無理をしないことが一番の近道

高校では、いろいろな地域からさまざまな子がやってきます。でも、次女と同じくらいの学力やペースの子が多いからか、同級生たちと意思疎通が図りやすかったようで、すぐに友だちもできました。前からやりたがっていた軽音部に入り、キーボードも買いました。小学生の頃、少しだけやってすぐに飽きて辞めたピアノの経験が、今更ですが役に立っているようです。部活でも友だちが増えた様子。

それでも性格の合う・合わないはあるので、最近は、これまで1学期を過ごした中で一緒にいて楽だった子たちと、よく話しているようです。
たまに休みの日には、みんなが集まりやすい場所で遊んだりもしています。
ただ、それぞれ距離が遠いので、無理して集まるようなことはしていません。誰かが「ここへ行きたい」と言った時に、都合のつく子だけで一緒に遊びに行ったりしています。次女も「今日はみんな、○○に遊びに行っているらしいよ」なんて言いながら、自分が興味のない集まりには行かないなど、あっさりした付き合い方ができているようです。
無理をせず高校生活を楽しんでもらえたらいいなと思っています
無理をせず高校生活を楽しんでもらえたらいいなと思っています
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発達障害のこともあり、親ばかりがヤキモキしていた高校受験でした。ただ、美術系の特色あるコースだからか、友だちもなんだか似たような個性的な子が多く、馴染みやすい様子です。
環境が変わるだけで、衝動や多動も少し、落ち着いたように思います。多弁は相変わらずですが、友だちの前では上手にセーブできているようです。お薬も今は何も飲んでいません。
注意欠如は相変わらずですが「忘れ物をしない工夫」「忘れても大丈夫なように準備しておく」など、以前よりもしっかり対策をしよう!と考えることができるようになりました。

この先の進路がどうなるかは分かりませんが、次女がのびのびと、頑張れる環境に出合えると良いなと思いながら見守っています。
でも、「私立の美大に行きたい!」とか言われたらどうしよう……ママ、そんなにがむしゃらに働けないよ?(笑)

執筆/ゆたかちひろ

専門家コメント 森しほ先生(医師・公認心理師)

ゆたかちひろさん、お子さんの高校進学おめでとうございます。
無理をしない方法を工夫されてきたのですね。環境が合うと、人は自然に力を出せるのではないでしょうか。ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)など発達特性がある場合、「できないこと」を本人の努力不足として捉えてしまうと、自己肯定感が下がりやすくなります。反対に、興味を持てる授業や似た感覚の友人がいる環境では、もともと持っていた力が発揮されやすくなります。
また、頑張ることよりも、手を抜くこと、頑張らなくて済む方法を考えることが大切です。そういった工夫は、「セルフモニタリング」という自分の状態を把握して調整する力につながります。

セルフモニタリングとは簡単に言うと、「今の自分はどんな状態なのかを、自分で観察すること」です。
たとえば、
「今日は足が痛いから、いつもの靴ではちょっとつらい」
「毎日お弁当をつくるのは大変」
「この集まりは、今日はあまり行きたい気分ではない」
「忘れ物をしやすいから、前の日に準備しておこう」
というように自分の体調や気持ち、得意なこと、苦手なことに気づけると、それに合わせて行動を調整していくことができますね。
自分はどうすれば無理なくできるのかが少しずつ分かるようになります。
これは、発達特性のある子どもに限らず、メンタルヘルスにおいても大切な力です。

お子さんをサポートする保護者の方は、
「今、ちょっと疲れていない?」
「どうしたら、もう少し楽にできそう?」
「何があるとやりやすいかな?」
と聞いてあげると、お子さん自身が「今の自分はどういう状態なんだろう」と考えるきっかけになります。
「頑張る」だけではなく、「無理をしない方法を知る」。
それも、自分で自分を支えていくための大切な力なのです。(監修:医師・公認心理師 森しほ先生)
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35031180
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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