ABA(応用行動分析)とは? 支援はどこで受けられる?家庭でもできる?【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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発達障害がある子どもの療育においてベースとなる心理学の考え方の一つに、「応用行動分析学(ABA)」があります。行動の前にはきっかけがあり、行動の後には結果があります。そこで、行動が生じる前と後の環境に対して、効果的な工夫をすることで社会生活上の問題を解決していこうという学問と実践です。その基本概念、研究成果、ABA療育の方法などを紹介します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

応用行動分析学(ABA)とは? 応用行動分析(ABA)の目的

応用行動分析学、通称「ABA」(Applied Behavior Analysis)とは、人間の行動を個人と環境の相互作用の枠組みの中で分析し、実社会の諸問題の解決に応用していく理論と実践の体系です。

応用行動分析学の土台には、米国の心理学者スキナー(1904-1990)が創始した、行動分析学という学問が存在します。従来の心理学では、行動を起こす理由をその人自体、つまり個人に求めていたのに対し、行動分析学では、人の行動や心の動きは、個人とそれを囲む環境との相互作用によって生じると考えました。

つまり、その人の気持ちや行動の原因を、周囲の環境との関係のなかで見ながら考えましょうというものです。応用行動分析学(ABA)は、行動分析学の研究により蓄積された知見を、実社会の諸問題の解決に応用しようと試みるなかで生まれました。

応用行動分析の手法は、教育、医療、福祉、看護、リハビリテーションなど幅広い領域で成果を上げ、現在も現場での実践と、研究が進んでいます。発達障害の子どもへの療育にも応用が進んでおり、さまざまな成果が出ています。

応用行動分析(ABA)とは?

応用行動分析(ABA)では、「行動」と「その前後の環境」に着目します。

分かりやすい例を挙げてみましょう。人は行動の直後に「その人にとって好ましいこと」が起きると、その後その行動が起きやすくなります。たとえば、「靴をきれいに並べたら、褒められた」ということがあると、その後も靴をきれいに並べるという行動が起きやすくなります。
その逆に、行動の直後に「悪いこと」が起きると、その行動は起きにくくなります。たとえば、「裸足で外を歩いたら、怪我をした」ということがあると、裸足で外を歩くという行動は起きにくくなります。

ABAでは、行動が起きやすくすることを「強化」起きにくくすることを「弱化」と呼びます。そして行動の主な強化と弱化の原理には以下の4つがあります。

〇正の強化
たとえば、授業中に発表するという行動に対して休み時間が増える(その人にとって好ましいことが生じる)という環境設定をすると、その行動(授業中に発表する)が増えるなどです。この場合に休み時間は「正の強化子」といいます。

〇負の強化
たとえば、同様に授業中に発表するという行動に対して、掃除(その人にとってはあまり好ましくない行動)をしなくてよいという環境設定をして、その行動(授業中に発表する)が増えるなどです。この場合、掃除時間は「負の強化子」といいます。

〇正の弱化
たとえば、授業中に隣の人とおしゃべりをするという行動が生じた場合に、先生から叱られる(その人にとっては好ましくないことが生じる)ことでその行動が減るなどです。この場合、叱られることは「正の弱化子」といいます。

〇負の弱化
たとえば、授業中に隣の人とおしゃべりをするという行動が生じた場合に、昼休み(その人にとって好ましいこと)が減らされことでおしゃべりする行動が減るなどです。この場合、お昼休みは「負の弱化子」となります。

このように日常的な行動はさまざまな「強化子(好子)」や「弱化子(嫌子)」が関連しています。これを知ることで、環境や周囲からの働きかけを調整し、適応行動を増やしていくというのがABAの考え方です。

発達障害のある子どもの療育では、基本的には「弱化」や「負の強化」は用いず、「正の強化」を用います。「弱化」や「負の強化」を用いて困った行動を減らそうとしても難しいことが多く、子どもや関わる大人にとって弊害が生じることがあるからです。

また、発達障害にはさまざまなケースがあり、同じ診断でも特定の行動を示す人と示さない人がいたり、その程度にばらつきがあったりします。そのような場合でも、ABAは個々の「行動」と「その前後の環境」をターゲットにすることで、具体的な行動変化を可能にします。

応用行動分析(ABA)を取り入れた支援の目的

応用行動分析(ABA)を取り入れた療育は、社会生活を過ごす上で困難のある子どもたちを対象として行われます。ASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害のある子どもたちもその対象の一つです。しかし、発達障害の特性のすべてが「社会生活上の困難」となるわけではありません。その行動が「誰にとって」「どんな状況」で問題となっているかを、具体的に考えることが大切です。

ABA療育において、解決すべき問題と捉えられる行動を3つご紹介します。1つ目は「他者や本人に危害や損害を及ぼす」行動、2つ目は「他者を巻き込み、周囲の活動を制限する」行動、3つ目は「本人の学習や社会活動への参加を妨げる」行動です。

①他者や本人に危害や損害を及ぼす行動
ある子どもが「人の頭を叩く」という行動をしていたとします。この行動は、相手に怪我をさせたり、心に傷を負わせてしまうかもしれません。このように、他者や本人に危害や損害を及ぼす行動も困った行動と捉えることができます。

②他者を巻き込み、周囲の活動を制限する行動
たとえば、ある子どもが、「毎朝、お気に入りの曲を聴かないと気が済まない」というこだわり行動があったとします。お気に入りの曲を毎朝聴くこと自体は、個人の好みや習慣の話です。一方、「毎朝、お気に入りの曲を聞いているときに、物音がすると、かんしゃくを起こす」ことがあったとします。この場合、他者を巻き込み、周囲の活動を制限することになるため、問題があると捉えられます。

③本人の学習や社会活動への参加を妨げる行動
「積み木遊びが好きで、夢中になる」という積み木あそびへのこだわりがあった場合、それ自体には問題はありませんが、「積み木遊びに夢中になりすぎて、指示が聞こえなくなる、友達から呼ばれても反応できない」ということになると、本人の学習や社会活動への参加を妨げられることになり、本人にとって問題といえるでしょう。

上記にあげたような例を改善するには、問題が生じている環境を改善したり、スモールステップでできることを増やし、成功体験を重ねていくことが大切です。このようなことを繰り返すことによって、結果的に子どもの自由度や社会参加を広げ、発達を促進し、生活の質を向上させることにつながっていくでしょう。

ABAの理解を深めることは、親へのメリットにもつながります。ABAでは、行動の理由に目を向けます。そのプロセスのなかでなぜその子がその行動を起こすのかを理解することができます。
行動の原因が分かり、子どもの気持ちを分かることができると、なぜこんなことをするのか?なんでしてくれないのか?というイライラ、悩みを減らすことができるかもしれません。

※以前は「自閉症スペクトラム」という名称が用いられることもありましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。この記事では以下、ASD(自閉スペクトラム症)と記載しています。

応用行動分析学(ABA)の考え方と、応用行動分析(ABA)を取り入れた支援の例

応用行動分析(ABA)を取り入れた療法は、医療機関や療育機関、支援団体で専門家によって行われるほか、特別支援教育を行う学校現場等でもその方法が活用されています。また、家族を支援するプログラムも開発されています。

たとえば、さまざまな団体によって提供されている「ペアレント・トレーニング」は、1960年代からアメリカを中心に始まったプログラムです。厚生労働省障害者総合福祉推進事業の調査により作られたガイドブックには、「行動分析」「環境調整」「子どもの不適切な行動への対応」「子どもが達成しやすい指示」「子どもの行動の3つのタイプわけ」「子どもの良いところを探し褒める」という6つの要素が挙げられています。

「ペアレント・トレーニング」は、応用行動分析(ABA)によって子どもが暮らしやすくなるような行動変容を目標とするほか、保護者同士の支え合いを大事にしている点も共通しています。
参考資料:厚生労働省 発達障害者支援施策の概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hattatsu/gaiyo.html
参考資料:令和元年度障害者総合福祉推進事業 ペアレント・トレーニング実践ガイドブック
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000653549.pdf

個と環境へのアプローチ

ここからは、応用行動分析(ABA)を取り入れた療法について、具体的に説明していきましょう。

ABAの基本的な考え方として、対象の個人だけでなく、環境と個人のお互いの作用が行動を行動や感情を形づくると考えます。そのため、個人だけではなく、その周囲の環境(モノ、人)にもアプローチします。たとえば、感覚刺激に敏感な子どもが、学習に集中できない場合、スケジュールなどで見通しを持たせたり、学習机の前から気になるものや音を取り除くなど、部屋の環境を変えることや、周囲の人も会話や行動を変えることで、好ましい行動を引き出します。

困った行動を減らす、なくすためには、

①原因を理解/特定すること
②適切な手法を知ること
③その手法を実施し、効果があるかどうかをモニター(記録)すること
④効果があれば継続し、効果がなければ、その手法を改善すること


が必要になります。ABAではそれぞれの段階において、効果的な手法があります。それぞれ見ていきましょう。

困った行動の原因を理解

困った行動にアプローチする前に、その行動がなぜ生じているのかを子どもの視点に合わせて考えていくことが大切です。

困った行動のほとんどは、以下の主に4つの強化子、言い換えると「子どものニーズ」が原因となっていることが研究で分かってきています。
1.要求の実現
おもちゃがほしい、何かをやりたい、など本人の要求が困った行動の原因となっていることがあります。たとえば、おもちゃ売り場で、癇癪を起こし、おもちゃを買ってもらえた(要求が実現した)場合、今後その癇癪の行動が増えることが予想されます。

2.回避と阻止
本人が好ましくない状況からその場を避けることができたとき、不適切な方法でも回避できたという経験が困った行動の原因となります。たとえば、友達に手を握られていて、手を握られるのが不快で、友達の手をかむと友達が離れた。このとき、「かむ」という行動で不快を回避できたため、嫌なことから避けるために同じ行動を繰り返すことになります。この行動は「回避」を原因とする困った行動にあたります。

3.注目要求の実現
相手や周囲、家族や保育士の先生などの注目がほしいという欲求が困った行動の原因になっている場合があります。たとえば、友達を急に叩いた結果、先生の注目が得られた場合、その「注目」が、困った行動を繰り返す要因となる可能性があります。

4.自動強化(感覚刺激)
困った行動が生み出す刺激自体が、快を生み出して、困った行動の循環に陥っている場合があります。手をひらひらさせたり、ぐるぐるまわる、つばを出したり入れたりするなどは、退屈や不安がまぎれるという感覚刺激自体が行動を繰り返させる原因になっている場合があります。

ABC分析

困った行動の原因は、大きく4つに分けられることを説明しましたが、実際の場面ではどうやって判断したらよいのでしょうか?ABAでは、行動を理解する際に、「ABCフレーム」で行動を見ることから始まります。

「ABCフレーム」の「ABC」とはそれぞれ「A」はAntecedent = 先行事象(行動の前の状況)、「B」はBehavior = 行動、「C」はConsequence = 後続事象(行動の結果)を表しています。たとえば、おもちゃ売り場でおもちゃを買ってもらえずに大声を出して暴れる子どもの行動をABCフレームで分析してみましょう。
おもちゃ売り場で大声で暴れる子どもの行動をABCフレームで分析した図。おもちゃ売り場[A:先行現象]+(子どもの行動)大声を出して暴れる[B:行動]→おもちゃを買ってもらえる(お母さんがおもちゃを買う)[C:後続現象]
おもちゃ売り場でおもちゃを買ってもらえず大声で暴れる子どもの行動をABCフレームで分析した図
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この例の場合、Aのおもちゃ売り場という前の条件において、Bの子どもが大声を出して暴れる、という行動を起こすことによって、Cのおもちゃを買ってもらえるという後の事象につながっていることが分かります。

Bの行動を行うことにより、Cのおもちゃをもらうという結果につながったため、今後、この子は大声を出して暴れるという行動が増加する可能性があります。おもちゃを手に入れることにより前述の「要求の実現」により行動が「強化」されるためです。

強化

人は行動のあとにその人にとって好ましい結果が生じると、以降もその行動を繰り返しやすくなります。このその人にとって好ましい結果(ほうび)を与えてその行動を増やすことを「強化」と言います、またそのほうびのことを「正の強化子」と言います。お菓子や、おもちゃ、褒め言葉など本人が喜ぶものは正の強化子となる可能性があります。
「強化」の一連の流れを、お手伝いの後[行動]+ほめ言葉をもらい[ほうび]→よくお手伝いするようになる[行動の増加]という例あげて説明した図
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消去

人は行動のあとにその人にとって好ましい結果や出来事が得られないと、その行動が減少していきます。これが「消去」です。
「消去」の一連の流れを、お手伝いの後[行動]+ほめられず[ほうびなし]→お手伝いしなくなる[行動の減少]という例あげて説明した図
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行動の直後にその人にとって好ましくない出来事が生じると、以後その行動は減少します。
「罰」の一連の流れを、お手伝いの後[行動]+叱られて[不快な出来事]→お手伝いしなくなる[行動の減少]という例あげて説明した図
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弱化には「正の弱化」と「負の弱化」があります。「正の弱化」の例としてはきつく叱るなど、「負の弱化」の例としてはペナルティとしてゲームの時間を減らすなどが当てはまります。

ABAの療育では、基本的には弱化の手続きは用いません。なぜなら、罰を与える人がいないときにその行動が増えたり、ほかの適切でない行動が増えたりする可能性もあるからです。このようなときは、環境調整などによって対応していくほうがよいと言われています。また、「消去」を単独で用いるのも、推奨されていません(後で説明する消去バーストなどの理由により)。

おもちゃ売り場での対応例

おもちゃ売り場で泣いてしまう子を消極的罰で対応する場合は、どうなるでしょうか。
おもちゃ売り場で大声を出して暴れる子どもの行動をABCフレームで分析した図。
おもちゃ売り場[A:先行現象]+(子どもの行動)大声を出して暴れる[B:行動]→おもちゃを買ってもらえる(お母さんがおもちゃを買う)[C:後続現象]
おもちゃ売り場で大声を出して暴れる子どもの行動をABCフレームで分析した図
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■消去と強化の組み合わせ
困った行動に対応するには、①困った行動を減らしつつ、同時に②好ましい行動を増やすことが重要です。そのため、強化と消去の両方を使いながら、好ましい行動に導きます。
問題行動への対応は、「問題行動を減らし」かつ「望ましい行動を増やす」ことであることを説明する図
困った行動への対応は、「困った行動を減らし」かつ「望ましい行動を増やす」ことであることを説明する図
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■消去で対応する(困った行動を減らす)
消去は、「求めているものを与えない、もしくは与えられない」という状況をつくることですので、この場合、おもちゃを買わずに毅然と無視し「おもちゃが手に入る」という強化子をなくします。これまで「大声を出して暴れる」→「おもちゃが手に入る」→「大声を出して暴れる」ということに循環になっているので、これを阻止します。
おもちゃ売り場で大声を出して暴れておもちゃを買ってもらえる循環から、おもちゃ売り場で大声を出して暴れてもおもちゃが手に入らない循環に変えることをABCフレームで説明した図
おもちゃ売り場で大声を出して暴れておもちゃを買ってもらえる循環から、おもちゃ売り場で大声を出して暴れてもおもちゃが手に入らない循環に変えることをABCフレームで説明した図
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一時的にその行動が悪化する「消去バースト」(泣く強さが強くなる、暴れるようになるなど)が発生します。

「消去バースト」が起きたときに完全に無視し続けることができないと、その困った行動を強化してしまうことがあります。たとえば、おもちゃ売り場でおもちゃを買ってもらえず大泣きしても対応しないようにしているとします。そこで、棚を倒したり、商品を棚から落として傷つけるなどの「消去バースト」が起こり、それを無視し続けることが難しくなり対応してしまうと、より派手で影響が大きい行動をすれば要求がかなうことを学びます。そうすると、次回以降は最初から激しい行動をするようになってしまうでしょう。
このように人目がある場面で激しい消去バーストが生じたり、それが長い時間続く場合、保護者は、結果的に強化してしまわざる終えなくなっていまいます。そのような対応によって困った行動は次回からさらにエスカレートしてしまいます。このような理由から困った行動に対して「消去」を単独で用いることはすすめられていません。

まずは、困った行動が生じてからの対応ではなく、「おもちゃ売り場に行かない」「キッズコーナーで遊ぶ」などの環境調整を行うことでその行動を生じなくてすむように工夫したり、困った行動に代わる好ましい行動を教えていくことが大切です。
■強化で対応する(好ましい行動を増やす)
困った行動を減らすことと同時に、好ましい行動ができたときに褒めたり、ごほうび(その人にとって好ましい結果)を与えたりすることで強化を行います。強化には、さまざまな方法がありますが、今回は「別の適切な行動を強化する」という方法を例に挙げます。「大声を出して暴れずにカートを押してお買い物できたらおもちゃを買ってもらえる」というルールを設定し、事前に子どもと合意をとります。
おもちゃ売り場での子どもの行動をABCフレームで分析した図。おもちゃ売り場[A:先行現象]+(子どもの行動)大声を出して暴れずに買い物をする[B:行動]→ほめてもらえる・ごほうびがもらえる[C:後続現象]
おもちゃ売り場での子どもの行動をABCフレームで分析した図
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「要求がエスカレートしていくかも…」というような不安がある方もおられると思います。

たとえば、毎回おもちゃを買ってもらえるわけではなく、値段によっては好ましい行動が複数できたら買ってもらえるというようなルールを設定することもできます。子どもに分かりやすく伝えるために、ノートやメモ帳を使って、お買い物が終わるたびにシールが貯まる仕組みをつくりましょう。このように、ポイントが貯まることでほうび(その人にとって好ましい結果)がもらえる仕組みのことを「トークンシステム」と言います。

シールが一定数たまったら、おもちゃが買ってもらえるなどのごほうび(強化子)を用意し、実際にルールを守って買い物ができたときには褒めてあげながらシールを貼り、揃ったときはおもちゃを買ってあげるようにします。

トークンシステム」の好ましい行動は、適切な買い物以外にお手伝いや、弟の面倒をみるなど、さまざまな行動に適応できます。また、最終的にポイントがたまったあとのごほうびがなくてもできるように達成した後にたくさん褒めていくことや、達成すること自体が「強化子」となっていくようにします。

子どもの特性は一人ひとり異なること、また困った行動の種類や状況はさまざまであるため、対応の方法は異なりますが、これらのABAの手法により、どのような原因があるのか、どう行動を起こすべきなのかがより具体的になります。
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応用行動分析(ABA)を取り入れた支援はどこで受けられるの?家庭でもできる?ABA療育のサービスを利用するにはどうしたらいいの?

応用行動分析(ABA)の理論に基づいた療育サービスを提供している団体、放課後等デイサービス、塾などが近年増加しています。専門性の高いスタッフによる通所療育、出張療育といった子ども向けのサービスだけでなく、保護者向けのセミナー、ペアレント・トレーニングなども実施されています。

団体ごとの指導方針や提供サービスの内容、金額や居住地などを確認しながら、お子さんとご自分に合う療育サービスを探してみてください。

ABA療育は家庭でできる?

ここでは、応用行動分析(ABA)の考え方や実践を学ぶことができる親向けの書籍を紹介します。ただし、療育を一人だけで行うのは、技術的、労力的に負荷がかかりやすいため、なるべく専門家や支援団体と相談・連携しながら行うようにしましょう。

■本で学ぶ
『家庭で無理なく楽しくできる生活・学習課題46』
ABA療育プログラムのシリーズ、「困った行動」「生活・自立」「生活・学習」「コミュニケーション課題」などのテーマがあります。子ども一人ひとりに合わせた療育プログラムのつくりかたについても掲載。そのためカバー範囲は広く、イラストは抑えめで情報量が多いです。ABAの仕組みについても詳しく学ぶことができ、具体例が豊富。しっかりと勉強したい方向け。
家庭で無理なく楽しくできる生活・学習課題46
井上雅彦
学研プラス
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『発達障害のある子の「行動問題」解決ケーススタディ―やさしく学べる応用行動分析』
問題行動は、その理由に対応した支援の方法を見つけることが「行動問題」の根本的な解決につながります。応用行動分析学のアプローチではどのように解決しようと考えるのか――この本では、応用行動分析の理論と技術を、豊富な事例をとおしてやさしく学ぶことができます。
発達障害のある子の「行動問題」解決ケーススタディ―やさしく学べる応用行動分析
小笠原 恵
中央法規出版
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『保護者と先生のための応用行動分析入門ハンドブック―子どもの行動を「ありのまま観る」ために』
応用行動分析の入門的な本。困った行動にどのように対応したらいいか分からない保護者向けの、読みやすい本。子どもの気になるところや問題行動ばかりでなく、よいところ、できているところに目を向けられるようにと書かれています。
保護者と先生のための応用行動分析入門ハンドブック―子どもの行動を「ありのまま観る」ために
三田地 真実 (著), 岡村 章司 (著), 井上 雅彦 (監修)
金剛出版
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『応用行動分析学から学ぶ 子ども観察力&支援力養成ガイド』
応用行動分析学(ABA)の立場から、その子に合った支援の方法の見つけ方を解説する本です。子どもの観察のしかたや記録のとり方、その結果をどう支援につなげるかなど、実用的な内容となっているので、学校などの支援現場でもすぐに活用できそうです。
応用行動分析学から学ぶ 子ども観察力&支援力養成ガイド
平澤紀子
学研プラス
Amazonで詳しく見る
■特別支援教育で活用するABA療育の本

特別支援教育におけるABA療育の活用方法について紹介された本です。
できる!をのばす行動と学習の支援―応用行動分析によるポジティブ思考の特別支援教育
山本 淳一 (著), 池田 聡子 (著)
日本標準
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応用行動分析で特別支援教育が変わる―子どもへの指導方略を見つける方程式 (シリーズ教室で行う特別支援教育)
山本 淳一 (編集), 池田 聡子 (編集)
図書文化社
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発達障害のある子どもへの療育の内容と効果、療育を受けられる施設を解説【専門家監修】のタイトル画像

発達障害のある子どもへの療育の内容と効果、療育を受けられる施設を解説【専門家監修】


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