自閉症の息子の学校選び。私が迷わず「特別支援学校」に決めた理由

ライター:立石美津子
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息子はこの春に高校生になる知的障害を伴う自閉症です。10年前、小学校を選ぶとき迷わず特別支援学校を選択しました。

なぜ、特別支援学級を避けたのか、その理由を『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子がお話ししたいと思います。

中度でも迷わず特別支援学校を選んだ

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11030018670
愛の手帳は3度を持っていました。最重度は1度、重度は2度、中度は3度、軽度は4度でしたので真ん中くらい。小学校の入学先は特別支援学級か特別支援学校か微妙でした。

就学時健診の葉書が届きましたが、その通知を無視し迷わず特別支援学校を選びました。ですから自治体の就学時健診にも連れて行きませんでした。

その理由は私自身が教員免許取得のため25年ほど前、特別支援学校で教育実習生として経験があり内容を知っていたことと、それから“何をしても認めてもらえる環境”を息子に与えたかったからです。

保育園では劣等生だった息子

保育園の時の様子です。
みんなが座って話を聞く時間に、息子は一人立ち歩いています。
また、皆が合唱しているときも、一人だけ後ろで読書をしています。
保育園で息子は劣等生でした。そんな経験をしていたので、小学校では「息子の行動が“問題である”と受け取られない環境」「認められる回数が多い環境」を与えてやりたかったのです。それが特別支援学校でした。


問題行動や、困りごとがある事実は変わらなくても、息子の居場所として些細なことでも褒めてもらえる小学校を選びたかったのです。


当時、息子はオムツが取れたばかり。
手洗い、着替えなどの身辺自立はまだまだ出来ていませんでした。軽度の発達障害児が多い特別支援学級では「○○君は出来ていない」と注意をされる回数が多くなってしまうと思い、特別支援学校を希望しました。

絵本をもとに、考えてみる

「ひとつめのくに」という絵本を読んだことがあります。元々は落語にある話が絵本になったものです。
ひとつめのくに   せな けいこ (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4494004022
(あらすじ)
ある男が見世物にしようと“一つ目小僧”を捕まえに行きました。そこで一つ目の子どもをさらおうとします。子どもの悲鳴を聞いた人々が集まってきて男は捕まります。連れて行かれたのは一つ目の国。二つ目の男は見世物にされました。

場所が変われば「見世物にされる」立場が逆転してしまう、ちょっと怖くて面白いお話です。
その頃の息子が置かれていた環境にピッタリ当てはまりました。

少し考えてみましょう。
もし、生涯未婚の人が人口の9割を占めていたら、結婚している人は「わあ、既婚者なんだ」と凄く珍しがられるでしょう。

もし、クラス全員が眼鏡をかけていたら眼鏡をかけていない子どもは苛められるかもしれません。

もし、男性がみんなスカートを履くのが普通だったら、ズボンを履いている男性は珍しがられるかもしれません。

このように自分の価値を周りとの比較してしまうのが人間のような気がします。
次ページ「環境を変えただけで褒められる回数が増えた」

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