【高校進学】突然の起床困難。中3で起立性調節障害の診断…入試への不安も。全日制高校での新生活は

ライター:ひらたともみ
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今回は娘のイロハのお話です。突然朝、起きられなくなった中3の夏。高校受験を控える中で……。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。

なかなか起きてこなくなった娘

娘のイロハが中3のときのお話です。スポーツは得意ではありませんが娘はとても活発。友だちに恵まれ学校が好きでした。

夏も終わり、さあ3年生はいよいよ受験モードに突入だというとき、イロハがなかなか起きてこなくなりました。いつもならば一声かければリビングに降りてくるというのに……です。

やっと起きてきても頭を抱えてめまいや動悸を訴える。大事なテストが続いているというのに、どうしてこんなに毎朝起きられないのだろう。もしかして受験のプレッシャーなのかと戸惑いました。
毎朝、体調不良を訴えるようになった娘
毎朝、体調不良を訴えるようになった娘
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しかし不思議なことに、午後になるといつもの元気なイロハです。体調不良を訴えるのはきまって起床してからの午前中。夜更かししている様子もないため、一度かかりつけ医の先生に診てもらうことにしました。

起立性調節障害の診断と受験

診断の結果は起立性調節障害でした
診断の結果は起立性調節障害でした
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起立性調節障害。それは何度か聞いたことのある名前でした。

調べてみると10代に多く、さぼりや怠けといわれることもあるとか。血圧も低いことが分かり、投薬療法することに。いつ治るとか、薬がどのように効いてくるかははっきり言えないとのことだったので、受験までに完治はしないだろうとなんとなく分かりました。

病名が分かったことでイロハ自身はずいぶん気が楽になった様子でした。這うようにして起き上がっていた朝はやめ、自分のペースで起床することにしました。そのため学校に行くのは4時間目あたり。それでもけして夜更かしはしないよう、夕方は散歩をする習慣をつけました。

イロハはずいぶん前から美術科のある高校に進学を希望していて、ずっと勉強をがんばってきました。しかしその高校はもちろん全日制。毎日10時~12時に起きるのが精いっぱいのイロハに全日制の高校への進学が可能なのかと私はずいぶん不安でした。

そしてイロハも同じように、自分がちゃんと高校生になれるのだろうかと不安を感じていました。
夫に相談すると……
夫に相談すると……
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「高校生になれるのかな……」と不安に思う娘
「高校生になれるのかな……」と不安に思う娘
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何度も話し合って、イロハは第一希望の高校を受験することに。それが決まると今度は受験当日にちゃんと試験を受けられるだろうかと不安になりました。

そして受験当日。朝8時30分受付のために私は4時起き。6時50分まで10分おきに娘に声をかけました。

イロハは相変わらず頭が痛いと言っていましたが、だんだん薬が効いてきたこともあって、なんとか時間までに起床でき、試験を受けることに成功しました。そして無事に合格し、先日晴れて入学式を迎えました。

……とはいってもまだまだ毎朝大変で、私は相変わらず4時起きで10分ごとにイロハに声をかけ、枕元でお味噌汁を飲ませたり、血圧を測ったりしています。

起立性調節障害と診断されて半年。まだまだ完治とはいえませんが、なんとかたどたどしくも高校生活を送っています。
娘は高校生になりました!
娘は高校生になりました!
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執筆/ひらたともみ

専門家コメント 新美妙美先生(小児科医)

これまで元気に学校生活を送っていたお子さんが、起立性調節障害となり、その戸惑いや不安の中で受験期を乗り越えられたご経験を聞かせてくださりありがとうございます。
起立性調節障害は中学生年代では1割程度にみられるとも言われる比較的よくある状態ですが、その程度はさまざまで、日常生活を何とか維持できる方から、朝まったく起き上がれず登校が難しくなる方まで幅があります。また、時期によって波があり、心理的ストレスの影響も受けやすい一方で、「気持ちの問題」だけで改善するものではない点も重要です。周囲から理解されにくいことも多く、ご本人も保護者の方も大きな負担を感じやすいと言えます。

もともと活発で学校生活を楽しんでいたお子さんにとって、「やりたいのに身体が動かない」状況や、進路を決める大切な時期に不調が重なったことは、非常にもどかしく、不安の大きい日々だったと思います。そのような中でも、ご本人が希望を手放さず受験に挑戦し、周囲の支えを得ながら入学までたどり着かれたことは、大きな一歩だったのではないでしょうか。

一般的には症状のピークは2~3年程度で、徐々に活動できる範囲が広がっていくことが多いとされています。進学などの環境変化をきっかけに改善が見られることもありますが、急激に良くなるというよりは、数年かけてゆっくり回復していくケースが多い印象です。

そのため進路選択にあたっては、症状が強い時期には体調への負担が少ない環境(通信制や定時制など)を選び、回復してから次の進路につなげていくという考え方もあれば、今回のように希望する進路に進みつつ、学校と相談しながら合理的配慮を受けて卒業を目指す方法もあります。途中で調整や方向転換を行うことも含めて、正解は一つではありません。いくつかの選択肢を見据えながら、ご本人の意思を尊重し、保護者として支えていくことが大切だと感じます。

体調と相談しながら一歩ずつ歩んでいく中で、うまくいく日も思うようにいかない日も含めて、その一つひとつの経験がご本人の力になっていくことを願っています。

(監修:小児科医 新美妙美先生)
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35031005
発達ナビ|子どもの起立性調節障害、親にできることは?症状、治療、学校との連携まで
https://h-navi.jp/column/article/35027007
発達ナビ|【小児科医・呉宗憲先生】「朝起きられない」は身体のせい?心のせい?起立性調節障害(OD)を取り巻く3つの誤解と発達障害との深い関係
https://h-navi.jp/column/article/35030860
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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