自立への第一歩。まずは「要・不要」の判断を一緒に練習することから

特別支援学級の教室ではこうした混乱は起きていないので、担任の先生がこまめに声かけをするなどの対応してくださっているのだと思います。

今は「片づけ先が不明なプリント用のファイル」を決めてみるなど、試行錯誤を続けている最中です。これから先、自分で考えて整理整頓をしていかなければならない場面はさらに増えていくでしょう。家でも一緒にかばんや机の整理をしながら、プリントの要・不要の判断も含めて、少しずつ練習していきたいと考えています。

執筆/メイ

専門家コメント(筑波こどものこころクリニック院長 鈴木直光先生)

プリントを忘れたり整理整頓ができなかったりするのは、不注意優勢のADHD(注意欠如多動症)に存在する症状であり、本人のやる気や努力の問題ではなく脳の特性に由来するものです。ADHD(注意欠如多動症)の診断が出ているならば、服薬治療も選択肢の一つです。すでに服薬している場合でも、量が十分でないと本来の効果が得られないこともあるため、主治医と相談して薬の量を調整したり、種類を追加したりといった検討を丁寧に行うのがよいでしょう。

小学生の時にプリントの整理ができていたのは、先生の適切な声かけという外部の支えがあったからこそであり、根本的な特性がなくなっていたわけではないと考えられます。実際、学生時代は保護者がすべて準備を代行していたために困りごとが表面化しなかった方が、自立してサポートを失った途端に生活が立ち行かなくなり、成人してから受診に至るケースは非常に多いのです。

お子さんの将来を考えるならば、早い段階から自分自身で取り組む経験を積むことが実は重要です。本人が自分の特性を理解し、自分なりの工夫を試行錯誤しながら身につけていけるよう、周囲が温かく見守り支援していくことが、真の自立への近道となるはずです。(監修:筑波こどものこころクリニック院長 鈴木直光先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35030914
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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