LD・SLD(限局性学習症)は男女で発現率が違う?

LD・SLD(限局性学習症)は男女どちらにも発現する可能性のある障害ですが、男の子に発現する確率の方が高いことが分かっています。発表されているデータの数値は調査によってまちまちですが、その発現率は女子の約4倍であるというデータも発表されているのです。男の子はその中でも読字障害になる確率が一番高いとされていて、その確率は女の子の数倍とも言われています。

男の子にLD・SLD(限局性学習症)が多い理由ははっきりと分かっていませんが、LD・SLD(限局性学習症)だけではなく他の発達障害も男の子のほうが多いという結果もでています。
参考書籍:上野一彦/著 『LD(学習障害)のすべてがわかる本』 講談社,2007年/刊
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LD・SLD(限局性学習症)を検査する方法はあるの?

LD・SLD(限局性学習症)は妊娠中の検査で発見する方法はまだ見つかっていません。妊娠中に検査を行うことを「出生前診断」と呼び、羊水検査やエコー検査などが代表的な検査として知られています。ところが、LD・SLD(限局性学習症)の場合は特定の遺伝子が原因となっているとは考えられていないことと、中枢神経のトラブルである脳の小さな異常が原因とされているため染色体の異常で発見するのは困難なのです。

また生後の診断の場合も血液検査や遺伝子検査といった生理学的な検査では分かりません。発達障害の診断目安は、子どもの行動が明確になり、症状が行動に現れ始める3歳以降が良いとされています。しかし、LD・SLD(限局性学習症)は知的発達の遅れが見られないため、実際に学習が始まる年齢にならないと症状がはっきりと現れないと言われています。

基準として、子どもが就学し学習を開始する7歳以降に診断されることが多いようです。また、症状として「文字が書けない」、「文字が読めない」、「数字が理解できない」など、学習面での著しい困難が見られた場合、診断をおすすめします。ただ、それらの症状は子どもの苦手分野だという可能性も十分に考えられます。自己判断で「苦手」を「障害」と判断するのは子どもの心を傷つけてしまう可能性もあるので、LD・SLD(限局性学習症)の疑いに気づいたら、まず子育て支援センターなどの身近な専門機関に相談してみましょう。

医療機関では、問診や知能検査、心理検査など様々な検査を行い、何度か診療を重ねたうえで総合的に判断します。

まとめ

LD・SLD(限局性学習症)の原因はまだ、はっきりとはわかっていません。遺伝もそのひとつの要因として研究が進められています。この脳の異常は出生前診断では発見できないため、生後の子どもの様子から早期に発見し対応することが大切になってきます。

本人が学校で学習する上で困難に感じるときもあるかと思います。そんな時は親は1人で抱え込まずに、周りの人に相談するようにしましょう。また、学習するにあたっては、本人が勉強に対して苦手意識を持たないことが大切です。ICT(パソコンやタブレットなど)を利用して、本人の苦手な部分をカバーしながら、工夫して勉強していくようにしましょう。

例えば文字を書くのが苦手な場合、キーボードを使って書く練習をしましょう。また活字を読むのが苦手な場合は、タブレットなどに教科書の内容を読んでもらうのもいいと思います。LD・SLD(限局性学習症)の子どもの可能性を広げるのは親の接し方と環境が大切になりますから、その子にあった学習方法を見つけていきましょう。
兵庫教育大学 「発達障害がある子供たちのためのICT活用ハンドブック 特別支援学級編」 2013年
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/09/tokushi_hougo.pdf
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