順調に進んでいた療育が、止まったあの頃

優しい言葉に思わず泣いたこともあった
優しい言葉に思わず泣いたこともあった
Upload By マミー・マウス子ビッツ
療育のおかげもあり息子は4、5歳の頃ついに発語が出はじめ、本人も少しずつ自信をつけていきました。年中さんになる頃には言葉がだいぶ増え、大好きなお友だちもでき楽しそうでした。

そんな風に彼なりに成長してくれていたのですが、途中、発熱によるけいれんを起こし脳症と診断され、進んでいた発達が後退してしまったこともありました。できていたことができなくなったもどかしさで保育園も療育も「行きたくない!」と泣くように。そんな時は施設ABともに出向いてもほとんど何もできずに帰ってくることもありました。落ち込む私を抱きしめ、背中をさすって「大丈夫。少しずつできてるよ」と言ってくださった職員さんのことは忘れられないです。

こうして予期せぬ事態に見舞われたりもしましたが、就学まで息子のみならず私も寄り添っていただき、たくさんの学びと前向きな気持ちをいただきました。お子さまの特性や成長の度合い、施設によってその療育内容は異なるとは思いますが、ぜひ複数の拠り所をつくって親子で自分たちなりの歩みを進めてくださいね!

執筆/マミー・マウス子ビッツ

専門家コメント 新美妙美先生(小児科医)

言葉の遅れをきっかけに療育へつながり、親子で少しずつ歩んでこられた過程を丁寧に聞かせてくださりありがとうございます。
「言葉を増やしたいなら、まずは言語訓練では?」と思われる保護者の方はとても多いです。療育やリハビリというと、机に向かっての“お勉強”や特別な“訓練”をするイメージを持たれやすいのですが、子どもの場合は本人が楽しいと感じられることでなければ続きません。本人が楽しめるように形式を工夫して療育を行っていきます。
言葉の発達を育てるうえでも、お子さんの発達段階によって、まず「言葉の前の土台」を育てることがとても重要な時期があります。今回のようなOT(作業療法)での遊びを通した関わりは、単なる遊びというわけではなく、トランポリンやブランコ、ボールプールなどの活動を通して、体の感覚や体幹、姿勢、手足の使い方、周囲への注意の向け方など、発達の基盤になる部分を育てています。また、「人と一緒にやると楽しい」「やり取りすると面白い」という経験を積み重ねることも、コミュニケーションや言葉の発達にとって大切な土台になります。
「言葉が出てほしいのに、言語療法じゃないんだ」とがっかりされる保護者の方もおられますが、どの段階で何を優先するかという見極めはとても重要です。土台が育ってくることで、後から言葉や学習が伸びやすくなるものです。

また、療育は「子どものための場所」であると同時に、「保護者支援」の役割も非常に大きいです。実際には療育の時間は週または月に数時間程度で、日常の大部分はご家族との時間です。そのため、「家でどう関わったらいいか」「困った時にどう対応したらいいか」を一緒に考えてもらえることは、とても大きな意味があります。療育でうまくいった関わりを家庭に取り入れたり、日常の困りごとを相談したりする中で、保護者自身もお子さんの特性理解を深めていけるのが、療育の大切な効果の一つです。

記事の中では、脳症による発達の後退という非常につらい出来事についても触れてくださいました。そのような時に保護者の気持ちにも寄り添ってくれる支援者の存在は、本当に心強いものですよね。お子さんのことをよく理解してくれている人がいることは、長い子育ての中で大きな支えになります。そして支援者側もまた、お子さんやご家族の成長に励まされて学ばせてもらっているのだと思います。療育の意味や温かさがとても伝わる体験談でした。(監修:小児科医 新美妙美先生)
※『トランポリン』はセノー株式会社の登録商標です。本記事では競技や遊び方の総称として使用しています。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35031067
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
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