「うまくなる」より「続けたい」。ピアノを好きでいるための選択肢

いくつか体験に行った放課後等デイサービスの一つを娘が気に入ったので、お世話になることにしました。ここが気に入ったポイントは

・宿題を出さない(レッスンの中で全て完結する)
・基礎レッスンもするけど、ピアノを嫌いにならないことが最優先
・本人の好きな曲をやろう!(時には先生が即興で弾いてくれることも)
・発表会もあるけど参加は強制じゃない

そこは、まさに音楽を「楽しむ」場所でした。

もちろん本来のピアノ教室も音楽を楽しむ場所ではありますが、多くの場合は技術の向上がセットです。息子のように、うまくなりたいのに思うようにいかず、苦しさを抱えたまま辞めてしまう人も少なくないでしょう。純粋に上達を目指すなら、そういう習い方が一番適切だと思います。

一方で、「うまくなくともピアノに触れていたい」「楽しく弾きたい」という子どもたちも少なからずいるはずです。今の娘は、毎週楽しみにしながら通っており、親の私に隠れてこっそり練習していることもあるようで先生にも「すごくうまくなっています!」と褒めていただいています。
ピアノを楽しく弾けるようになった娘
ピアノを楽しく弾けるようになった娘
Upload By 花森はな

それぞれの「好き」が続いていく場所

現在お世話になっているところでは、放課後等デイサービスということもあり、定期的に支援計画を相談する面談や利用アンケートなどが行われ、かなり細やかに利用者である子どもや保護者の気持ちに寄り添った支援をしてくださっています。

また、通常のピアノ教室では特性の面から付き添いが必須でしたが、放課後等デイサービスという形式とレスパイトの意味合いで、母子分離が基本です。娘がピアノに行っている間、私は近くの公園をウォーキングしたり、スーパーへ買い出しに行っていますが、この時間が大変リフレッシュになります。送り迎えは必須ですが、教室の外で娘が奏でるピアノの音を聞いていると「娘の『好き』を諦めないでよかったな」と感じています。

そしてピアノを弾くことを諦めてしまった息子ですが、その後はパソコンで自分なりに曲をつくってみたり今オススメの歌を共有してくれたりと、幸いにも音楽を好きだという気持ちは残っていて、リハビリの一環として一緒にカラオケに行くこともあります。こちらもまた、息子の『好き』を継続していけるよう、引き続きサポートしていきたいです。

今はプログラミングに力を入れていたり、本格的なダンスレッスンがあるなどさまざまな特色をもった放課後等デイサービスが増えてきています。みんなと同じ習い事が難しくても、きっとその子に合った場所がどこかに見つかるはずです。あればいいなと思っています。
執筆/花森はな
(監修:新美先生より)
お子さんお二人の、習い事に関するエピソードを聞かせてくださりありがとうございます。
子どもにとって、余暇活動や趣味の充実は、生活の質や自己肯定感を支える大切な要素です。本人に合った習い事や、夢中になれる趣味に出会えたら本当にラッキーなことですよね。一方で、「やってみたい」という気持ちがあっても、先生との相性や指導方針、環境が合う場所を見つけるのは決して簡単ではありません。習い事に通うこと自体が大きなストレスになってしまうようでは、本来の目的から離れてしまいます。

ピアノ教室でのエピソードは、決して先生が悪かったわけでも、ご家庭の選択が間違っていたわけでもなく、「一般的な習い事の枠組み」とお子さんの発達特性とのミスマッチが起きていたことを示しています。正論や励ましの言葉が、本人には「責められた」「否定された」と強く響いてしまうことがある――この点は、多くの保護者の方が「思い当たる」と感じる場面かもしれません。

一方で、放課後等デイサービスや発達特性を理解した教室と出会い、「うまくなること」よりも「続けたい」「好きでいられること」を大切にしたことで、再びピアノが娘さんの生活に戻ってきた過程は、とても印象的でした。発達特性のあるお子さんにとって、安心できる環境の中で成功体験を積み重ねることは、結果的に意欲や技術の向上にも自然につながっていきます。

また、必ずしも発達障害特性に特化した習い事や放課後等デイサービスでなければならない、というわけでもありません。お子さんとの相性や、こちらのニーズを理解しようとしてくれる指導者や場と出会えることもあります。

「続けられなかった経験」も決して無駄ではなく、それがあったからこそ「合う場所」「大切にしたい条件」が見えてきます。お子さん一人ひとりの「好き」が、無理なく、長く続いていく道を、これからも一緒に探していけたらいいですね。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030877
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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