子どもの発音が不明瞭、吃音、イントネーションが気になる…家での対応や相談先は?【言語聴覚士が回答】
ライター:発達障害のキホン
発音がしっかりしていない、出だしが詰まってスムーズにお話できないなど、発達障害やグレーゾーンのお子さんの子育てでは「ことば」についてのお悩みが多く聞かれます。こちらでは発達ナビのQ&Aコーナーや「みんなのアンケート」に寄せられたお悩みについて、言語聴覚士の日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長大岡 治恵先生にご回答いただきました。
監修: 大岡治恵
日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科 学科長
病院などで言語聴覚士として勤務ののち、言語聴覚士養成所にて言語聴覚士養成に携わる。現在は教員の傍ら、大学の付属クリニックで発達障害、構音障害、吃音などの臨床、および臨床研究を行っている。
オンデマンド講座『親子で楽しく遊びたい ~発達が気になる子どもと遊び~』を開講中。
発音が不明瞭、吃音……。発達障害、グレーゾーンのお子さんのことばの悩み、どうすればいい?
発達ナビのQ&Aコーナーは、子育てに関する疑問や知りたいことなどを気軽に質問し相談し合える場所です。ここには「ことば」に関わるお悩みも多く寄せられています。
発音についての悩みです。「き」を「ち」と発音してしまっています。例えば、鳥の「とき」が「とち」になっていても本人は変だと思わないのです。ゆっくり話させると問題ないのですが、今後どう働きかけて行くのがよいでしょうか?(中略)現在小学校1年生です。
2歳半過ぎたあたりから「あ、あ、あ、あ、、あー」「きーきーきーきー」「…これ…い…」などなかなか言葉が出て来ない事が増え、こちらで他の方の投稿やコラムを見たりするうちに【吃音】という言葉を知りました。
本記事は、ことばの支援の専門家、言語聴覚士(ST)の日本福祉大学中央福祉専門学校言語聴覚士科学科長 大岡治恵先生にご回答いただく第2弾。発音がしっかりしていない、出だしが詰まってスムーズにお話できないなど、発達ナビのQ&Aコーナーや「みんなのアンケート」に寄せられている代表的なお悩みについてご回答いただきました。
ことばについての年代別の相談内容や、月齢・年齢によっての発達の目安、「ことば」に困難さを抱えている子どもに対する接し方や声掛け、言語聴覚士(ST)へ相談したいときなどについて知りたい方は、ぜひ第一弾の記事をご覧ください。
ことばについての年代別の相談内容や、月齢・年齢によっての発達の目安、「ことば」に困難さを抱えている子どもに対する接し方や声掛け、言語聴覚士(ST)へ相談したいときなどについて知りたい方は、ぜひ第一弾の記事をご覧ください。
ことばが遅い?家庭でできる支援/年齢別発達の目安【言語聴覚士が回答】
Q:発音が不明瞭で、親や友達が聞き取れない。何もしなくていいの?(5歳)
5歳の子どもですが発音が不明瞭でなにを言っているか親でも聞き取れないことが多々あります。とくにナ行とラ行の発音が悪く、幼稚園の友達に話しかけても意味が通じていないことがありました(その場面を見てショックでした)。幼稚園の先生に「うちの子はことばが遅いので……」というと、「そのうちはっきりしゃべれるようになりますよ」と言われ何もしていないのですが、どれくらい発音が悪ければ発達相談などにいっていいのでしょうか?
A:幼稚園の年中さんくらいまで様子を見て、音の誤りが残っていたらことばの専門家へ相談を
A:2歳くらいの小さな子どもが、「つみき」を「ちゅみき」などと発音していると、かわいらしくほほえましく思えます。では幼稚園の年長さんではどうでしょう? 子どもの発音がはっきりしないという場合、何歳まで様子を見ていてよいのでしょう?
はっきりと大人と変わらない正確な発音ができるようになるためには、子どもの体のさまざまな部分が発達してくる必要があります。舌や唇、喉の奥などの筋肉が正確に素早く協調して動かせるようにならないと、正確な発音をつくることができません。また「らいおん」と「だいおん」が違う音であると聞き分けることができる耳の力も必要になってきます。これらの発達にはかなり個人差があり、3歳くらいで大人と変わらない正確な発音ができる子もいれば、小学生になっても「ちゅみき」になってしまう子もいます。4歳くらいでは約2割に発音の未熟さが残っているといわれています。5、6歳くらいまでにおおむね正確に発音できるようになってきますが、小学生でも「つ」やサ行、ラ行などの発音しにくい音で歪みが残っている子が2~3%くらいいるといわれています。これら小学生以降に残っている発音の歪みは、自然に治りにくいといわれています。何もしないでいると、大人になっても残ることが多い傾向にあります。
つまり様子を見ていてよいのは幼稚園の年中さんくらいまでで、年長さんになってもあまり変化がなく同じ音の誤りが残っていたら、ことばの専門家のところへ相談に行くとよいでしょう。合併する問題や通える頻度などにもよりますが、適切にトレーニングすれば数ヶ月できれいな発音になります。
なかには、耳の病気の後遺症により高い音が聞こえにくいのが原因で、発音が悪い場合もあります。また、かみ合わせや口腔内の形の問題でうまく発音できないこともあります。そういった可能性がある場合は、早めに耳鼻科や歯科へ相談に行きましょう。
はっきりと大人と変わらない正確な発音ができるようになるためには、子どもの体のさまざまな部分が発達してくる必要があります。舌や唇、喉の奥などの筋肉が正確に素早く協調して動かせるようにならないと、正確な発音をつくることができません。また「らいおん」と「だいおん」が違う音であると聞き分けることができる耳の力も必要になってきます。これらの発達にはかなり個人差があり、3歳くらいで大人と変わらない正確な発音ができる子もいれば、小学生になっても「ちゅみき」になってしまう子もいます。4歳くらいでは約2割に発音の未熟さが残っているといわれています。5、6歳くらいまでにおおむね正確に発音できるようになってきますが、小学生でも「つ」やサ行、ラ行などの発音しにくい音で歪みが残っている子が2~3%くらいいるといわれています。これら小学生以降に残っている発音の歪みは、自然に治りにくいといわれています。何もしないでいると、大人になっても残ることが多い傾向にあります。
つまり様子を見ていてよいのは幼稚園の年中さんくらいまでで、年長さんになってもあまり変化がなく同じ音の誤りが残っていたら、ことばの専門家のところへ相談に行くとよいでしょう。合併する問題や通える頻度などにもよりますが、適切にトレーニングすれば数ヶ月できれいな発音になります。
なかには、耳の病気の後遺症により高い音が聞こえにくいのが原因で、発音が悪い場合もあります。また、かみ合わせや口腔内の形の問題でうまく発音できないこともあります。そういった可能性がある場合は、早めに耳鼻科や歯科へ相談に行きましょう。
Q:イントネーションが覚えられない。注意してもいい?(小1)
小1の娘はイントネーションが覚えにくいようで、何度教えても正しい発音を覚えてもらえません。そしてその都度注意したり言い直していると娘も嫌がってしまいます……。注意しないほうがいいのでしょうか?
A:正しい発音の指導は言語聴覚士などの専門家に任せましょう
A:「イントネーション」というのは“発音”を意味しているでしょうか。発音のことだとしたら、その都度注意をし言い直しをさせるのは、あまりよいことではありません。「ゆっくりいってごらん」などの声掛けも同様です。
先ほど説明したように、発音が悪い場合はさまざまな原因があり、どれも「注意をする」「ゆっくり言う」ことで解決するものではないからです。発音に必要な運動機能や耳の聞き分け力が育っていないのですから、何度言われても子どもはどう直してよいのか分かりません。たくさんお話をしようと思ってお母さんに話しかけているのに、いつも話の内容は聞いてもらえず、発音の悪さだけを指摘され言い直しを強要されると、子どもはたくさんお話をすることをやめてしまいます。自分の発話に注意が向きすぎて、吃音やチックなどの症状が出てしまう場合もあります。
正しい発音の指導は言語聴覚士などの専門家に任せましょう。トレーニングの仕方を指導してもらって家庭でも毎日練習します。最初は1音だけ、次に単語や短文と段階を踏んで練習をしていきます。最終的に「日常会話の中で指摘して修正してよい」と指示を受けるまでは決して会話の中で注意をしたり言い直しをさせたりしないようにしましょう。このことは、園や学校の先生とも情報を共有して協力していただきましょう。
発音のトレーニングの適期は5歳~6歳くらいといわれています。小学生になっても少し時間はかかりますがトレーニング可能です。ただし年齢があがるにしたがい治りにくくなりますし、学校が終わってからトレーニングに通おうと思っても、夕方の時間帯は混んでいて予約が取りにくい場合が多いようです。
先ほど説明したように、発音が悪い場合はさまざまな原因があり、どれも「注意をする」「ゆっくり言う」ことで解決するものではないからです。発音に必要な運動機能や耳の聞き分け力が育っていないのですから、何度言われても子どもはどう直してよいのか分かりません。たくさんお話をしようと思ってお母さんに話しかけているのに、いつも話の内容は聞いてもらえず、発音の悪さだけを指摘され言い直しを強要されると、子どもはたくさんお話をすることをやめてしまいます。自分の発話に注意が向きすぎて、吃音やチックなどの症状が出てしまう場合もあります。
正しい発音の指導は言語聴覚士などの専門家に任せましょう。トレーニングの仕方を指導してもらって家庭でも毎日練習します。最初は1音だけ、次に単語や短文と段階を踏んで練習をしていきます。最終的に「日常会話の中で指摘して修正してよい」と指示を受けるまでは決して会話の中で注意をしたり言い直しをさせたりしないようにしましょう。このことは、園や学校の先生とも情報を共有して協力していただきましょう。
発音のトレーニングの適期は5歳~6歳くらいといわれています。小学生になっても少し時間はかかりますがトレーニング可能です。ただし年齢があがるにしたがい治りにくくなりますし、学校が終わってからトレーニングに通おうと思っても、夕方の時間帯は混んでいて予約が取りにくい場合が多いようです。
言語聴覚士のいる病院や施設は、以下のページで検索できます。また、各都道府県言語聴覚士会のホームページでも探すことが可能です。