不登校になったとき、保護者や先生に何ができるのか?

不登校の対応の基本は「まずは休養」「相談しやすい環境づくり」、そして「親子関係を良好に保つこと」です。
登校渋りがあったら、まずは休ませたほうがいいわけですが、私は不登校の対応を「休ませるか登校させるか」の二択ではないと考えています。

「休ませるか登校させるか」というのは、「学校に行けるかどうか」を主軸にした考え方です。そうではなく「家庭や学校が安心できる居場所になっているかどうか」を考えることが大切だと思うのです。
子どもが不登校になったときに保護者や先生にできることは、励まして登校させ、厳しい環境に適応させることではなく、環境のほうを調整することです。
また、休ませて見守るだけではなく、社会との接点を持ち続けることも大切です。

子どもの自立に欠かせない2つの力

学校に行っていても行っていなくても、子どもにとって大事なのは、安心できる居場所で、社会に出ていく土台づくりをすること、そして「自己決定力」と「相談力」を身につけていくことです。
できることを自分で判断して実践する「自己決定力」と、困ったときに誰かに援助を求める「相談力」。この2つの力を持っていれば、子どもは自分で次の行動を決め、困ったときには、誰かに相談して援助を求めることができます。
「自己決定力」と「相談力」は、子どもの自立には欠かせない力なのです。

学校以外の場所で社会参加できれば心配はいらない

ここまで、不登校に環境的な要因があるときには環境を調整する必要があること、環境調整が難しければ学校以外の場所で学んでもいいということをお伝えしてきました。
学校に必ずしも行かなくても、子どもは十分に成長していけます。
学校に行っていなくても、親子関係が良好で、社会参加の土台づくりに取り組めていて、本人が社会参加への意欲を失っていなければ、心配はいりません。

みなさんには、お子さんの心の健康を第一にして、家庭生活、学校生活というものを考えていただきたいと思います。

※この記事は、本田秀夫『発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全』(バトン社)より一部抜粋・再編集しています。

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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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