学習障害(LD)は遺伝する確率があるの?兄弟、父親、母親との関係は?

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学習障害は親から子どもに遺伝するのでしょうか?学習障害の遺伝確率についてはいまだに明確な解答はなく、様々な説はあくまでも推測にすぎません。今回は学習障害の原因と、遺伝に関する様々な説と研究に関する情報をご紹介します。

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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員

学習障害の原因は何?

学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害の一つです。英語ではLearning Disabilityと呼ばれ、LDと略されることも多いです。

学習障害の原因についてもまだはっきりとは解明されていませんが、論文『ディスレクシア‐知識の概要』を執筆した、スウェーデンのマッツ・ミルベリィ教授は、以下のように述べています。

ディスレクシアが遺伝的な資質ということは、疑う余地がない。またそこに環境要因も加わることを私達は知っている。それでは最も大きな要因は遺伝だろうか、それとも環境だろうか。現在のところはまだ研究者たちは、この質問に対し完全な答えは出していない。個々のケースに対して、困難がどのような要因によるものか正確に知ることは難しいからである。

出典:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/library/0806_se-dx-tpb/skriv5_...
ディスレクシアとは読み書きをするのを著しく苦手と感じるタイプの学習障害です。ミルベリィ教授の主張するように、なんらかの遺伝的な要因が、胎児期や出生後の脳や心身が発達する時期に様々な環境要因と相互に影響し合ってなんらかの脳機能障害を発現させるという説が主流になっています。

学習障害の場合、この脳機能障害があるのは中枢神経だと考えられています。中枢神経は脳や脊髄など体の各部を動かす機能があります。つまり、体の中の司令塔です。この脳の部分に異常がある場合、学習障害などの障害になる場合が多いとされています。

以上が学習障害の素因と症状を引き起こす原因だと考えられていますが、まだ明確な根拠は実証されていません。どの遺伝子が関わっているかや具体的な環境要因についても様々な説があり、研究が進められている段階ですが、それらの要因も一つに限定されず、人によっても違うと考えられています。

また、かつて言われていたような出生後の親の育て方や教育は原因ではないとされています。

学習障害(LD)は親から子どもへ遺伝するの?確率は?

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学習障害の原因は遺伝的な素因による先天的なの脳の機能異常、中枢神経の機能障害だという説が有力だとされています。遺伝的要因ということは、親から子どもへ遺伝するということでしょうか?

学習障害について親から子への遺伝に関する確率に関する研究結果は出ていません。双生児研究や家族間研究が盛んに行われていますが数値がまちまちだったり、明確な結果はまだ分かってませんが、なんらかの関連はあると考えられています。

ただし、学習障害は、特定の遺伝子が親から子へと伝わって発現するのではありません。たとえ学習障害になりやすい体質のもととなるリスク遺伝子を親から受け継いだとしても、それだけでは発症しないうえ、そのほかの様々な環境要因と相互に影響を受けて発症するのです。そのため学習障害は単純に親から子へ遺伝するわけではないと言えます。親が学習障害だからといって子どももそうなるとは限りません。また、両親が定型でも子どもが学習障害の場合もあるのです。

きょうだい(兄弟・姉妹)で学習障害になる確率は?

きょうだいで学習障害が発現する確率も現段階ではわかっていません。しかし、遺伝的要因が学習障害の原因ではないとは言い切れないため、確率は0%ではないという見解が多いそうです。

双子のきょうだい間での研究がさかんに行われていますが、発達障害全体については以下のような報告があります。

 遺伝子が完全に一致する一卵性双生児の場合、ふたりとも発達障害をもつ割合は75~85%といわれています。もし、遺伝子のみで発達障害が出現するのであれば、100%の確率になるはずです。
 遺伝子が異なる二卵性双生児の場合は、5~10%と低くなります。

出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4816349723
これは遺伝子が近いほど発達障害が発現しやすいが、たとえ遺伝子が完全に同じであってもその確率は100%ではないことを示唆しています。きょうだいは遺伝的な要因となりうるリスク遺伝子を体質として共通してもっている可能性があるのでこのような傾向があるものの、その他の環境要因も影響するため必ずしも一致しないのだと考えられます。

学習障害の兄・姉がいる家庭で弟・妹が学習障害ではないという場合もたくさんあります。そのため、きょうだいが学習障害だからといって子どもが学習障害になるとは決めつけられません。

学習障害は男女で発現率が違う?

学習障害は男女どちらにも発現する可能性のある障害ですが、男の子に発現する確率の方が高いことが分かっています。発表されているデータの数値は調査によってまちまちですが、その発現率は女子の約4倍であるというデータも発表されているのです。男の子はその中でも読字障害になる確率が一番高いとされていて、その確率は女の子の数倍とも言われています。

男の子に学習障害が多い理由ははっきりと分かっていませんが、学習障害だけではなく他の発達障害も男の子のほうが多いという結果もでています。

学習障害を検査する方法はあるの?

学習障害は妊娠中の検査で発見する方法はまだ見つかっていません。妊娠中に検査を行うことを「出生前診断」と呼び、羊水検査やエコー検査などが代表的な検査として知られています。ところが、学習障害の場合は特定の遺伝子が原因となっているとは考えられていないことと、中枢神経のトラブルである脳の小さな異常が原因とされているため染色体の異常で発見するのは困難なのです。

また生後の診断の場合も血液検査や遺伝子検査といった生理学的な検査ではわかりません。発達障害の診断目安は、子どもの行動が明確になり、症状が行動に現れ始める3歳以降が良いとされています。しかし、学習障害は知的発達の遅れが見られないため、実際に学習が始まる年齢にならないと症状がはっきりと現れないと言われています。

基準として、子どもが就学し学習を開始する7歳以降に診断されることが多いようです。また、症状として「文字が書けない」、「文字が読めない」、「数字が理解できない」など、学習面での著しい困難が見られた場合、診断をおすすめします。ただ、それらの症状は子どもの苦手分野だという可能性も十分に考えられます。自己判断で「苦手」を「障害」と判断するのは子どもの心を傷つけてしまう可能性もあるので、学習障害の疑いに気づいたら、まず子育て支援センターなどの身近な専門機関に相談してみましょう。

医療機関では、問診や知能検査、心理検査など様々な検査を行い、何度か診療を重ねたうえで総合的に判断します。

まとめ

学習障害の原因はまだ、はっきりとはわかっていません。遺伝もそのひとつの要因として研究が進められています。この脳の異常は出生前診断では発見できないため、生後の子どもの様子から早期に発見し対応することが大切になってきます。

本人が学校で学習する上で困難に感じるときもあるかと思います。そんな時は親は1人で抱え込まずに、周りの人に相談するようにしましょう。また、学習するにあたっては、本人が勉強に対して苦手意識を持たないことが大切です。ICT(パソコンやタブレットなど)を利用して、本人の苦手な部分をカバーしながら、工夫して勉強していくようにしましょう。

例えば文字を書くのが苦手な場合、キーボードを使って書く練習をしましょう。また活字を読むのが苦手な場合は、タブレットなどに教科書の内容を読んでもらうのもいいと思います。学習障害の子どもの可能性を広げるのは親の接し方と環境が大切になりますから、その子にあった学習方法を見つけていきましょう。
怠けてなんかない! ディスレクシア~読む書く記憶するのが困難なLDの子どもたち
品川 裕香 (著)
岩崎書店
うちの子は字が書けない (発達性読み書き障害の息子がいます)
千葉リョウコ (著), 宇野彰 (著)
ポプラ社
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