息子の癇癪に毎日イライラ!カッとなり自己嫌悪…私を変えた「怒りのコントロール法」

ライター:みかみかん
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わが家は5歳のたーちゃんと夫と私の3人暮らしです。
たーちゃんは2歳半の時に、知的障害(知的発達症)のないASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。
今回は、育児をしていてカッとなってしまいそうな時に私がしていることです。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。

育児で毎日イライラ、感情的に怒って後悔……どうすればいい?

発達障害のあるお子さんの育児をしていると、イライラしてしまうことってありませんか?私はあります。ほぼ毎日です。自分で言うのもなんですが、私は自分のことを穏やかな性格だと思っていました。育児を始めるまでは。

子どもに対する怒りをどうにかしないといけないと強く感じたのは、たーちゃんが2歳半くらいの頃でした。何度言っても帰宅してから手を洗わない時期で、「手を洗おうね」と私が言うだけで毎回のようにたーちゃんは癇癪を起こしていました。

道中気になるものはなんでも触ってしまう2歳児。土を触っては泥にまみれ、ガードレールを触っては肌を真っ白にしていました。正直、かなり汚い手です。衛生的にも良くないですし、洗わなくてもいいルーティンが身につくのもどうかと私は思っていました。
「手を洗おうね」と目線を合わせて促す私。ブリッジをするように癇癪を起こして「イヤー!」と泣く息子。
玄関で毎日のようにおこる癇癪……!付き合っている保護者だってイライラしてしまう時もある。
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なので、手を洗わずにそのままリビングに入ることは私が許せませんでした。どうしても言うことを聞いてくれない時には、泣いて嫌がるたーちゃんを強く𠮟って無理に手を洗わせたこともありました。

しかし、感情に流されてたーちゃんを怒ってしまった後には、いつも後悔があり……。

「どうして、こんな小さな子どもに怒鳴ってしまったのだろう」

「ASD(自閉スペクトラム症)特有のこだわりかもしれないから、私は根気強く頑張らないといけないのに」

そんなふうに自分を責めたり、落ち込んだりしていました。
子どもを強く叱ってしまったあと、頭を抱えて静かに泣く私。どうしてあんなにカッとなってしまったのだろう、と後悔……。
子どもを強く叱ってしまったあとには後悔が……
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カッとなってしまうのをやめたい!対処法を調べてみた

そして、「このままではいけない」「カッとなってしまう自分をどうにかしよう」と対処法を考えるようになりました。

まず、インターネットでアンガーマネジメントについて調べました。記事を参考にして、どうして怒ってしまうのかを自己分析し、怒ってしまいそうになった時、どうしたらいいかを書き出しました。
どうして怒ってしまうのか、自分の気持ちを紙に書き出す私。どうしたらイライラしないかも考えてみる。
自分の気持ちをまず知ることから!どうしたらイライラしないか、自分なりに考えてみた!
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私がどうして怒ってしまうのかという理由は、

・毎日何度言っても改善されず、いつまで続くのかと思う
・私は早く家事をしたいのに、癇癪に付き合わないといけない
・部屋を汚されるのが嫌だ


……等々でした。

冷静な時に考えれば、どれもたーちゃんを激しく叱る理由にはならないと気づかされました。

試した結果しっくりきた、私なりの怒りへの対処法は?

結局、私とたーちゃんの関係でうまくいった怒りへの対処法は、「しばらく離れる」ことでした。

帰宅して「手を洗おう」と誘うとすぐに癇癪が始まるので、安全な玄関や廊下でしばらくそっとしておく。

自分は先に手を洗い、癇癪が落ち着くまで少し離れたところで見守る(その時の私の気持ちは「無」です)。

たーちゃんが落ち着いてから、手を洗うのを手伝う。
少し離れたところから、息子の癇癪をじっと見守る私。
近くで寄り添わなくてもいい。少し離れたところから息子を見守ることで、イライラせずにいられる。
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この方法を試してみると、距離をとっているおかげか、私のイライラや怒りがかなり穏やかになりました。たーちゃんにとっても、気持ちの整理は自分でするというトレーニングになったと思います。

また、癇癪をおこしているたーちゃんの言葉には無理に返事をしなくてもいいと自分で決めていました。癇癪中のたーちゃんには全てが刺激になってしまう様子だったので、とにかく見守ることだけを徹底し、自分はリラックスした状態を維持するように気を付けました。それでもついカッとなってしまいそうになったら、洗面所に逃げていました。

さらに、時間にゆとりを持つようにして、大人の都合でイライラしてしまうことを防ぐようにしました。早めに帰宅したり、夕食の支度を済ませておいたりして、癇癪が落ち着くまでの時間を気にせずいられるように努めました。
癇癪が落ち着き、一緒に手を洗う私と息子。
癇癪が落ち着いたら、和やかに過ごそう。イライラせずにいられた自分にも花丸を!
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思い通りにはいかない育児。怒鳴りたくなってしまったり、カッとなってしまったりする保護者の気持ちは痛いほど分かります。だからこそ、「こうしなくちゃいけない」という決めつけをなくし、育児のハードルを下げてみようと私は思うのです。

子どもが泣いて暴れているのに対応しないように見える私は、傍から見たらひどい親かもしれません。それでも、激しく叱りつけるよりはマシだと思っています。家族みんな元気で生きていたらOK!と肩の力を抜いて育児ができれば、カッとなることも減るのではないでしょうか。

いつも心穏やかに育児をすることは難しいですが、自分の怒りを子どもに向けることなく過ごすために、私は努力し続けようと思います。
執筆/みかみかん
(監修:新美先生より)
お子さんの癇癪に、カッとなることをやめようと工夫されたエピソードを聞かせていただきありがとうございます。日々の育児の中で、お子さんの言動に、カッとなってしまうことは誰でもありますよね。怒ってもどうにもならないと思っても、その場になると毎回イラっとして怒ってしまってから後悔することもあるものです。

みかみかんさんは、自分がなぜカッとなるのかについて、冷静に自己分析されたのですね。これってなかなかできないことですが、とてもいいやり方ですね。子育ても相性なので、お子さんの言動に自分がカッとなるのには自分のこだわりポイントが潜んでいるということはよくあります。子どもに対してこうしてほしいという思いであったり、自分自身のこだわりや苦手さ(例えば、部屋が片付いていないといやだとか、子どもの泣く声がつらい)などがあったりすることもあります。そのこだわりポイントやこうなってほしいという思いに対処するには、「カッとなって怒る」以外にどのようなやり方があるかなと考えてみると発想転換ができることもあります。

記事に書いてあったように、癇癪時に「しばらく離れる」というのは良い対処法ですね。癇癪を起こしているときに、声をかけたりもっと大きな声で怒ったり、逆になだめたりしてもあまり効果はありません。むしろ刺激を減らしておさまるまでそっとしておくほうが早く落ち着くことも多いものです。危険がなければ少し距離を置いて関わらないようにするのはお勧めです。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030324
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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