【新連載】小3息子は知的障害を伴う自閉症。「早く医療に繋がったほうがいい」1歳半健診が転機に

ライター:ほかかほ
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はじめまして。軽~中度の知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)で、知的障害特別支援学級に通う小学3年生の一人息子おと(9歳)の母、かほです。転勤族の夫と3人暮らしで全国各地を転々としており、おとが産まれてからは計5回の引っ越しをしています。各地の医療・福祉・教育から得た経験、またおとを育てていく中で気づいたことや感じたことなど、これから執筆させていただきます。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

当時1歳、おとの障害に気づく

1歳頃からASD(自閉スペクトラム症)によく見られる特徴があった息子
1歳頃からASD(自閉スペクトラム症)によく見られる特徴があった息子
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1歳頃のおとは、目が合わず、模倣せず、一緒に遊びたがらず、こだわりが強く、指差しせず、クレーン現象で要求を伝え、親への愛着が見られないなど、ASD(自閉スペクトラム症)によく見られる特徴を網羅していました。1歳3か月で歩き出すようになると、多動と衝動性も目立つようになってきました。道で手を繋いでいても、私の手を振りほどいて気になる物のほうへ突っ走って行くので、当時外を歩くのは命がけ。家の中でも家具や家電に登ったり倒したり、破壊行動や危険行動が止まりませんでした。

私は当時、転勤帯同で周りに頼れる人もいなかったことから、おとを連れて近所の児童館や子育て支援センターによく行っていました。そこでもおとはドアを開閉し続けたり、フラフラになりながら階段昇降をし続けたりと、不思議なこだわり行動を繰り返していました。また読み聞かせ・体操・リトミック・キャラクターショーなど、参加したあらゆるイベントでその場から脱走。まともに参加できたことが一度もありませんでした。当時のおとは、とにかくその場に短時間でも留まっていることができなかった思い出です。このようなおとの特性が強く表れた行動に、転勤帯同の孤独も重なり、私は心身ともに追い詰められていきました。

転機となった1歳半健診

1歳半健診が転機となり、医療と福祉に繋がる
1歳半健診が転機となり、医療と福祉に繋がる
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私の父はアスペルガー症候群(※)の診断を受けており、また私は大学生の時に心理学を専攻していたことから、元々発達障害について何も知らないという状態ではありませんでした。そのためおとが1歳前半の頃は、日ごろの様子から「おとは発達障害だろう」と認識しており、1歳半健診で発達の相談をしようと心に決めていました。当日1歳半健診の会場で暴れ、泣きわめき、嘔吐したおとを保健師さんが心配し、自宅での健診を提案して下さいましたが、私は「発達相談を受けたい」と強く希望しました。すると保健師さんがすぐに発達相談会場に通してくださり、その相談会場にいた医師から「息子さんは早く医療につながったほうがいいと思います」と言われました。この1歳半健診を契機に、発達外来のある病院への受診に繋がります。

※以前は、言葉や知的の発達に遅れがない場合「アスペルガー症候群」という名称が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年(日本版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。

適切な支援につながる

適切な支援を受けて、親子共に過ごしやすくなった
適切な支援を受けて、親子共に過ごしやすくなった
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1歳半健診で紹介された病院での診察と発達検査を経て、療育やOT(作業療法)、発達障害者支援センターなど各機関にスムーズに繋げていただき、適切な支援を受けられるようになりました。後にさらに転勤帯同して気づくのですが、当時これほどスムーズに適切な支援につながったことはとてもラッキーな出来事だったと思っています。その後も夫の転勤帯同の度に、各地で福祉・医療現場の皆さまに支援をしていただきました。小学校に入学してからは学校の先生方にも支えていただき、今に至ります。適切な支援を受けたおかげでおとはとても成長し、私も相談先や休息の時間を確保でき、追い詰められていた気持ちは消失していきました。
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