5歳を過ぎたら「夜尿症」かも?専門医が教えるおねしょの原因と受診のサイン【夜尿症セミナーレポ前編】

ライター:発達ナビ【編集部Eye】
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ゴールデンウィークを迎え、家族で過ごす中で密かに悩みの種になりやすい子どもの「おねしょ」。 2026年3月23日開催の「夜尿症メディアセミナー」(主催:フェリング・ファーマ株式会社)では、池田裕一先生(昭和医科大学横浜市北部病院小児科学講座)と呉宗憲先生(順天堂大学医学部附属浦安病院小児科)が登壇し、「おねしょ」の背景を発達と睡眠の視点から解説しました。 今回は池田先生の講演をもとに、単なるおねしょと治療対象である「夜尿症」の違いや、放置が子どもに及ぼす深刻な影響をレポートします。

目次

「おねしょ」と「夜尿症」の境界線は「5歳」

乳幼児期のおもらしは珍しいことではありませんが、医学的には明確な線引きがあります。昭和医科大学横浜市北部病院小児科学講座 池田先生によると、5歳未満の子どもの睡眠中の尿もれは「おねしょ」と呼ばれ、成長過程における自然な現象です。

一方で、5歳以降になっても「月1回以上の睡眠中の尿もれ」が3か月以上続く状態は「夜尿症」と呼ばれ、医療機関での診療や治療の対象(健康保険適用)となります。 決して珍しい病気ではなく、有病率は5歳で20%(5人に1人)、10歳でも5%(20人に1人)にのぼります。小・中学生の年代でも珍しいことではなく、高学年になっても約半数は夜尿症が続く可能性があるといいます。

なぜ夜尿症は起こるのか? 3つの要因と隠れた原因

夜尿が生じるメカニズムには、大きく分けて以下の3つの要因が複雑に絡み合っています。

1. 睡眠中の尿量が多い(多尿):夜間に尿を濃縮する「抗利尿ホルモン」の分泌が不適切であったり、就寝前の水分摂取が多かったりすることで、尿量が膀胱の容量を超えてしまいます。
2. 膀胱に尿を溜めておけない:膀胱の機能が未成熟で、睡眠中に十分な尿を溜められません。
3. 尿意があっても目が覚めない:夜尿のある子どもは、尿意を感じてもうまく目が覚めないまま排尿してしまいます。

さらに見逃せないのが「便秘」との関連です。直腸に硬い便が溜まると、すぐそばにある膀胱が圧迫されて尿もれの原因になるため、排便の問題を解決するだけで夜尿が軽快するケースもあるそうです

最も注意したいのは「自尊心の低下」と「睡眠の質の悪化」

「いつか治るだろう」と夜尿症を放置することは、子どもの心身の発達において複数のリスクを伴います。

まず大きな影響が出るのが「睡眠の質」です。夜尿症の子どもは夜尿症ではない子どもに比べて夜間の覚醒回数が多く、睡眠が細切れになり深い睡眠を維持しにくくなります。濡れた下着の着替えなどで親が夜中に起こすことも、子どもの睡眠をさらに分断してしまいます。この慢性的な睡眠不足は、日中の強烈な眠気や疲労感を引き起こし、授業中の集中力や記憶力の低下、さらには学業成績の低下(夜尿症の子どもの約半数にみられるとの報告も)に直結します。

そして何より深刻なのが「心への影響」です。

おねしょをきょうだいや友人に知られることへの羞恥心や恐怖から、対人関係を避けたり、宿泊行事への参加に消極的になったりと、社会参加の機会を逃してしまいます。また、親が後片付けのストレスからつい子どもを叱ってしまい、後悔するという「親子の悪循環」に陥るケースも少なくありません。これらの積み重ねにより、「自分は人より劣っているのでは」という誤った自己認識を持ち、子どもの自尊心が大きく低下してしまう危険性があるのです。
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