研修会で知った多様な住まいの選択肢

こうした現場での経験に加え、手をつなぐ親の会が主催する「障害のある人の住まいと暮らし方」研修会に参加する機会もありました。講師は、「親なきあと相談室」主催の渡部伸先生、そして住宅メーカーの方でした。会場にはご高齢の保護者の姿も多く見られ、「親なきあとの住まい」がどれほど切実な問題であるかを実感しました。
この研修会で一番印象に残ったのは、「住まいの選択肢が大きく広がっている」ということでした。グループホームとひとことで言っても、実にさまざまな形があります。
  • 日中サービス支援型
  • サテライト型
  • 共生型
  • サポートつきシェアハウス
  • サービスつき住宅
  • 重度訪問介護による一人暮らし
  • 親子で住める有料老人ホーム
これまで私は、「障害のある人の住まい=グループホーム」と単純に考えていました。しかし、実際にはこれほど多くの選択肢があることを知り、考え方が大きく変わりました。

住まいの形は一つじゃない。住宅メーカーの取り組みから見えた「増える選択肢」

大手住宅メーカーを中心に、空き家や土地を持つオーナーに働きかけ、グループホームを建設する「建て貸し方式」が進められているそうです。住宅メーカーが建物を建て、社会福祉法人などの運営法人とマッチングし、障害のある人の住まいとして活用する仕組みです。
少子化で空き家が増える中、地域の中に障害のある人の住まいを増やしていく取り組みが進んでいることは、何よりの安心材料になります。

「住まいは不足しているのではなく、形が変わりながら増えている」という現実を知り、私は「25歳独立説」に焦る必要はないのではないかと感じました。「住まいの安心」という土台が見えてきた今、その子に合ったタイミングと暮らし方を、じっくり選んでもいいのだと思えたのです。

親なきあと、わが子が自分らしく、安心して過ごすためには、本人の特性を理解し、寄り添ってくれる「人の目」や「心の通い合い」が不可欠です。親が元気なうちに、子どもを支えてくれる「人の輪」をいかに広げていくか。孤立の不安からわが子を守るための環境づくりについては、次回お話ししたいと思います。

執筆/立石美津子

専門家コメント(行政書士・親なきあと相談室主宰・社会保険労務士 渡部 伸先生)

立石さん、私のセミナーにご参加いただいたとのこと、ありがとうございます。障害者の住まいの種類が増えているのと同様、一人暮らしを選んだ場合の選択肢もいろいろとあります。居宅介護、訪問看護、移動支援、社会福祉協議会が実施主体となっている日常生活自立支援事業、2018年から始まった自立生活援助など、新しい仕組みも登場しています。運営する事業者を確保できるかといった課題はありますが、制度そのものは増えてきています。
どういった暮らしがあるのか、本人はなかなかイメージがつかみづらいのではと思います。ショートステイや宿泊型自立訓練、一人暮らし体験の場など、いろいろな経験を重ねることが大切です。ご自分の希望に合った住まいや暮らし方を見つけてあげたいですね。(監修:行政書士・親なきあと相談室主宰・社会保険労務士 渡部 伸先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35030980

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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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