喉を詰まらせた娘のオウム返しに震えた日…。発達障害のある子どもの「早食い・窒息」、救命体験から学ぶ対策とSOSの出し方【専門家アドバイス】

ライター:にれ
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偏食な長女まゆみも、フライドポテトは大好きです。たまにファストフード店のドライブスルーを利用して買ってあげると、それはもう美味しそうに食べてくれます。ところがこの日はポテトを詰め込みすぎてしまったのか、喉元を押さえて苦しみ始め……。肝が冷えた体験談をお話しします。

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監修: 森 しほ
ゆうメンタル・スキンクリニック理事
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。産業医として一般企業のケアも行っている(産業医のご依頼を随時受付中)。 ・ゆうメンタルクリニック(上野/池袋/新宿/渋谷/秋葉原/品川/横浜/大宮/大阪/千葉/神戸三宮/京都/名古屋):https://yuik.net/ ・ゆうスキンクリニック(上野/池袋/新宿/横浜):https://yubt.net/ ・横浜ゆう訪問看護ステーション(不登校、引きこもり、子育て中の保護者のカウンセリング等お気軽に):https://yokohama.yuik.net/shinyoko-houkan/

ポテトが大好きな長女まゆみ

わが家の長女まゆみは、ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)(療育手帳の判定は中度)の診断がついている小学1年生です。
「ごはん」「ねる」などの要求は少しずつ口にできるようになってきましたが、自分の状態や気持ちを言葉にすることはまだまだ難しい様子。

そんなまゆみの大好物が、フライドポテトです。
保育園・学校・児童発達支援・放課後等デイサービス……と各所において偏食で鳴らしてきたまゆみですが、好きなものを食べる早さにかけては右に出る者がいないほど。
うどんやそばを飲み物のように吸い込んでいく様子は見ていると怖いほどで、「よく噛んで!ゆっくり食べて!」と声をかけるのが日常になっていました。

ところがとうとう、まゆみの早食いが事件を起こす時がやってきてしまったのです。

喉の詰まりは突然に

その日は私の運転で長女まゆみ・次女あずさと発達支援施設に出かけた帰りで、ドライブスルーを利用してフライドポテトを買いました。子どもたちにそれぞれのポテトを手渡すとうれしそうに頬張り、その顔を見て私もほっこりしました。

事態が急転したのはその少し後です。信号待ち中、後部座席から「おみず、おみず」とまゆみの声がしました。
「水筒がそこに……」と言いながら振り返ると、まゆみが喉元に手を当てています。

まさかと思い、「まゆみ⁉大丈夫⁉」と聞いてみると、「ダイ……ジョウブ……」と絞り出してくれるのですが、どう見ても苦しそうです。
「ダイ……ジョウブ……」と絞り出すもどう見ても苦しそう!
「ダイ……ジョウブ……」と絞り出すもどう見ても苦しそう!
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慌てて車を路肩に停め、歩道にまゆみを抱いておろしました。
片手で支えながら前屈みの姿勢にさせ、肩甲骨の間あたりを5回ほど強く叩きます。
10年ほど前に市の救命講習を受けたことがあり、窒息しかけている時の異物除去の手順はなんとなく頭にありました。

何度か背を叩いても出てこないので、万が一を考え、救命活動しながら119番することにしました。
「もう少し叩打を試みてからのほうがいいのかもしれない」と躊躇う気持ちはありましたが、窒息の場合、数分が命取りになり得ます。迷っている暇はないと思いました。スマホを耳と肩で挟んで、背中を叩き続けます。

「火事ですか?救急ですか?」
「救急です!7歳の子どもがポテトを喉に詰まらせました!」
「場所はどこですか?」
「場所は……」

これが自宅なら町名番地も言えるのですが、ここは出先。しかもハンバーガー店に寄るために普段通らない道から帰っていました。
正確な町名を言える自信がなく、目に見えているものを目印に位置と車種を伝えることにしました。

「市立病院の近くの、イチョウ並木の通りです!⚪︎⚪︎マンションの手前あたりに停めた茶色の△△で……」
説明しながら、「あと3回叩いて吐き出せなければハイムリック法に切り替える」と考えていた時です。
まゆみがガハッ!と咳をして、ポテトの塊がべチャッと地面に落ちました。
窒息している娘に、救命講習を受けた異物除去を開始!
窒息している娘に、救命講習を受けた異物除去を開始!
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危機一髪

「あ⁉出たみたいです!出ました!」
「取れました⁉呼吸はできていますか?」

「まゆみ、息できる⁉大丈夫⁉」
「ダイジョウブー……」
「ダイジョウブー……」
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これもエコラリア(反響言語)なので言葉では判断できません(でもつい「大丈夫?」って聞いてしまうのですが……)。しっかりと状態を確認する必要があります。顔を見ると涙目になっていますが、しっかりと肩が上下していました。

「ああ〜‼大丈夫そうです!息をしています!」
「では救急車は向かいませんので、よろしいですか?」
「お騒がせしました、すみません……!」
「大事に至らずよかったです!」

通話を切ると、体が震えてきました。
安堵する暇もなく、まゆみがまたポテトに手を伸ばしていたので慌てて制止し、水筒のお茶を飲ませました。

ちゃんと飲めているかを確認しながら、「おみず」と言えたことを何度も褒めました(水筒の中身はお茶なのですが、まゆみはそこまで区別して言いません)。
運転中もルームミラーで子どもたちの様子はそれなりに確認していますが、「おみず」の一言のおかげで事態にすぐ気づけたのです。本人が深刻さをどれだけ分かっていたかは不明ですが、SOSを出してくれたことをうれしく思いました。
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