……と後悔した出来事にもなりました。
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泣くことも、暴れることもなくなった注射

注射で暴れることはなくなり、「ボク、泣かなかったね!」と誇らしげにする息子のけんと。
注射で暴れることはなくなりました!
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注射が終るまでの時間に見通しをたてるようになってから、その後は一度も泣くことも、大暴れすることもなくなりました。
もっと小さい頃だったら、終るまでの時間が色で可視化されているタイマーを使って採血が終るまでの時間を示したり、病院でやることの順番も絵カードなどを使って、しっかり事前に説明をしてから行く方法を取ったりしても良かったなと、今となっては思ったりします。

現在も、じっと座って待っていることが苦手で、衝動的に動いてしまうことは多いので、病院へ一緒に行くのは大変だと感じることはありますが、注射や採血の大変さが和らいだだけでも、気の重さがとても減りました。
けんとはまだ採血や注射をするのが怖いようで、少し身体を動かしてしまいます。背後から抱えて身体を固定し採血を受けていますが、いつか大きくなったらサポートなしでもできるように……と祈りながら、少しずつ少しずつ成功体験を重ねていけたらと思っています。
執筆/ゆきみ

(監修:室伏先生より)
けんとくんの、採血にまつわるエピソードを共有してくださり、ありがとうございました。
痛みへの恐怖や抑えつけられることへの嫌悪などもあったかもしれませんが、見通しがもてないことへの不安や恐怖も大きかったのですね。あとどのくらいかで終わるのか質問をする、という解決策をご自身でとることのできたけんとくんに拍手を送りたいです。

ゆきみさんは、普段の生活の中でたくさんの工夫をしてくださっていることと思いますが、今回の件についてはゆきみさんが助け舟を出さなかったことで、けんとくんが不安を解消するために自ら動くことを学んだ、大きな第一歩になりましたね。
泣かずに採血できることもそうですが、不安を自らの力で解消できたことも、けんとくんにとって大きな自信になったことでしょう。
けんとくんが今後たくさん成功体験を積んでいけるよう、私も応援しております!
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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