不登校で昼夜逆転、パニックも。「子どもを寝かせるのは親の義務」からの解放と今

ライター:花森はな
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わが家の息子は通信制高校2年生です。ASD(自閉スペクトラム症)があり、現在は自宅を中心とした生活を送っています。小学校3年生の後半から登校しぶりが始まり、4年生は付き添い登校、5年生では再び学校に通うことができるようになりましたが、6年生で完全不登校に。その後特別支援学校の中等部を経て、現在の通信制高校に進学しましたが、あまり通えていない状況が続いています。今回は、そんな息子の昼夜逆転にまつわる話です。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

昼夜逆転の始まりは、学校への恐怖だった

息子が学校に行きづらくなった頃から、夜にパニックを起こすようになりました。布団に入ってもなかなか眠りにつけず、眠ろうとすると学校での怖かったことや先生の怒鳴り声などを思い出して暴れ、寝かしつけるのに2時間くらいかかる日もありました。

当初は夜驚症かと思いましたが、発症が年齢の割に遅いこと、睡眠状態ではなく、眠る前に起きることからそうではないようでした。
夜驚症(睡眠時驚愕症)とは、睡眠時に突然恐怖に襲われ叫び声をあげたり、大声で泣いたりする睡眠ー覚醒障害群の一つです。多くは思春期までには消失します。

夜泣きが発生する時期が新生児期~乳児期であるのに対し、夜驚症は3歳から8歳といった、幼児期から学童期に多く発症します。
出典:https://h-navi.jp/column/article/35026162
当時の私は、とにかく息子を安心して眠らせることに必死でした。寝室に向かう時は、いつも覚悟を決めていて、さながら戦場に向かう戦士のようでした。昔に整骨院の先生に教わったマッサージや、眠りやすくなるというアロマスプレー、昔話や子守唄……それでも暴れた時は盾となり、優しく声をかけ、次の日の登校につなげようとしていました。
寝かしつけるのに2時間ぐらいかかる日も
寝かしつけるのに2時間ぐらいかかる日も
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「お母さんは寝ましょう!」パニックの日々を変えた先生の一言

息子が完全に昼夜逆転してしまったのは、コロナ禍の自宅待機期間でした。学校は完全に休校、有り余る体力、異常な世の中の状況にストレス……以前のように寝かしつけようとしても眠れないのです。それどころかパニックはどんどんひどくなり、ついには警察を呼ばれてしまう騒動になったこともありました。

通院にも制限があり、なかなか通えない状況が続きました。お薬の問題がありましたが、先生の判断でいつも飲んでいる抗精神薬を「いつも3錠飲んでいるのを、1.5錠として対応しましょう」ということになりました。これがあまり良くなかったのだと思います。眠れない日は続き、本人を落ち着かせるためにはゲームを与えるしかありませんでした。私自身にも仕事があり、そうするしか選択肢はなかったのです。

ようやく自粛が一部解除になりつつあった頃、児童精神科の先生に真っ先に泣きつきました。先生からの答えは「お母さん!お母さんは寝ましょう!」という言葉でした。
児童精神科の先生に言われたのは……
児童精神科の先生に言われたのは……
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親の義務からの解放、だけども手放せない葛藤

「息子くんは自傷もないし、飛び出しもなく、お腹がすいたら自分でなんとかできるし、基本的におうちにいたい子でしょう?お母さんが息子くんを寝かせるために使う労力は、別のことに使いましょう。支援者が倒れたら全く意味がないんです。まずはお母さんの健康!それが第一です」

先生の言葉に、ずっと張り詰めていた心がグッとラクになりました。『子どもは夜寝かさなければいけない。それが親の義務だ』とずっと思ってきました。もちろん寝てくれるにこしたことはありません。でも、どうしても無理な場合があるんです。ずっとずっと一人で戦い続け、向き合い続け、諦めかけた時に先生がその理由をくれたことに本当に安堵しました。

「息子くん、6年生でしょう?そしてずっとおうちにいる。反抗期と思ってください。お母さんだって、その年齢の頃、親のこと鬱陶しく思うことってあったでしょう?息子くんに必要なのは一人の時間です」

夜寝る前の声がけは怠らず、眠れない息子の夜更かしに付き合うことはやめました。それだけで体と心が解放されましたが、解決を諦めた訳ではありません。ここから数年、息子の昼夜逆転生活が始まりました。
『子どもは夜寝かさなければいけない。それが親の義務だ』と思い続けてきました
『子どもは夜寝かさなければいけない。それが親の義務だ』と思い続けてきました
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