小学校はほぼ不登校、学校の勉強は小3止まりだったけれど…発達障害息子が読書で身につけた「人生の歩き方」

ライター:あき
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わが家の息子・コチ丸は小3の時にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断されています。
今回はコチ丸が高校生になるまでの子育ての中で、母として思い入れのあるエピソードである「コチ丸と読書」についてお話ししたいと思います。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

読書好きな母が「本を好きな子になってほしい」というありがちな想いから始めた取り組み

子育てが初めてで、さらには結構早い段階から「子育ては私には向いていないかも……」と思っていた私でしたが、妊娠の段階から「これは絶対やりたい」と思っていたことのなかにあったのが、毎晩の本の読み聞かせでした。

私はコチ丸が2歳の頃に離婚したため、シングルマザーとして多忙な毎日でしたが、結局、息子が小学校を卒業する頃まで夜の読み聞かせを続けました。

一度始めたことを続けるのが得意な性格ということもありますが、私が読み聞かせをこんなに長く続けられた一番の理由は、コチ丸が生まれてしばらくしてから育児関係の仕事に就いたことでした。私はそこで育児に関する講座のテキストや知育玩具を企画する仕事をしながら、私自身も子どもの発達などについて勉強をさせていただきました。

勉強をさせてもらっていたからこそ、自分の子どもがほかの子と少し成長過程が異なっているということを、私はコチ丸がかなり小さい頃から感じていました。ほかの子と違うのならばなおのこと、コチ丸には本を好きになってもらって、自ら学ぶ力を身につけてほしいという思いもありました。

コチ丸が読み聞かせの内容も理解できないような小さい頃から、私は毎晩本を読みました。主に童話から入り、一日5分程度は本を読みました。毎晩のことなので読む側も飽きないように、成長するにつれて図鑑や落語を読んだり、長い小説を何日かに分けて読んだり……、一冊の本がボロボロに痛む程読みました。

その甲斐があってか、コチ丸は小学校の頃には自分でも本を読むのが好きな子になりました。
忙しい日々の中でも欠かさず続けた毎晩の読み聞かせ
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読書で得た知識を実際に自分でも体験してみる……→インドア派な母まで巻き添えを食らう(笑)

小学生になり、徐々に学校に行かない日が多くなっていったコチ丸は、家に山のように積んである自分の本はもちろんですが、私や私の母の持っていた大人が読むような本、さらには学校へ行くと図書室で1日こもって本を読んでいました。コチ丸曰く、「小学校の図書室の本は全て読んだ」、とのこと(笑)。でもそれも本当かもしれないと思うくらいジャンルを問わずの読書量でした。

やがてコチ丸の読書への情熱は、付随するいろいろなものへと広がりました。恐竜・星座・動物・科学・工作・哲学……。図鑑や絵本で得た知識が本当なのか確かめるために、地元では飽き足らず遠方の科学館や博物館まで足を運んだり、サマーキャンプやワークショップなど、実際に体験できるところへ1人でも積極的に参加したり……。あるキャンプでは生きている鶏を自分たちで解体して料理していただくという企画で、自ら率先してそれを捌いたのち、食べ終わって残った骨を「骨格標本をつくる」と全て持ち帰ってきたこともありました(汗)。結局、コチ丸は小学校へはほとんど行かなかったので、勉強は3年生の九九で止まってしまいましたが、このように学校での学びとは違うところで知識が広がっていきました。

時にはこれまで完全なインドア派だった私まで巻き添えをくらい、真夏の河原で化石掘りを手伝ったり、地元の大きな古墳に登ったり、極寒の北海道で流氷の中をドライスーツを着て海に入ったり……。コチ丸が生まれる前と後では私の世界も全く変わりましたが、全てはコチ丸の経験のため……と真っ黒になるまで頑張った夏の日も、今ではよい思い出です。気がつけば自分もそれまでしてこなかったし、これからもコチ丸がいなかったらしなかっただろう貴重な経験をさせてもらっていました。
本で得た知識を実際に確かめたい息子。インドア派の母もとことん付き合うことに
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頭の中、どうなってるんですか?(汗)と毎回驚かされた突出した記憶力

また、発達障害の特性も相まってか、コチ丸は本を読んで覚えたことをセリフのように一言一句そのまま話すことが多々ありました。動物の特性、歴史の教科書には載っていない裏舞台、マニアックな星座の神話など……。「これってなんだろう?」と私が首を傾げている横で、コチ丸がサラサラとその答えを言ってのけるというシチュエーションは生活の中で数多くありました。

コチ丸が言うには、自分の頭の中には大きな本棚があって、そこには今まで得た知識が全て本になって詰まっているそうです。そしてそこから必要な本を引っ張ってそれを読み上げているようなイメージだと話していました。

先に書いたように、コチ丸への読み聞かせは小学校の終わり頃まで続きました。コチ丸は中学校に入ると、地元から離れた私立中学に通うようになり、新しい友だちと遊ぶことが多くなりました。その頃にはゲームをやったり、漫画やアニメを見たり……、いわゆる「オタク」な道にハマっていき、小説や小難しい本の読書量は減りました。

ただ、よく親はゲームや漫画というと頭から否定してしまいがちですが、私も中学の時はやはり「オタク」だったので、漫画や知識からも得るものがあるのは経験から感じていたので、否定することはしませんでした。

高校生になり寮に入ると、なかなか自分で本を買う機会もなくなり、コチ丸の読書量はさらに減ったように感じます。ただ、子どもの頃からコチ丸がやってきた、「分からないことは本で調べ、さらにそれを自分が体験してやってみる」という、自分が知りたいと思ったことに対する貪欲さは今もとても強く、「馬について学ぶために北海道の高校へ行く」という進路選択はその1つの例だと思います。
マンガやゲームに興味が出てきて、読書量は減ってきたけれど……
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