子どもの発音が不明瞭、吃音、イントネーションが気になる…家での対応や相談先は?【言語聴覚士が回答】

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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発音がしっかりしていない、出だしが詰まってスムーズにお話できないなど、発達障害やグレーゾーンのお子さんの子育てでは「ことば」についてのお悩みが多く聞かれます。こちらでは発達ナビのQ&Aコーナーや「みんなのアンケート」に寄せられたお悩みについて、言語聴覚士の日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長大岡 治恵先生にご回答いただきました。

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監修: 大岡治恵
日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長
病院などで言語聴覚士として勤務ののち、言語聴覚士養成所にて言語聴覚士養成に携わる。現在は教員の傍ら、大学の付属クリニックで発達障害、構音障害、吃音などの臨床、および臨床研究を行っている。 オンデマンド講座『親子で楽しく遊びたい ~発達が気になる子どもと遊び~』を開講中。
目次

発音が不明瞭、吃音……。発達障害、グレーゾーンのお子さんのことばの悩み、どうすればいい?

発達ナビのQ&Aコーナーは、子育てに関する疑問や知りたいことなどを気軽に質問し相談し合える場所です。ここには「ことば」に関わるお悩みも多く寄せられています。
発音についての悩みです。「き」を「ち」と発音してしまっています。例えば、鳥の「とき」が「とち」になっていても本人は変だと思わないのです。ゆっくり話させると問題ないのですが、今後どう働きかけて行くのがよいでしょうか?(中略)現在小学校1年生です。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/156226
2歳半過ぎたあたりから「あ、あ、あ、あ、、あー」「きーきーきーきー」「…これ…い…」などなかなか言葉が出て来ない事が増え、こちらで他の方の投稿やコラムを見たりするうちに【吃音】という言葉を知りました。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/124497
本記事は、ことばの支援の専門家、言語聴覚士(ST)の日本福祉大学中央福祉専門学校言語聴覚士科学科長 大岡治恵先生にご回答いただく第2弾。発音がしっかりしていない、出だしが詰まってスムーズにお話できないなど、発達ナビのQ&Aコーナーや「みんなのアンケート」に寄せられている代表的なお悩みについてご回答いただきました。

ことばについての年代別の相談内容や、月齢・年齢によっての発達の目安、「ことば」に困難さを抱えている子どもに対する接し方や声掛け、言語聴覚士(ST)へ相談したいときなどについて知りたい方は、ぜひ第一弾の記事をご覧ください。
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ことばが遅い?家庭でできる支援/年齢別発達の目安【言語聴覚士が回答】

Q:発音が不明瞭で、親や友達が聞き取れない。何もしなくていいの?(5歳)

5歳の子どもですが発音が不明瞭でなにを言っているか親でも聞き取れないことが多々あります。とくにナ行とラ行の発音が悪く、幼稚園の友達に話しかけても意味が通じていないことがありました(その場面を見てショックでした)。幼稚園の先生に「うちの子はことばが遅いので……」というと、「そのうちはっきりしゃべれるようになりますよ」と言われ何もしていないのですが、どれくらい発音が悪ければ発達相談などにいっていいのでしょうか?

A:幼稚園の年中さんくらいまで様子を見て、音の誤りが残っていたらことばの専門家へ相談を

A:2歳くらいの小さな子どもが、「つみき」を「ちゅみき」などと発音していると、かわいらしくほほえましく思えます。では幼稚園の年長さんではどうでしょう? 子どもの発音がはっきりしないという場合、何歳まで様子を見ていてよいのでしょう?

はっきりと大人と変わらない正確な発音ができるようになるためには、子どもの体のさまざまな部分が発達してくる必要があります。舌や唇、喉の奥などの筋肉が正確に素早く協調して動かせるようにならないと、正確な発音をつくることができません。また「らいおん」と「だいおん」が違う音であると聞き分けることができる耳の力も必要になってきます。これらの発達にはかなり個人差があり、3歳くらいで大人と変わらない正確な発音ができる子もいれば、小学生になっても「ちゅみき」になってしまう子もいます。4歳くらいでは約2割に発音の未熟さが残っているといわれています。5、6歳くらいまでにおおむね正確に発音できるようになってきますが、小学生でも「つ」やサ行、ラ行などの発音しにくい音で歪みが残っている子が2~3%くらいいるといわれています。これら小学生以降に残っている発音の歪みは、自然に治りにくいといわれています。何もしないでいると、大人になっても残ることが多い傾向にあります。

つまり様子を見ていてよいのは幼稚園の年中さんくらいまでで、年長さんになってもあまり変化がなく同じ音の誤りが残っていたら、ことばの専門家のところへ相談に行くとよいでしょう。合併する問題や通える頻度などにもよりますが、適切にトレーニングすれば数ヶ月できれいな発音になります。

なかには、耳の病気の後遺症により高い音が聞こえにくいのが原因で、発音が悪い場合もあります。また、かみ合わせや口腔内の形の問題でうまく発音できないこともあります。そういった可能性がある場合は、早めに耳鼻科や歯科へ相談に行きましょう。
日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長大岡 治恵先生
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Q:イントネーションが覚えられない。注意してもいい?(小1)

小1の娘はイントネーションが覚えにくいようで、何度教えても正しい発音を覚えてもらえません。そしてその都度注意したり言い直していると娘も嫌がってしまいます……。注意しないほうがいいのでしょうか?

A:正しい発音の指導は言語聴覚士などの専門家に任せましょう

A:「イントネーション」というのは“発音”を意味しているでしょうか。発音のことだとしたら、その都度注意をし言い直しをさせるのは、あまりよいことではありません。「ゆっくりいってごらん」などの声掛けも同様です。

先ほど説明したように、発音が悪い場合はさまざまな原因があり、どれも「注意をする」「ゆっくり言う」ことで解決するものではないからです。発音に必要な運動機能や耳の聞き分け力が育っていないのですから、何度言われても子どもはどう直してよいのか分かりません。たくさんお話をしようと思ってお母さんに話しかけているのに、いつも話の内容は聞いてもらえず、発音の悪さだけを指摘され言い直しを強要されると、子どもはたくさんお話をすることをやめてしまいます。自分の発話に注意が向きすぎて、吃音やチックなどの症状が出てしまう場合もあります。

正しい発音の指導は言語聴覚士などの専門家に任せましょう。トレーニングの仕方を指導してもらって家庭でも毎日練習します。最初は1音だけ、次に単語や短文と段階を踏んで練習をしていきます。最終的に「日常会話の中で指摘して修正してよい」と指示を受けるまでは決して会話の中で注意をしたり言い直しをさせたりしないようにしましょう。このことは、園や学校の先生とも情報を共有して協力していただきましょう。

発音のトレーニングの適期は5歳~6歳くらいといわれています。小学生になっても少し時間はかかりますがトレーニング可能です。ただし年齢があがるにしたがい治りにくくなりますし、学校が終わってからトレーニングに通おうと思っても、夕方の時間帯は混んでいて予約が取りにくい場合が多いようです。
言語聴覚士のいる病院や施設は、以下のページで検索できます。また、各都道府県言語聴覚士会のホームページでも探すことが可能です。
一般社団法人日本言語聴覚士協会 病院・施設検索
https://www.japanslht.or.jp/shisetsusearch.html
一般社団法人日本言語聴覚士協会 都道府県士会一覧
https://www.japanslht.or.jp/about/prefectures-list.html
日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長大岡 治恵先生
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Q:吃音の息子に家庭でできることは?(3歳)

3歳の息子の吃音についてです。出てこない言葉や何を話したいかは、その時の行動や状況で分かるので、ゆっくり待ったり、言葉を導いたりするのですが、最近では本人もスムーズに言葉が出てこないのを自覚しているようで、笑いながら「でなかった~」「わかんな~い」と言っていて、そんな時は一緒に笑って「言いたいこと分かってるよ」と安心させるようにしています。言葉が出なくても家族みんな気にしないで待っていますが、時には本人が大きく溜息をつくこともあり……。吃音の息子に対して、家庭で日常的にできること、また吃音に対してどのような言語療法をしていただけるのか教えていただけないでしょうか。
※発達ナビQ&Aに寄せられた質問より抜粋して紹介
https://h-navi.jp/qa/questions/124497

日常の関わり方などの助言指導をしてもらうため、一度専門家に相談をしてみても

A:2歳から4歳くらいの幼児期には「お、お、おはよう」のようにことばの出だしの音を繰り返す、「あっ……そぼう」などのように詰まって出にくい、などの症状がみられることがよくあります。そのうち7割くらいが自然によくなっていきます。5、6歳くらいになっても音の繰り返しや、力の入った非流暢な話し方が残っている場合は、その後自然に治癒しにくいといわれています。この非流暢な話し方が正常な範囲の頻度や長さを超えて生じている場合のことを吃音といいます。

時には話し方以外に、腕や肩に力が入る、顔をしかめるといった随伴する運動がみられることもあります。幼児期の吃音は、本人があまり気にしていない場合が多いのですが、このお子さんのように気づいている場合もあります。

学童期から思春期にかけて、からかいやいじめなど周囲の反応によって、吃音は「恥ずかしいもの」と捉えるようになると、話す場面に対して緊張や不安が強くなる場合がありますが、幼児期には気づいていてもあまり不安はなく、自由におしゃべりすることが多いようです。

吃りやすい何らかの神経学的な基盤があると考えられていますが、吃音の原因はまだよく分かっていません。言語獲得期である幼児期には、話したいことがたくさんあってもまだことばを想起し発語器官を動かすなどの能力が未熟であるため、そういった負荷がひとつの要因になっているのではないかと考えられていますが、情緒面の状態や環境的なストレスも影響があるといわれています。

ですから、このご家族のようにお子さんが安心してお話できる、ゆったりとした雰囲気で聞いてあげることは、大変良いことです。お子さんの表現の言語的な負荷を減らすように、複雑な説明を求めるよりも、簡単な語彙で単語や短文で答えられるような聞き方を心がける、ゆったりと話しかけ、ゆったりと聞いてあげるなどの対応が望ましいと考えられています。話し方だけでなく、スケジュールや行動全般もゆったりと余裕を持たせるとよいでしょう。

3歳くらいですと、まだ自然に治ってくる可能性も高いため、直接的なトレーニングなどはせず経過を観察することが多いのですが、日常の関わり方などの助言指導をしてもらうこともできるため、一度専門家に相談してみるのもよいでしょう。就学1年前くらいから実施できる効果的なトレーニング法がいくつか研究され報告されています。
幼児期の吃音に関する情報は下記サイトに詳しく掲載されています。
発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト
http://kitsuon-kenkyu.umin.jp/
日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長大岡 治恵先生
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Q:息子の様子、吃音の症状によるもの?(小3)

小学校3年生の息子がいます。言葉が詰まってしまい「あの」、「その」、「あれ」というような指示語がいくつか続いたり(例えば「あのあのあのあの……」)、助詞を連続して繰り返したあとに(例えば「これは、は、は、は、は……」)やっと言葉が出てくるので、会話がスムーズにいきません。こうした症状も吃音なのでしょうか? どうすれば改善することができるのでしょうか。

吃音の中核症状ではないけれど、吃音に伴う非流暢性の可能性も。ただし詳細を調べる必要あり

A:ことばがスッと出ないときに「あの」などの語句を挿入する、同じ語句や助詞を繰り返すなどの行為は、吃音のない人でも見られます。ただその頻度が一般的な頻度を超えている場合、吃音の中核症状ではありませんが吃音に伴う非流暢性の可能性が考えられます。

頻度だけでなく、その時身体に力が入っているかどうか、発話についてお子さん本人はどのように捉えているのか、どういった場面でそのような発話になりやすいのかなど詳細に調べていって判断する必要があります。特に学童期以降、吃ることを「恥ずかしいこと」と考え、吃らないようさまざまな工夫をした結果、そのような話し方になっている場合があります。本人が自覚して意図的にやっている場合もありますが、小学生の場合、自分でその時の気持ちをうまく説明できない場合もあります。吃音のことについて触れるのをタブー視するのではなく、お子さんとオープンに話ができるとよいのですが、どのように触れてよいのか分からないというご家族も多いのではないでしょうか。

学童期には音読や発表、日直など大勢の前で発話しなければならない活動が増えますし、周囲からのいじめやからかいなども増える時期です。そのため幼児期よりも、吃音に対する不安や困りごと、悩みが大きくなっている可能性が高いと考えられます。こういった場合は専門家と発話症状への直接的なアプローチが必要かどうか相談するだけでなく、心理面への対処の仕方について助言を受けることが望ましいでしょう。発表や音読などに対する配慮や、いじめ、からかいへの対応などは、学校とも連携を図っていくことが大切です。
日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長大岡 治恵先生
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発達障害のある子どものことばにまつわるエピソード

発達ナビライターの方々のことばにまつわるエピソードをご紹介します。
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今回は発達ナビQ&Aコーナーや「みんなのアンケート」に寄せられた言葉にまつわるギモンについて大岡先生からのアドバイスをご紹介しました。

発達ナビのQ&Aコーナーに気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!

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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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