受給者証はどんなときに必要?受けられるサービスや助成など解説【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
受給者証はどんなときに必要?受けられるサービスや助成など解説【専門家監修】のタイトル画像

障害のある方が福祉サービスや医療費の助成などを受けるために必要となる受給者証。ただ、種類が多くよく分かっていないという方も多いのではないでしょうか。今回は受給者証の種類や受けることができるサービスの詳細、障害者手帳との違い、取得するメリットデメリットを紹介します。

監修者渡部伸のアイコン
監修: 渡部伸
行政書士
親なきあと相談室主宰
社会保険労務士
慶應義塾大学法学部卒後、出版社勤務を経て、行政書士、社会保険労務士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。現在、渡部行政書士社労士事務所代表。自身も知的障害の子どもを持ち、知的障害の子どもをもつ親に向けて「親なきあと」相談室を主宰。著作、講演など幅広く活動中。
目次

受給者証とは?福祉サービスと医療費助成などで違うの?種類や用途、手帳との違いを解説

受給者証とは?

「受給者証」とは、主に障害のある方が福祉サービスや医療費助成などを受けるために必要となる証明書のことです。利用する福祉サービスなどで種類が分かれていて、通所受給者証、入所受給者証、自立支援医療受給者証など名称も異なります。

受給者証は条件を満たしている方やその家族が自治体の障害福祉窓口などに申請し、審査を通ると発行されます。条件は受給者証ごとに異なっており、所得により自己負担額が変わってくる場合もあります。
受給者証の申請から発行までは1ヶ月から3ヶ月前後かかる場合が多いと言われています。ただ、申請の流れや発行までの期間は受給者証の種類や自治体によって異なりますので、申請の際に窓口で確認しておくといいでしょう。

障害の診断がある方だけでなく、いわゆるグレーゾーンの方も福祉サービスなどを利用する必要性が認められた場合は発行されます。
参考:障害児施設|東京都福祉局
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai//shogai/shisetsu.html
参考:障がい福祉サービス|与那原町
https://www.town.yonabaru.okinawa.jp/soshiki/10/3352.html
参考:自己負担上限額を定める際の所得区分の認定について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0428-1f/04-4.html

受給者証と障害者手帳は違うものなの?

受給者証のほかに、障害者手帳という制度を聞いたこともあるのではないでしょうか。どちらも所持することで障害のある方へのサービスを受けられるという点は同じですが、受けられるサービスに違いがあります。

障害者手帳は一定の障害があることを証明する手帳で、障害によって身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳と3つの種類に分かれています。障害者手帳を取得することで税金の控除や交通費などの割引といったサービスを受けることができます。民間事業者でも割引を行っている場合があり、携帯電話の利用料やNHKの受信料、テーマパークなどの入園料が割引になることがあります。

なお、障害者手帳だけがあっても児童福祉法や障害者総合支援法などに基づく障害福祉サービスや、障害や希少疾患がある人などが対象の医療費の助成は受けることができません。別途受けたいサービスや制度ごとに受給者証を取得する必要があります。

※療育手帳は「愛の手帳」(東京都)「愛護手帳」(名古屋市)など、ほかの名称の地域もあります。
参考:障害者手帳|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html
参考:障害者手帳・障害年金|国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/support_certificate.php

福祉サービスを受けるための受給者証

児童通所受給者証

児童通所受給者証とは、ここでは児童福祉法に基づく障害児通所支援を利用するための受給者証を指すものとして説明します。

障害児通所支援には以下のようなサービスが含まれます。
・児童発達支援
・医療型児童発達支援
・放課後等デイサービス
・居宅訪問型児童発達支援
・保育所等訪問支援

など

児童発達支援は未就学児を対象として、日常生活や集団生活での困りごとを解消するための支援を行い、放課後等デイサービスは就学児を対象に日常生活や集団生活、学習などの困りごとを解消するため支援を提供します。
居宅訪問型児童発達支援は外出が困難な子どもを対象に、自宅で発達支援を提供するサービスで、保育所等訪問支援は保育園などへ支援者が訪問して集団生活への適応の支援を提供するサービスです。

利用を希望する場合は、どのサービスにするかを選択して受給者証を申請します。サービスの利用料は国と自治体が9割負担し、利用者の負担割合は1割です。

また、所得に応じて毎月の利用料に上限があり、生活保護や住民税非課税世帯は0円、住民税課税世帯でも課税額に応じて4,600円、37,200円と分かれています。月に何回利用しても上限額以上を支払うことはありません。ただ、利用にかかる交通費や食事代などは別途かかる場合があります。
参考:障害児通所支援・障害児入所支援の概要|子ども家庭庁
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/7612b45c-aad3-4503-9026-12d01277b181/859e07e2/20230401_policies_shougaijishien_01.pdf
参考:障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について|子ども家庭庁
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/b27810b0-7802-444c-a95d-22841bdf3eca/d1659b31/20240401_policies_shougaijishien_shisaku_jimushori_yoryo_02.pdf
参考:障害者福祉:障害児の利用者負担|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan2.html

障害福祉サービス受給者証

障害福祉サービス受給者証は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを利用する際に必要となる受給者証です。障害福祉サービスには大きく分けて、介護に関する「介護給付」と自立や就職に関する「訓練等給付」があります。

介護給付には子どもが対象のサービスとして、居宅介護や行動援護、短期入所などがあります。居宅介護は利用者の自宅にスタッフが訪問し、入浴、排せつ、食事などの介護を提供するサービスです。行動援護は、行動上著しい困難があり、常時介護が必要な障害のある方に外出中のサポートを行います。

短期入所は普段自宅で介護を担当している方が、病気などの理由で介護が困難な場合に、短期間施設に入所してスタッフが介護や見守りを行うサービスです。利用者が子どもの場合は児童福祉施設などで行われます。

訓練等給付では大人向けに就職などに関してさまざまな種類の支援を提供しています。一般企業に就職するために通う就労移行支援や、支援を受けながら働く就労継続支援などがあります。

利用料は9割を国と自治体が負担し、1割が利用者負担となります。さらに、所得に応じて毎月支払う金額の上限が決まっており、0円、4,600円(18歳未満で通所施設、ホームヘルプ利用の場合。18歳以上は9,300円)37,200円となっています。
参考:障害福祉サービスについて|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html
参考:在宅の子ども・子育て 家庭支援事業の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000104548.pdf
参考:障害者の利用者負担|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html

地域生活支援事業受給者証

地域生活支援事業は、障害者総合支援法に基づき自治体が地域や利用者の状況を考慮した柔軟なサービスを提供する事業のことです。具体的な内容は多岐にわたりますが、主なものとして創作活動や生産活動の機会の提供、社会との交流の促進、機能訓練、訪問入浴サービス、移動支援といった活動があります。

この中でも移動支援は1人では外出が難しい方の社会参加のために、ガイドヘルパーが付き添いをするサービスとなります。具体的には役所や銀行の手続きへの同行のほか、映画館、習い事など余暇活動への同行も行います。ただ、自治体によって年齢や障害の程度により利用可能な活動の範囲や時間が異なる場合があります。

東京都杉並区では余暇活動への移動支援が、
・小学校4年生から6年生:1カ月に15時間以内又は年間180時間以内
・中学生・高校生:1カ月に30時間以内又は年間360時間以内
・18歳以上:1カ月に50時間以内又は年間600時間以内
と年齢に応じて時間が増えていきます。

地域生活支援事業の利用料は一律には決まっておらず、自治体やサービスによって異なります。先ほどの杉並区の移動支援の例で言うと、住民税課税世帯がサービス料の3%、非課税世帯は0円で利用可能となっています。詳しいことはお住いの自治体の障害福祉窓口でご確認ください。
参考:地域生活支援事業|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/chiiki/index.html
参考:地域生活支援事業について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/chiiki/gaiyo.html
参考:地域生活支援事業・地域生活支援促進事業について|埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/233126/tiikiseikatusiennjigyou.pdf
参考:移動支援事業|杉並区
https://www.city.suginami.tokyo.jp/normalife/gaishutsu/gaishutsu/1008576.html

障害児入所受給者証

障害児入所受給者証は短期入所(ショートステイ)とは異なり、障害児入所支援において長期間入所する場合に必要となります。

障害児入所支援とは児童福祉法に基づいて、障害のある子どもの保護、日常生活のスキル獲得のサポート、治療などを行うサービスです。福祉型と医療型の2つの種類があります。

利用料は国や自治体が9割、利用者が1割を負担し、所得に応じた毎月の上限額も決まっています。上限額は通所支援と異なり、住民税課税世帯の中でも9,300円と37,200円となっています。障害児入所支援の利用に関しては、障害福祉窓口ではなく児童相談所に相談や申請が必要です。
参考:障害児入所支援|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaiseihou/dl/sankou_111117_01-08.pdf
参考:障害児施設|東京都福祉局
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai//shogai/shisetsu.html

医療費助成などを受けるための受給者証

心身障害者医療費受給者証

心身障害者医療費制度とは、障害のある方やその家族の医療費の負担を軽減する制度です。自治体によって多少異なり、東京都ではマル障という略称が使われているほか、受給者証ではなく受給資格証が交付される地域もあります。

心身障害者医療費制度の助成の範囲は通院だけでなく入院、薬の処方などにもおよびます。また、医療費は所得により異なり、住民税非課税者の場合は負担が0円となります。住民税課税者の場合は基本的に医療費の負担が1割となるほか、通院の場合と通院、入院両方行った場合で毎月、年間の負担上限額が設定されます。

心身障害者医療費制度の対象となる方は、自治体によって異なりますが、東京都の場合は以下の通りです。
・身体障害者手帳1級・2級(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む)
・精神障害者保健福祉手帳1級
・愛の手帳(療育手帳)1度・2度

詳しくはお住いの自治体のWebサイトなどをご確認ください。
参考:心身障害者の医療費支給制度について知りたい。|さいたま市
https://www.city.saitama.lg.jp/faq/001/002/003/p110337.html
参考:心身障害者医療費助成制度(マル障)|東京都福祉局
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/josei/marusyo.html

自立支援医療(精神通院医療)受給者証

自立支援医療(精神通院医療)とは、精神疾患の通院治療にかかる医療費の負担を軽減する制度です。

利用することで原則3割負担の医療費が1割負担となるほか、所得に応じて月に支払う医療費の上限が決まります。対象となるのは通院しての診察、処方、デイケア利用などの医療費です。

自立支援医療(精神通院医療)の対象者は、うつ病や統合失調症などの精神疾患のある方のほか、発達障害のある方も含まれます。
参考:自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000146932.pdf
参考:自立支援医療(精神通院医療)について|東京都福祉局
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai/nichijo/tsuuin/seishintsuuin.html

小児慢性特定疾患医療受給者証

小児慢性特定疾病の医療費助成とは、子どもの慢性疾患のうち長い期間治療が必要な疾患に対して、医療費の自己負担を軽減する制度です。白血病やリンパ腫、ネフローゼ症候群などの特定の疾患があり、以下の条件に該当する子どもが対象となっています。
・慢性に経過する疾病であること
・生命を長期に脅かす疾病であること
・症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること
・長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること

引用:概要|小児慢性特定疾患情報センター
出典:https://www.shouman.jp/assist/outline
小児慢性特定疾病の医療費補助は世帯収入と症状の程度によって、医療費の自己負担額の上限が設定されます。生活保護世帯は一律で0円、上位所得世帯で重症に分類される場合は10,000円となっています。そのほかに、人工呼吸器や入院中の食費に対しても助成が行われます。

また、一般的に小児科は15歳までが対象ですが、小児慢性特定疾患医療受給者証を所持している場合は、状況により20歳まで受診が可能となっています。それ以降は基本的に成年期医療に移行することになりますが、症状や担当医と相談のうえ、継続して小児科を受診する場合もあります。
参考:小児慢性特定疾病対策の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000078973.html
参考:概要|小児慢性特定疾患情報センター
https://www.shouman.jp/assist/outline
参考:小児慢性特定疾病の対象疾病リスト|小児慢性特定疾患情報センター
https://www.shouman.jp/disease/search/disease_list
参考:【18歳以上の受給者の皆さまへ】民法改正による成人年齢の引き下げに伴い、18歳以上の方の申請手続きが一部変更されます|小児慢性特定疾患情報センター
https://www.shouman.jp/news/topics/125
参考:国立成育医療研究センターの成人移行支援に関する考え方|国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/information/transition.html
療育支援探しバナー
次ページ「受給者証一覧表をチェック」

追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。