温厚なASD兄がキレた!発達障害同士のきょうだいゲンカは特性も関係して大変で…

ライター:寺島ヒロ
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わが家の子どもたちは現在、兄タケルが22歳、妹いっちゃんが16歳。6歳も年齢差があることもあり、ほとんどケンカはしません。それでも今までに2回だけ、兄が妹に激怒してしまったことがありました。今回はその原因と、そこから学んだことなど、書かせていただきたいと思います。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

優しいお兄ちゃんと大人しい妹

わが家の凸凹きょうだいは通常とても仲が良く、ケンカをしているところを見ることはほとんどありません。

2人とももともと穏やかな性格で、特に兄のタケルは他人に向かって怒ることがなく、つらいことがあってもじっと耐えたり、一人で泣いたりする性格です。大抵はニコニコしていて、苦言を呈すときもウィットに富んだ上手な言葉遣いをするので、親の私が感心することもしばしば。
しかし、そんなお兄ちゃんも、今までに2度だけ、妹、いっちゃんを激しく𠮟りつけたことがありました。叩いたりなどの暴力はなかったものの、双方のダメージが何日も尾を引きました。

温厚なASDのお兄ちゃんを怒らせた原因とは?

最初のケンカは兄のタケルが11歳、妹いっちゃんが5歳の時で、原因はゲームのことでした。
いっちゃんが、兄のゲームのセーブデータを使って遊んでいたところ、保存してあった貴重なアイテムを失くしてしまったのです。このゲームでは冒険を繰り返しクリアしながら、武器や防具を強化していくというもので、いっちゃんが失くしたのは、兄タケルが80時間以上も費やしてつくった強化アイテムでした。
この時ばかりはタケルも激怒!「おい! おい! おい! 何時間かかったと思ってるんだ!?」と腕を振り回して怒り、いっちゃんに謝らせていました。
怒るタケルと、説教に飽きたいっちゃん
怒るタケルと、説教に飽きたいっちゃん
Upload By 寺島ヒロ
わざと失敗したのではないことは分かっていたので、やがてタケルもいっちゃんを解放したのですが、怒りは収まらず……! それから数日の間、何かにつけては「楽しくない」「気分が悪い」と仏頂面になっていました。
タケルはASDの特性もあり、一度嫌なことがあると、例え解決しても、何日もその気分を引きずるようなことがあります。その兄の様子を見ては、いっちゃんも「しつこい……!」と不機嫌になるのでした。

2度目のきょうだいゲンカは「あるある」な連絡ミス

2度目のケンカは、ぐんと年齢が上がってタケルが19歳、いっちゃんが13歳の時です。
2人が出入りしているインターネットのSNSグループの仲間でオフ会をすることになり、いっちゃんのところにその連絡が届きました。
しかし、いっちゃんは誘われたのは自分だけだと思って、タケルには伝えなかったのです。
 
主催者の方は、当然妹が兄に伝えて2人で来ると思って用意していたので、結局お兄ちゃんのタケルが約束を破った感じになってしまったんですね。
「(主催者の方から)お兄ちゃんに伝えてとは言われなかったよ?」
「参加したかったんなら、お兄ちゃんが主催者に言えばよかったじゃない!」
今回はいっちゃんも生意気盛りの年齢。一度は謝ったのですが、ついつい抗弁してしまったことで、兄をさらに怒らせてしまいました。
のちのち聞いてみると、明らかに「流れ」は2人で参加する感じだったのですが、「いっちゃんを連絡の窓口にする」「主催者からの伝言はタケルにも伝える」ということが明言化されていませんでした。そして、ASDの特性があるいっちゃんにとっては「言われてないことは、ないこと」なのです。この時も数日間、家の中の雰囲気がギスギスして大変でした。
次ページ「怒りをぶつけられてASD娘が学んだこと」

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