【体験談】「もう友だちは呼ばない」。孤独を選んだ自閉症小6息子が見つけた「自分だけの居場所」
ライター:taeko
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長男ミミは6年生。4年生の終わり頃から自宅に友だちを呼ぶようになりました。「本当に仲の良い友だちが1人でもできれば」と見守っていましたが、6年生の9月、あることをきっかけに、ぱったりとお友だちを呼ばなくなりました。
監修: 森 しほ
ゆうメンタル・スキンクリニック理事
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。産業医として一般企業のケアも行っている(産業医のご依頼を随時受付中)。
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「もう怒られたくない」。パパのルールと、限界を迎えたミミの決断
現在小学6年生の長男・ミミには、ASD(自閉スペクトラム症)の特性があります。4年生の終わり頃から自宅に友だちを呼ぶようになりましたが、一度盛り上がると遊びの加減を調整することが苦手な面がありました。自宅で騒ぎすぎては、パパから「今週は禁止」と言われ、翌週には許可を得てまた呼ぶ……。その繰り返しの中で、お開きの時間を早くしたり、回数を週3回までに絞ったりと、ルールが少しずつ増えていきました。約2年ほど経ち、呼ぶメンバーもだいたい決まった子になっていきました。
6年生の9月、夏休みが終わり、また放課後に友だちを呼んでいたミミ。夕方私が帰宅すると、案の定騒ぎすぎて、在宅で仕事をしていたパパに相当こってりと絞られたようでした。パパのことを「いなければいいのに」とまで言っていたミミに、私は「パパはウチでの遊び方の限度を教えてくれているんだよ」と諭しました。
しかしミミは「友だちはもう呼ばない」とボソッと言いました。数日経てばまた呼ぶだろうなと思っていたのですが、今回は違いました。何日経っても呼ぶ気配がないので、「友だちは呼ばないの?」と聞くと、「もう呼ばない。怒られたくない」と言って、1人で遊んでいます。特性ゆえに感情のブレーキが効きにくいミミにとって、ルールを守りながら遊ぶことは、周囲が想像する以上に気を張り、疲れる作業だったのかもしれません。彼なりに、叱られるリスクを負ってまで友だちと遊ぶことに、疲れ果ててしまったようでした。
6年生の9月、夏休みが終わり、また放課後に友だちを呼んでいたミミ。夕方私が帰宅すると、案の定騒ぎすぎて、在宅で仕事をしていたパパに相当こってりと絞られたようでした。パパのことを「いなければいいのに」とまで言っていたミミに、私は「パパはウチでの遊び方の限度を教えてくれているんだよ」と諭しました。
しかしミミは「友だちはもう呼ばない」とボソッと言いました。数日経てばまた呼ぶだろうなと思っていたのですが、今回は違いました。何日経っても呼ぶ気配がないので、「友だちは呼ばないの?」と聞くと、「もう呼ばない。怒られたくない」と言って、1人で遊んでいます。特性ゆえに感情のブレーキが効きにくいミミにとって、ルールを守りながら遊ぶことは、周囲が想像する以上に気を張り、疲れる作業だったのかもしれません。彼なりに、叱られるリスクを負ってまで友だちと遊ぶことに、疲れ果ててしまったようでした。
弟との対比でこぼれた「自分は負け組」という言葉
ちょうど同じ頃、次男のふーは、近所のクラスメイトから公園で遊ぼうと誘われることが増えてきました。それまであまり公園で遊ぶことがなかったふーですが、誘いに来てくれるとうれしいようで、休日もお誘いがあれば行くようになりました。そんなふーの様子を見ていたミミは、弟を「勝ち組」と呼び、友だちがいない自分を「負け組」と言うようになりました。
ミミには休日や長期休みなどに遊ぶような友だちはほとんどいません。過去に一度だけ、電車の趣味が共通で話の合う子と、次男のふーも一緒に博物館に行ったことがあるくらいです。ミミは学校ではこの子のことを「親友」だと思っているようです。友だち関係は、親は介入せず見守るのが良いと思っているので詮索はしていませんが、学校で仲の良い子がいれば外に出かけることもあるはず。それがないミミを見ていると、「学校では親友と呼べる友だちはいないのかも?」と、つい思ってしまうこともあります。
ミミには休日や長期休みなどに遊ぶような友だちはほとんどいません。過去に一度だけ、電車の趣味が共通で話の合う子と、次男のふーも一緒に博物館に行ったことがあるくらいです。ミミは学校ではこの子のことを「親友」だと思っているようです。友だち関係は、親は介入せず見守るのが良いと思っているので詮索はしていませんが、学校で仲の良い子がいれば外に出かけることもあるはず。それがないミミを見ていると、「学校では親友と呼べる友だちはいないのかも?」と、つい思ってしまうこともあります。
「普通」の経験を願う親心と、飲み込んだ寂しさ
私自身の子ども時代を思い返すと、友だちと遊んだり喧嘩したりした経験は、あってよかったと思うものです。ミミにもそんな経験をしてほしいという寂しさもありましたが、心配されるのが嫌な年頃であることも分かっています。
ミミは学校のことがあまり好きではなく、「早く卒業したい」とこぼします。本人や担任の先生に詳しく聞くと、ミミの誤解で悪く受け止めてしまっていることがほとんどです。学校という社会の中で、彼は彼なりに一生懸命適応しようとして、摩擦に苦しんでいるのでしょう。「これはつらいだろうな」と思いますが、私にできるのは「そうなんだね」と耳を傾けることぐらい。でも、ミミの言葉を否定せずそのまま受け止めることが、今の彼にとって必要な見守りだと感じています。
ミミは学校のことがあまり好きではなく、「早く卒業したい」とこぼします。本人や担任の先生に詳しく聞くと、ミミの誤解で悪く受け止めてしまっていることがほとんどです。学校という社会の中で、彼は彼なりに一生懸命適応しようとして、摩擦に苦しんでいるのでしょう。「これはつらいだろうな」と思いますが、私にできるのは「そうなんだね」と耳を傾けることぐらい。でも、ミミの言葉を否定せずそのまま受け止めることが、今の彼にとって必要な見守りだと感じています。
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自分の「好き」に没頭する時間がくれた自信と、次なる一歩
そんなミミですが、彼を支える大切な趣味があります。ゲームや動画はもちろん好きですが、今一番ハマっているのは電車が発車する時に鳴る「発車メロディー」を聴くことです。クリスマスに録音機器をもらってからは、1人で駅へ録音をしに行くようになりました。関東の路線はほとんど覚えているので、乗り換えもバッチリです。
誰かと合わせる必要のない、自分の「好き」に没頭する時間で自信を深めていく、ということも大切な成長の一つだと考えているので、できるだけ応援したい気持ちでいます。
今後中学生になり、スマートフォンを持たせることで、新しい交流や課題も生まれるでしょう。迷いは尽きませんが、彼が自分のペースで世界を広げていく姿を、これからも大切に見守っていきたいと思っています。
誰かと合わせる必要のない、自分の「好き」に没頭する時間で自信を深めていく、ということも大切な成長の一つだと考えているので、できるだけ応援したい気持ちでいます。
今後中学生になり、スマートフォンを持たせることで、新しい交流や課題も生まれるでしょう。迷いは尽きませんが、彼が自分のペースで世界を広げていく姿を、これからも大切に見守っていきたいと思っています。
執筆/taeko
(監修:森先生より)
ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つお子さんは、遊んでいる最中に「楽しくてはしゃぐ気持ちを抑える」というような感情調整や加減が難しい傾向にあります。ルールを守ろうとすると、常にブレーキをかけ続けるため精神的疲労が蓄積するのです。ですのでとてもストレスがたまり、「怒られたくない」という気持ちから、防衛策としてそもそも怒られる状況を一切避けるという決断に至ったのではないでしょうか。お友だちと遊ぶ機会を持たないようになると、確かにストレスを避けることはできます。ただ、社会的交流の機会が減ってしまうと、自己肯定感が下がり結果的に不安が強まることもありえます。
いちばんいいのは、はしゃぐ気持ちをコントロールしながらお友だちと遊ぶテクニックを身につけることです。ストレスをためにくい方法として、「事前見通し+視覚支援」が有効です。例えば、お友だちを呼ぶ前に「お友だちと遊ぶのは〇時まで」「声のボリュームはこれくらい」と張り紙やタイマーなどで具体的に示すと、興奮したときに自分を抑えやすくなります。
自分のペースで趣味に没頭したりお友だちとも交流できるようになると、自信を生み、それが将来の交流の基盤になります。焦らず見守りながら、少しずつ「安全な社会体験」を積めるようサポートしていきましょう。
(監修:森先生より)
ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つお子さんは、遊んでいる最中に「楽しくてはしゃぐ気持ちを抑える」というような感情調整や加減が難しい傾向にあります。ルールを守ろうとすると、常にブレーキをかけ続けるため精神的疲労が蓄積するのです。ですのでとてもストレスがたまり、「怒られたくない」という気持ちから、防衛策としてそもそも怒られる状況を一切避けるという決断に至ったのではないでしょうか。お友だちと遊ぶ機会を持たないようになると、確かにストレスを避けることはできます。ただ、社会的交流の機会が減ってしまうと、自己肯定感が下がり結果的に不安が強まることもありえます。
いちばんいいのは、はしゃぐ気持ちをコントロールしながらお友だちと遊ぶテクニックを身につけることです。ストレスをためにくい方法として、「事前見通し+視覚支援」が有効です。例えば、お友だちを呼ぶ前に「お友だちと遊ぶのは〇時まで」「声のボリュームはこれくらい」と張り紙やタイマーなどで具体的に示すと、興奮したときに自分を抑えやすくなります。
自分のペースで趣味に没頭したりお友だちとも交流できるようになると、自信を生み、それが将来の交流の基盤になります。焦らず見守りながら、少しずつ「安全な社会体験」を積めるようサポートしていきましょう。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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