夏休み明けの不登校は突然!?「明日学校に行きたくない」と言われたら…休む基準、介護休暇、親の役割を不登校ジャーナリストが解説

ライター:発達ナビ編集部
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子どもの不登校は、いつ、誰にでも起こりうる身近な問題になっています。特に新学期や長期休み明けは、子どもたちが心身の不調を訴えやすい時期でもあります。もし明日、あなたのお子さんが「学校に行きたくない」と言い出したら、どうすれば良いのでしょうか?

今回は、不登校ジャーナリストの石井しこう氏に、400人以上の当事者への取材から見えてきたお子さんが学校へ行けなくなった時の実践的ステップについて、LITALICO発達ナビ編集長の牟田暁子がお話を伺いました。

夏休み明けの不登校は突然。予防策はない「自分が無理をしていたという表出」

LITALICO発達ナビ牟田暁子編集長(以下――):夏休み明けは特に不登校が増える時期と言われていますね。夏休みの過ごし方は不登校と関係があるのでしょうか?

石井しこう氏(以下石井):夏休み明けは、1年のうちでも一番不登校が増える時期だと言われています。しかし、不登校になるのは夏休み中の過ごし方が原因ではありません。多くの場合、1学期あるいはその前から続く学校生活の中で苦しんでいたことが、休み明けに急に噴出するのです。
保護者の方の中には、お子さんが不登校になるとご自身を責める方が多くいらっしゃいます。しかし、子どもは子どもで必死に自分の人生を生きているので、親のせいではないと、きちんと切り分けて考えることが大切です。

――「学校に行きたくない」という理由が本人から語られないことも多いですね。
不登校ジャーナリスト・石井しこうさん
不登校ジャーナリスト・石井しこうさん
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石井:そうですね、不登校の子どもに理由を聞くと、多くの場合「分からない」と答えます。これには、いくつかの理由が考えられます。
一つは、いじめを受けていたり、正直に言うことができない場合です。また、発達の特性や情報処理の困難さから、何が原因か整理がつかないという意味で「分からない」という子もいます。ショックなことがあって、その部分の記憶が欠落している子もいるのです。
「分からない」と答えられたからといって、解決できないと絶望する必要はありません。やるべきことは、ただ本人が生き生きできる場所を探すことです。

休ませていいのかの判断にチェックリストを使う。休みが長期に及ぶ場合は介護休暇を

――休ませたほうがいいタイミングの見極めはどうすればいいでしょうか?

石井:新刊『小学生不登校 親子の幸せを守る方法 400人の声から生まれた「親がしなくていいことリスト」』でもご紹介していますが、NPOの方たちなどと一緒につくった「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を活用することをおすすめしています。このチェックリストでは、身体症状や学校でのトラブルなどの項目に当てはまるかどうかで、休ませるべきかどうかの指針が分かります。特に身体症状が見られる場合は休みのサインです。
参考:学校休んだほうがいいよチェックリスト
https://branchkids.jp/lp/oyasumi-checklist
――どれくらい休ませればよいのでしょうか?

石井:「心のインフルエンザ」にかかったと思ってください。インフルエンザにかかったら短くても3日間は体調不良がありますよね。学校は1週間くらい休む必要があります。心にダメージが溜まっていない子は、3日や1週間も休めば「家にいるのが限界だ」と感じて、行きたくなることが多いです。
それでも本人が「苦しい」「行きたいけど行けない」と言っている場合は、その後3週間くらい休んだほうがいいと考えています。

――親が仕事を休む必要がある場合、どうすればよいのでしょうか?

石井:保護者の方もその際に、介護休暇を取ることができます。正規雇用の就業規則には介護休暇が含まれており、自分の親だけでなく子どもにも使えます。しかも1人ずつ使えるんです。厚生労働省の資料によると、個別の状況に応じて不登校も介護休暇の適用範囲内となりうるとなっています。
参考:令和7年1月厚生労働省雇用環境・均等局|介護休業制度等における「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の見直しに関する研究会報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001387433.pdf
もし上司に相談しても聞いてもらえない場合は、人事部に相談すると動いてくれることもあります。この3週間の間に、近隣やインターネットでどんな支援があるか情報を集め、居場所を探してほしいと思います。

――なるほど。介護休暇が取れるんですね。でも、そのまま子どもが不登校になったら、親は離職すべきでしょうか?
石井しこうさん、発達ナビ・牟田編集長対談
石井しこうさん、発達ナビ・牟田編集長対談
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石井:不登校の親が見てきた結論として、「離職はしない」という考え方が重要です。子どもが不登校になっても、親が家にいることと学校への行きやすさは関係ありません。むしろ、親が仕事を辞めてしまうと、そのつらさや不満を無意識に子どもの不登校と結びつけてしまうことがあるため、避けたほうがいいでしょう。

不登校は、目には見えない心のダメージが原因です。それを家でずっと見つめ続けることは、親にとってもつらいことです。学校に行かせることで心身の不調が必ず起きるリスクがあるなら、留守番させるリスクと天秤にかけてみる。安全対策をしたうえで留守番させるリスクのほうを取ったほうが子どもの心身の安定・安全のためにはいいと考えられる場合もあるでしょう。対策をした留守番やフリースクールなどを活用することを検討すべきです。

まず児童精神科医や教育支援センターへ。学校とのやりとりは工夫を

――不登校になった際、保護者は具体的にどう行動すればよいのでしょうか?

石井:まず、児童精神科医や教育支援センターに相談し、専門家の意見を聞くことがおすすめです。また、学校とのやりとりで親が疲弊しないように、学校への連絡係を母親以外の人にするのがいいです。

学校の担任の先生と親の間には「見えない壁」が存在します。親はわが子を唯一無二の存在として見ますが、先生にとってはクラスの約30分の1の存在です。この視点のずれが摩擦を生むことも多いので、担任の先生が親と同じ視点だと期待しないことが大切です。

また、学校との連携には「紙」を使うのが効果的です。電話やアプリではなく、手紙やファクスでやりとりをすることで、重要な内容が確実に伝わります。

「石井がそう言っていたので」と言って、分担を始めてみてください。
そして、以前の記事でもお話ししましたが、「雑談」をすることも非常に重要です。私自身もフリースクール時代に雑談を通じて、喜怒哀楽を取り戻しました。雑談は脳のエクササイズになり、子どもが「自分はここにいてもいいんだ」という安心感を育み、失敗に強い力がつきます。
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夏休み明けが不安な保護者へ。不登校ジャーナリストが教える「しなくていいこと」とは?『小学生不登校 親子の幸せを守る方法』著者インタビュー

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