再発防止のために
次はハイムリック法を試して……と考えてはいたものの、ハイムリック法の実践経験はまったくなかったので正直なところ怖さがありました。
一刻を争う中、やる覚悟は固めていたとはいえ、握った拳で腹部を突き上げるハイムリック法は内臓を傷める可能性もあると聞きます。
背部叩打法のみでポテト除去に成功したのは幸いだったとしか言いようがありません。
一刻を争う中、やる覚悟は固めていたとはいえ、握った拳で腹部を突き上げるハイムリック法は内臓を傷める可能性もあると聞きます。
背部叩打法のみでポテト除去に成功したのは幸いだったとしか言いようがありません。
※日本医師会等のガイドラインでは、腹部突き上げ法(ハイムリック法)を実施した際、腹部の内臓を傷める可能性があるため、異物が取れた後も速やかに医師の診察を受けるよう推奨されています。
ホッとしてまゆみを抱きしめた時、それまで身じろぎしなかった次女のあずさがやっと「まゆみちゃん大丈夫?」と口を開きました。必死だったので次女にまで気が回りませんでしたが、私の緊迫した様子に空気を読んで大人しくしてくれていたようです。次女もきっと、見ていて怖かったのではないかと思います。
今回の出来事で、車内での飲食環境を見直すことにしました。
さぞ苦しかっただろうと思うのですが、吐き出した直後からまたすぐポテトに手を伸ばすまゆみを見て、命の危険があったことを本人は理解できていないのかな……と少し切なくなりました。けれども、助けられたことに心底ホッとしています。
今回のことでは、過去に救命講習を受けていた経験が役立ちました。
救命講習は各地の消防局や消防本部が実施する、救命処置や応急手当の仕方、AEDの使用法などが学べる講習です。
救命対象を小児(15歳以下)・乳児/新生児と想定した講習(普通救命講習III)もあるので、子育てをされている方や子どもに関わる仕事をされている方は、もしもの時のためにお住まいの自治体に問い合わせて受講されるのもいいかもしれません。会場へ向かうのが難しい方はオンラインでの講習もあります。
今回のことがあったので、私も改めて講習を受けに行こうかと思っているところです。
今回の出来事で、車内での飲食環境を見直すことにしました。
- 1.即座に介入できない(運転手以外に大人が乗っていない)場合、食べさせない
2.食べる場合も、隣の大人が適切な声かけを心がける(「ゆっくり食べてね」よりも「一本ずつ食べてね」など、具体的に伝える)
3.それでも聞かないようなら、少量ずつ渡すようにする
4.パサパサしたものを食べる前には、水分を摂る
さぞ苦しかっただろうと思うのですが、吐き出した直後からまたすぐポテトに手を伸ばすまゆみを見て、命の危険があったことを本人は理解できていないのかな……と少し切なくなりました。けれども、助けられたことに心底ホッとしています。
今回のことでは、過去に救命講習を受けていた経験が役立ちました。
救命講習は各地の消防局や消防本部が実施する、救命処置や応急手当の仕方、AEDの使用法などが学べる講習です。
救命対象を小児(15歳以下)・乳児/新生児と想定した講習(普通救命講習III)もあるので、子育てをされている方や子どもに関わる仕事をされている方は、もしもの時のためにお住まいの自治体に問い合わせて受講されるのもいいかもしれません。会場へ向かうのが難しい方はオンラインでの講習もあります。
今回のことがあったので、私も改めて講習を受けに行こうかと思っているところです。
一つの懸念
まゆみも、最近は少しずつ言葉での意思表示が進んできたと思っていたのですが……「大丈夫?」と聞くと、明らかに大丈夫ではなくても「ダイジョウブ」と返ってくることが分かりました。
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもを育てて7年目の私は「これはエコラリアで、単にオウム返しをしているだけだ」と察せられるのですが、これがもし親も支援者もいない場で起きたことだったら……?
周囲の人が「大丈夫ですか⁉」と聞いたとしても、まゆみが「ダイジョウブ」と答えたら、その人は「本人がそう言うなら大丈夫だろう」と思ってしまうかもしれません。実際の状態を説明した言葉ではないのに、助けてもらえなくなる可能性があります。
これは、どうしたらいいのでしょう。
安全上、まゆみはとても一人で外出できる状態ではありませんが、一人にするつもりがなくても人混みや災害ではぐれてしまう可能性はあります。
ヘルプマークは大体いつもつけていますが、さらに持ち物などの目につくところにキーホルダーでもつけて「話す際にオウム返しが出やすく、『大丈夫?』と問われると命の危機に瀕していても『大丈夫』と言ってしまいます。体調不良時は実際の状態を見て判断していただけると幸いです」と書き、連絡先を添えておくしかないのでしょうか……。何かよい方法があったら知りたいです。
「ASD(自閉スペクトラム症)の人の中には、オウム返しをする特性のある人がいる」
「『大丈夫?』と聞かれると、大丈夫じゃないのに『大丈夫』と答えてしまう可能性がある」
「全体の状態を見た判断が必要」
こうしたことが、広く世の中に知られていくといいなと思います。
執筆/にれ
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもを育てて7年目の私は「これはエコラリアで、単にオウム返しをしているだけだ」と察せられるのですが、これがもし親も支援者もいない場で起きたことだったら……?
周囲の人が「大丈夫ですか⁉」と聞いたとしても、まゆみが「ダイジョウブ」と答えたら、その人は「本人がそう言うなら大丈夫だろう」と思ってしまうかもしれません。実際の状態を説明した言葉ではないのに、助けてもらえなくなる可能性があります。
これは、どうしたらいいのでしょう。
安全上、まゆみはとても一人で外出できる状態ではありませんが、一人にするつもりがなくても人混みや災害ではぐれてしまう可能性はあります。
ヘルプマークは大体いつもつけていますが、さらに持ち物などの目につくところにキーホルダーでもつけて「話す際にオウム返しが出やすく、『大丈夫?』と問われると命の危機に瀕していても『大丈夫』と言ってしまいます。体調不良時は実際の状態を見て判断していただけると幸いです」と書き、連絡先を添えておくしかないのでしょうか……。何かよい方法があったら知りたいです。
「ASD(自閉スペクトラム症)の人の中には、オウム返しをする特性のある人がいる」
「『大丈夫?』と聞かれると、大丈夫じゃないのに『大丈夫』と答えてしまう可能性がある」
「全体の状態を見た判断が必要」
こうしたことが、広く世の中に知られていくといいなと思います。
執筆/にれ
専門家コメント 森しほ先生(医師・公認心理師)
まゆみちゃんもにれさんも、怖い思いをされましたね……。冷静な対処でまゆみちゃんの命を守ることができたこと、とっても素晴らしいです。
窒息は数分で命に関わるため、まずは叩打法を行い異物除去を試みましょう。リンク先の救急蘇生法のページに詳しく載っているので、平常時にしっかり読んでおきたいですね。
さて、ASD(自閉スペクトラム症)など発達障害の傾向のあるお子さんには、エコラリア(反響言語)がみられることがあります。エコラリアは意味理解とは別に言語反応が出る特性ですが、特に強いストレスを受けている時には出てしまいがちです。「大丈夫?」という問いかけだとオウム返しで「大丈夫」と答えてしまうので、危険があると思われるケースでは「苦しい?」「どこ痛い?」と具体的に聞いてあげるとわかりやすいですね。
ヘルプマークに簡潔に状態を書いておくことはとても有効です。
一人でいる時に緊急事態になった場合には、「助けてください」「痛いです」「苦しいです」「迷子です」など、困った時に見せたり、状況を指で示せるようなカードを持ち歩いておくといいでしょう。
ヘルプマークにそのような文字を書いておき、カバンにつけたり、キーホルダーにして身につけておくといいのではないでしょうか。
また、ジェスチャーも有効です。「助けて」のハンドサインや、「苦しい時はここをトントン」とジェスチャーでのSOSを教えておくと、とっさの場面でも助けを求めやすくなります。
今回の出来事で、いざという時の対策を改めて考える機会になりましたね。緊急事態に備えてしっかり対策を考えながら、お子さんがこれからも安全に過ごせるよう願っております。(監修:医師・公認心理師 森しほ先生)
窒息は数分で命に関わるため、まずは叩打法を行い異物除去を試みましょう。リンク先の救急蘇生法のページに詳しく載っているので、平常時にしっかり読んでおきたいですね。
さて、ASD(自閉スペクトラム症)など発達障害の傾向のあるお子さんには、エコラリア(反響言語)がみられることがあります。エコラリアは意味理解とは別に言語反応が出る特性ですが、特に強いストレスを受けている時には出てしまいがちです。「大丈夫?」という問いかけだとオウム返しで「大丈夫」と答えてしまうので、危険があると思われるケースでは「苦しい?」「どこ痛い?」と具体的に聞いてあげるとわかりやすいですね。
ヘルプマークに簡潔に状態を書いておくことはとても有効です。
一人でいる時に緊急事態になった場合には、「助けてください」「痛いです」「苦しいです」「迷子です」など、困った時に見せたり、状況を指で示せるようなカードを持ち歩いておくといいでしょう。
ヘルプマークにそのような文字を書いておき、カバンにつけたり、キーホルダーにして身につけておくといいのではないでしょうか。
また、ジェスチャーも有効です。「助けて」のハンドサインや、「苦しい時はここをトントン」とジェスチャーでのSOSを教えておくと、とっさの場面でも助けを求めやすくなります。
今回の出来事で、いざという時の対策を改めて考える機会になりましたね。緊急事態に備えてしっかり対策を考えながら、お子さんがこれからも安全に過ごせるよう願っております。(監修:医師・公認心理師 森しほ先生)
このコラムを書いた人の著書
今日もまゆみは飛び跳ねる ~自閉症のわが子とともに~
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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