スバルが相談しやすい環境づくりを心がけるように

その後、徐々に首を振るチックは見かけなくなり今では稀に顔を出す程度になりました。それと入れ替わるように「ティントン」と声が出るチックが出現しました。前回の反省を踏まえて、あえて日常でチックの話をすることでさりげなく相談しやすい環境をつくりつつ、かと言って指摘しすぎず……を心がけています。

私的にはかなりさりげなくできているつもりですが、スバル目線で見て見ないと本当のところは分かりません。
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https://h-navi.jp/column/article/35030318
執筆/星あかり

(監修:新美先生より)
スバル君のチックにまつわるエピソードを聞かせていただきありがとうございます。
チック症は、チックが起きやすい脳の体質的なものが基盤にあり、就学前後頃に発症し、多く出たりほとんど出なかったりの調子の波があり経過していきます。ストレスや不安があったり、疲れがたまったりすると悪化することが多いので、ストレスのバロメーターになっていたりもします。またチックが多い時期に、学校よりも家でテレビを見ているような場面でより強く出るお子さんも少なくありませんが、これは家でストレスがあるのではなく、軽く緊張しているような場面より、ほっと一息したリラックスしている場面で出やすいお子さんが多いです。

チック自体は止めようとして、ほんのわずかな間なら我慢することができないわけではないのですが、ずっと我慢していることは困難です。このため一般的な対応として、「やたら指摘せず、そのまま見守る」と言われています。そして、背景にあるストレスや不安、疲れがあるようならそれらにアプローチするということも大事で、これらについて星さんの対応は適切だったと言えます。

ただ、幼い時期は本人がチックに気づいていないこともあるかもしれませんが、たいていの場合はチックがあること自体には気づいていることが多く、そのことを全く話題にしないことで、「話してはいけないこと」とお子さんがとらえてしまうということもあるかもしれません。一定の時期が来たときに、専門家からチックについての考え方や対策などについて説明してもらい、調子が悪い時に相談できるようにしておけたのは、スバル君にとってもとても良かったのではないかと思います。また、ある程度の年齢であれば、チックが悪化した時に、何がストレスになっているかな?ということ自体を、保護者の方や学校の先生などと一緒に考えたりすることで、ストレスに対処する力をつけることにもなるかもしれません。

チックが悪化して、日常生活に支障がある場合は、一時的に薬物療法をすることもありだと思います。そういう点でも、医療につながっておき、いざというときに相談できる体制がつくれたのは安心ですね。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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