【保護者の声】「大好きな習い事を辞めたい」落ち込む息子に見た"障害理解の壁"。「先生との相性」と辞め時の判断
ライター:星きのこ
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こんにちは、漫画家の星きのこです。
現在、10歳になるダウン症のある男の子、きいちゃんを育児中です。
以前、きいちゃんの習い事(お稽古問題)についてお話ししました。
5歳の時のダンス教室では挫折を経験しましたが、9歳の時、晴れて(?)キッズドラム教室に通うことに!
今回は、その後の歩みをありのままに、経過を包み隠さずお伝えしたいと思います。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
「きいちゃんのペース」で迎えた、感動のステージ
9歳の時、キッズドラム教室に入会したきいちゃん。集団のクラスと個人のクラスがあったのですが、本人の性格や周りに圧倒されてしまう懸念を考え、1対1の個人クラスでお願いすることに(お財布は痛かった……涙)。
その甲斐あってか、最初こそ緊張していたものの、だんだんと慣れて、楽しくドラム教室に通ってくれるようになりました。
先生には前もって、「バリバリと上達させるよりも、まずはドラムを楽しんでほしいので、きいちゃんのペースに合わせた指導をお願いしたい」と、私の意向をお伝えしていました。
それでもきいちゃんは私の目から見ても少しずつ上手くなってきて、やっぱり継続すれば上達していくものだなあと感心したものです。
そしてなんと!きいちゃん、ライブハウスでおこなわれた発表会にも出たんですよ!
大勢の人の前で緊張して本番は叩けないかもと心配もしたのですが、きいちゃんにとって、発表会に出るということ自体が挑戦で学びなので、叩けなくてもいい覚悟で出場を決めました。すると、なんと緊張で固くなることもなく、ちゃんと発表できたんです……!!
これには私も感動……!!!「続けていれば、こんなに素敵な景色が見られるんだ」と、親子で大きな自信をもらった瞬間でした。
その甲斐あってか、最初こそ緊張していたものの、だんだんと慣れて、楽しくドラム教室に通ってくれるようになりました。
先生には前もって、「バリバリと上達させるよりも、まずはドラムを楽しんでほしいので、きいちゃんのペースに合わせた指導をお願いしたい」と、私の意向をお伝えしていました。
それでもきいちゃんは私の目から見ても少しずつ上手くなってきて、やっぱり継続すれば上達していくものだなあと感心したものです。
そしてなんと!きいちゃん、ライブハウスでおこなわれた発表会にも出たんですよ!
大勢の人の前で緊張して本番は叩けないかもと心配もしたのですが、きいちゃんにとって、発表会に出るということ自体が挑戦で学びなので、叩けなくてもいい覚悟で出場を決めました。すると、なんと緊張で固くなることもなく、ちゃんと発表できたんです……!!
これには私も感動……!!!「続けていれば、こんなに素敵な景色が見られるんだ」と、親子で大きな自信をもらった瞬間でした。
直面した「技術の壁」と、埋まらない価値観の溝
しかし、感動の発表会が終わってしばらくした頃から、少しずつ空気が変わり始めました。
発表会が終わった後も、発表会の演目であった「はたらくくるま」を引き続き叩いていたきいちゃん。ある日のレッスン後、ドラムの先生から「お母さん、相談があります」と切り出されました。
先生によると、今の叩き方は初歩のステップであり、次の段階に進むには今のきいちゃんには難易度が高すぎるのではないか、ということでした。たしかに、その次のステップの叩き方を聞くと、いきなり2~3段階くらいハードになって、今のきいちゃんには難しいかもしれないと思いました。
私は先生に、改めて自分の想いを伝えました。
「プロを目指しているわけではないので、今の叩き方をアレンジして、少しずつ難易度を上げるような、柔軟な進め方はできませんか?」
けれど、技術を重んじる先生にとって、それは難しい提案だったようです。
「その叩き方って基本にはないんですよ」「でも、今の彼には(次のステップは)できないですよ」そんな言葉が繰り返されました。
先生は指導者として「正しい技術」を伝えようとしていたのだと思います。ただ、私たちが求めていた「楽しむためのドラム」との間に、少しずつ埋められない溝ができ始めていました。
発表会が終わった後も、発表会の演目であった「はたらくくるま」を引き続き叩いていたきいちゃん。ある日のレッスン後、ドラムの先生から「お母さん、相談があります」と切り出されました。
先生によると、今の叩き方は初歩のステップであり、次の段階に進むには今のきいちゃんには難易度が高すぎるのではないか、ということでした。たしかに、その次のステップの叩き方を聞くと、いきなり2~3段階くらいハードになって、今のきいちゃんには難しいかもしれないと思いました。
私は先生に、改めて自分の想いを伝えました。
「プロを目指しているわけではないので、今の叩き方をアレンジして、少しずつ難易度を上げるような、柔軟な進め方はできませんか?」
けれど、技術を重んじる先生にとって、それは難しい提案だったようです。
「その叩き方って基本にはないんですよ」「でも、今の彼には(次のステップは)できないですよ」そんな言葉が繰り返されました。
先生は指導者として「正しい技術」を伝えようとしていたのだと思います。ただ、私たちが求めていた「楽しむためのドラム」との間に、少しずつ埋められない溝ができ始めていました。
「聞こえていない」わけじゃない。子どもの心を守るために
何より私の胸を締めつけたのは、そのやり取りをそばで聞いていたきいちゃんの姿でした。
障害があることで、言葉でのコミュニケーションがゆっくりな場合、大人はつい「本人の前で、本人の課題」をストレートに話しすぎてしまうことがあります。でも、きいちゃんはちゃんと聞いていました。大好きな先生の口から繰り返される「できない、できない」という言葉のニュアンスを、敏感に感じ取っていたのです。
障害があることで、言葉でのコミュニケーションがゆっくりな場合、大人はつい「本人の前で、本人の課題」をストレートに話しすぎてしまうことがあります。でも、きいちゃんはちゃんと聞いていました。大好きな先生の口から繰り返される「できない、できない」という言葉のニュアンスを、敏感に感じ取っていたのです。
ふと見ると、あんなに楽しそうだったきいちゃんが、見たこともないほどしょんぼりとした表情をしていました。子どもが自信を失っていく姿を見るのは、親として何よりつらいものです。
先生には、「できないこと」を数えるのではなく、「今できていること」を一緒に喜んでほしかった。それに、たとえ今できなくても、2年後、3年後にはできるようになるかもしれない。失敗するのだって経験です。もっと先の未来を見据えて伴走してほしかった……。そんな切なさが込み上げてきました。
先生には、「できないこと」を数えるのではなく、「今できていること」を一緒に喜んでほしかった。それに、たとえ今できなくても、2年後、3年後にはできるようになるかもしれない。失敗するのだって経験です。もっと先の未来を見据えて伴走してほしかった……。そんな切なさが込み上げてきました。