Q:吃音の息子に家庭でできることは?(3歳)

3歳の息子の吃音についてです。出てこない言葉や何を話したいかは、その時の行動や状況で分かるので、ゆっくり待ったり、言葉を導いたりするのですが、最近では本人もスムーズに言葉が出てこないのを自覚しているようで、笑いながら「でなかった~」「わかんな~い」と言っていて、そんな時は一緒に笑って「言いたいこと分かってるよ」と安心させるようにしています。言葉が出なくても家族みんな気にしないで待っていますが、時には本人が大きく溜息をつくこともあり……。吃音の息子に対して、家庭で日常的にできること、また吃音に対してどのような言語療法をしていただけるのか教えていただけないでしょうか。
※発達ナビQ&Aに寄せられた質問より抜粋して紹介
https://h-navi.jp/qa/questions/124497

日常の関わり方などの助言指導をしてもらうため、一度専門家に相談をしてみても

A2歳から4歳くらいの幼児期には「お、お、おはよう」のようにことばの出だしの音を繰り返す、「あっ……そぼう」などのように詰まって出にくい、などの症状がみられることがよくあります。そのうち7割くらいが自然によくなっていきます。5、6歳くらいになっても音の繰り返しや、力の入った非流暢な話し方が残っている場合は、その後自然に治癒しにくいといわれています。この非流暢な話し方が正常な範囲の頻度や長さを超えて生じている場合のことを吃音といいます。

時には話し方以外に、腕や肩に力が入る、顔をしかめるといった随伴する運動がみられることもあります。幼児期の吃音は、本人があまり気にしていない場合が多いのですが、このお子さんのように気づいている場合もあります。

学童期から思春期にかけて、からかいやいじめなど周囲の反応によって、吃音は「恥ずかしいもの」と捉えるようになると、話す場面に対して緊張や不安が強くなる場合がありますが、幼児期には気づいていてもあまり不安はなく、自由におしゃべりすることが多いようです。

吃りやすい何らかの神経学的な基盤があると考えられていますが、吃音の原因はまだよく分かっていません。言語獲得期である幼児期には、話したいことがたくさんあってもまだことばを想起し発語器官を動かすなどの能力が未熟であるため、そういった負荷がひとつの要因になっているのではないかと考えられていますが、情緒面の状態や環境的なストレスも影響があるといわれています。

ですから、このご家族のようにお子さんが安心してお話できる、ゆったりとした雰囲気で聞いてあげることは、大変良いことです。お子さんの表現の言語的な負荷を減らすように、複雑な説明を求めるよりも、簡単な語彙で単語や短文で答えられるような聞き方を心がける、ゆったりと話しかけ、ゆったりと聞いてあげるなどの対応が望ましいと考えられています。話し方だけでなく、スケジュールや行動全般もゆったりと余裕を持たせるとよいでしょう。

3歳くらいですと、まだ自然に治ってくる可能性も高いため、直接的なトレーニングなどはせず経過を観察することが多いのですが、日常の関わり方などの助言指導をしてもらうこともできるため、一度専門家に相談してみるのもよいでしょう。就学1年前くらいから実施できる効果的なトレーニング法がいくつか研究され報告されています。
幼児期の吃音に関する情報は下記サイトに詳しく掲載されています。
発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト
http://kitsuon-kenkyu.umin.jp/
日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長大岡 治恵先生
日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長大岡 治恵先生
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Q:息子の様子、吃音の症状によるもの?(小3)

小学校3年生の息子がいます。言葉が詰まってしまい「あの」、「その」、「あれ」というような指示語がいくつか続いたり(例えば「あのあのあのあの……」)、助詞を連続して繰り返したあとに(例えば「これは、は、は、は、は……」)やっと言葉が出てくるので、会話がスムーズにいきません。こうした症状も吃音なのでしょうか? どうすれば改善することができるのでしょうか。

吃音の中核症状ではないけれど、吃音に伴う非流暢性の可能性も。ただし詳細を調べる必要あり

Aことばがスッと出ないときに「あの」などの語句を挿入する、同じ語句や助詞を繰り返すなどの行為は、吃音のない人でも見られます。ただその頻度が一般的な頻度を超えている場合、吃音の中核症状ではありませんが吃音に伴う非流暢性の可能性が考えられます。

頻度だけでなく、その時身体に力が入っているかどうか、発話についてお子さん本人はどのように捉えているのか、どういった場面でそのような発話になりやすいのかなど詳細に調べていって判断する必要があります。特に学童期以降、吃ることを「恥ずかしいこと」と考え、吃らないようさまざまな工夫をした結果、そのような話し方になっている場合があります。本人が自覚して意図的にやっている場合もありますが、小学生の場合、自分でその時の気持ちをうまく説明できない場合もあります。吃音のことについて触れるのをタブー視するのではなく、お子さんとオープンに話ができるとよいのですが、どのように触れてよいのか分からないというご家族も多いのではないでしょうか。

学童期には音読や発表、日直など大勢の前で発話しなければならない活動が増えますし、周囲からのいじめやからかいなども増える時期です。そのため幼児期よりも、吃音に対する不安や困りごと、悩みが大きくなっている可能性が高いと考えられます。こういった場合は専門家と発話症状への直接的なアプローチが必要かどうか相談するだけでなく、心理面への対処の仕方について助言を受けることが望ましいでしょう。発表や音読などに対する配慮や、いじめ、からかいへの対応などは、学校とも連携を図っていくことが大切です。
日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長大岡 治恵先生
日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長大岡 治恵先生
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発達障害のある子どものことばにまつわるエピソード

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