【障害児子育て×再就職】元保育士・児童支援員、3きょうだいの母が「児童発達支援」で叶えた仕事と育児の両立
ライター:かし りりあ
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かしりりあです。
育児と仕事の両立は大変なことも多いですが、発達障害のある子を育てながら働くには、さらにたくさんの壁があると感じます。私自身も、発達ゆっくりな子ども3人を育てる中で一度は仕事から離れる決断をしましたが、現在は週に3日、児童発達支援施設でパートとして働いています。今回は私の仕事についてお話ししようと思います。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
「今は難しい」という判断。療育や育児を優先した時期の葛藤
三男おーの出産前まで、保育士や放課後児童支援員(学童保育の職員)として働いてきた私は、子どもたちの成長に関わる仕事にやりがいを感じていました。しかし、子どもたちの発達の特性が見えてきたことで、生活の優先順位が変わりました。当時は長男りーの療育園への転園、発語が遅れている次男かーの幼稚園入園が決まったタイミングでした。三男を出産したらさらに忙しくなると思い、夫婦で相談した結果、今はいったん仕事から離れて、落ち着いてからまた働くようにしよう、ということになりました。
そして三男を出産後2年が経ち、いざ仕事を探そうとしましたが……なかなか思うようにはいきませんでした。以前のキャリアを生かして保育士や学童保育支援員として働きたいと思いましたが、次男の作業療法や言語療法、それぞれの学校や園の行事、各所の面談、通院など、子どもたちのことは何かと私が主体となって動いていたため、どうしても平日に仕事を休む必要があります。こんな状況では、正社員はおろかパートで働くことも難しいだろうな……とあきらめていました。
そして三男を出産後2年が経ち、いざ仕事を探そうとしましたが……なかなか思うようにはいきませんでした。以前のキャリアを生かして保育士や学童保育支援員として働きたいと思いましたが、次男の作業療法や言語療法、それぞれの学校や園の行事、各所の面談、通院など、子どもたちのことは何かと私が主体となって動いていたため、どうしても平日に仕事を休む必要があります。こんな状況では、正社員はおろかパートで働くことも難しいだろうな……とあきらめていました。
背景を分かってくれる職場との出合い。無理のないペースで再開した仕事
仕事探しが難航していた頃、以前の仕事のつながりから、児童発達支援施設の方に声をかけていただきました。
「もし働きたいと思っていたら、言ってくださいね」と。
「もし働きたいと思っていたら、言ってくださいね」と。
その言葉には、私の家庭状況や、子どもたちの特性への理解も含まれていました。私の事情を分かってくれた上で、一緒に働きたいと言ってもらえたことは、復職への大きな安心感に繋がりました。夫のシフト制の勤務に合わせて予定を組み、実家の協力も得ながら、児童発達支援施設でのパート勤務がスタートしました。
現場での気づきを家庭へ。親子それぞれの「見通し」が、心のゆとりをつくる鍵
児童発達支援施設で働いて良かったと感じるのは、発達支援の生の現場をプロの視点で見られることです。声かけ一つとっても、声色や目線、言葉の選び方など、その子の特性や保護者のニーズに合わせた対応が積み重ねられています。一見、何気ないやり取りに見えても、その裏には「この子が今、何に困っていて、どうすれば安心できるか」というプロの分析があります。それらに触れるたび、一人の支援者として身が引き締まると同時に、保護者としてもその心遣いにありがたみを実感します。
こうした現場の視点は、家庭での子どもへの向き合い方にも変化をくれました。発達支援施設と家庭では状況が違うこともありますが、「不安定な時は落ち着いた態度で接する」「人によって対応を変えず、共通の声かけを徹底する」などの工夫を家庭でも応用することで、子どもたちは以前よりスムーズに行動できるようになり、私自身も落ち着いて対応できることが増えてきました。
そしてもう一つ、大きな気づきがありました。支援の現場で不可欠な「見通しの確保」は、子どもに対してだけでなく、私自身にとっても必要だったということです。子どもが「次は何をするか」が分からず不安になるのと同じで、私自身も「この後の流れ」が不透明だと、心に余裕が持てなくなってしまいます。
そのため、仕事のある日は、出勤前の午前中のうちに買い物や家事を済ませ、帰宅後のバタバタに備えるようにしています。また、夫の不規則なシフトを確認し、「今日はお風呂を任せられる」「ごはんは用意してあるから大丈夫」と、自分なりのシミュレーションをしておくことで、私自身の「安心」を確保しています。
そしてもう一つ、大きな気づきがありました。支援の現場で不可欠な「見通しの確保」は、子どもに対してだけでなく、私自身にとっても必要だったということです。子どもが「次は何をするか」が分からず不安になるのと同じで、私自身も「この後の流れ」が不透明だと、心に余裕が持てなくなってしまいます。
そのため、仕事のある日は、出勤前の午前中のうちに買い物や家事を済ませ、帰宅後のバタバタに備えるようにしています。また、夫の不規則なシフトを確認し、「今日はお風呂を任せられる」「ごはんは用意してあるから大丈夫」と、自分なりのシミュレーションをしておくことで、私自身の「安心」を確保しています。
さらに、以前のコラムでも触れた「スケジュールの可視化」を活用し、子どもたちに協力してもらうことも増えました。朝のうちに予定を確認し、「次はなんだっけ?」と問いかけます。子どもが「次にするべきこと」を予測できるようになると、スムーズに動いてくれる場面が増え、私は「早くして」と急かさずに済むようになりました。子どもたちへのスケジュール提示と同じように、私自身にとっても「見通し」が立っていることが、今の私の心の余裕に直結しているのだと感じます。
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経験を無駄にせず、自分らしいバランスで働き続ける
支援の現場で、困りごとを抱えるお子さんの背景を考える時、わが子との実体験がヒントになることもあります。かつて仕事と育児の間で悩んだ時間や、家庭での試行錯誤があったからこそ、目の前の子どもや保護者の方の気持ちに、少しだけ深く共感できるのかもしれません。
育児に専念せざるを得なかった時期の葛藤も、今の自分をつくる大切な経験だったのだと、ようやく思えるようになりました。私自身のこの経験が、同じように仕事と育児のバランスに悩むどなたかの、小さなヒントになれば幸いです。
執筆/かしりりあ
育児に専念せざるを得なかった時期の葛藤も、今の自分をつくる大切な経験だったのだと、ようやく思えるようになりました。私自身のこの経験が、同じように仕事と育児のバランスに悩むどなたかの、小さなヒントになれば幸いです。
執筆/かしりりあ
(監修:鈴木先生より)
現代の育児において、夫婦の協力はもはや必須です。「父親が仕事、母親が家事と育児」という時代は過ぎ、父親も育休を取得して家事・育児の役割を分担し、共に家庭を運営する時代へと変わりました。しかし、その「当たり前」を目指そうとする中で、かえってパートナーとのすれ違いに苦しむ声も多く聞かれます。
例えばパートナーにASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある場合、相手の状況を察して動くことや、臨機応変な役割分担が苦手なことがあります。その場合、もう一方への負担が増加して疲労感や孤独感を強める要因になります。
児童発達支援施設を利用する家庭にはそういうケースも往々にしてあることを知ったうえで対応が必要になります。ひとり親世帯も含め、家庭の状況は多様です。支援者には、さまざまなケースを想定して「見通し」をつけることが求められます。ピアカウンセリングのように、同じ悩みを持った親同士で自分の経験した知識を共有できる「私」でいてくださいね。
現代の育児において、夫婦の協力はもはや必須です。「父親が仕事、母親が家事と育児」という時代は過ぎ、父親も育休を取得して家事・育児の役割を分担し、共に家庭を運営する時代へと変わりました。しかし、その「当たり前」を目指そうとする中で、かえってパートナーとのすれ違いに苦しむ声も多く聞かれます。
例えばパートナーにASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある場合、相手の状況を察して動くことや、臨機応変な役割分担が苦手なことがあります。その場合、もう一方への負担が増加して疲労感や孤独感を強める要因になります。
児童発達支援施設を利用する家庭にはそういうケースも往々にしてあることを知ったうえで対応が必要になります。ひとり親世帯も含め、家庭の状況は多様です。支援者には、さまざまなケースを想定して「見通し」をつけることが求められます。ピアカウンセリングのように、同じ悩みを持った親同士で自分の経験した知識を共有できる「私」でいてくださいね。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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