自閉症・情緒障害特別支援学級か、知的障害特別支援学級か——今後の選択に向けて 

息子はこの1年で忍耐力がつき、見通し不安も軽減されるなど成長が見られます。そのため、今後どの環境が最適かを慎重に見極める必要があります。知的障害特別支援学級であれ、自閉症・情緒障害特別支援学級であれ、息子に合った学びの場がどこなのか――私はこれからも考え続けていくことになりそうです。
イラスト/マミヤ
エピソード参考/苗

(監修:新美先生より)
知的障害特別支援学級に在籍しているのに、知的障害(知的発達症)がないことが発覚したという悩ましい状況について聞かせていただきありがとうございます。このようなこと、実は結構よくあります。例えば自閉特性のため幼少期のコミュニケーション面の発達が特にゆっくりなお子さんでは、就学前の時点では知能検査が実施できなかったり、実施できても数値が低めに出ていたりして就学時は知的障害特別支援学級に在籍することになったのに、数年後コミュニケーション面が追い付いてきて検査に取り組みやすくなり、知能検査を実施、再検したら実は知的障害域ではなかったというようなことは起こり得るのです。知的障害特別支援学級は原則は知的障害(知的発達症)がある方のための学級なので、最新の知能指数が知的障害域でない場合、転籍を迫られるということも起きうることです。

知的障害特別支援学級では、個人に合わせた学習をしていて必ずしも学年相応である必要はなく、自閉症・情緒障害特別支援学級では学習は原則、学年相応の学習指導要領に沿った学習をすることになっているので、知的障害特別支援学級から自閉症・情緒障害特別支援学級に転籍すると、お子さんによっては、学習がいきなり飛んでしまったり、難しくなってしまったりということがあるかもしれません。

このような時に転籍をしない選択肢があるかどうかは、地域や学校によっても異なります。お子さんにとって転籍をしたほうがいいのかしないほうがいいのかについては、直近のこと、将来のことさまざまな視点から検討していく必要があり、知能検査の数値だけで決められるものじゃないですよね。悩める状況は現在進行形のようなので、また機会があったらどのように決めていったのかについても聞かせていただければありがたいです。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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